表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説を書くこと、発信することについて

作者: ぶい

 私は創作活動をする方々がなぜそうするのかが常々気になっている。といっても、その理由を答えてほしいなどとは思っていない。

 とりあえず私自身は好きだからという理由で書き始めたが、書き始めて以降別の目的も持っている。登場人物をわかりやすい〇〇キャラという枠組みに当てはまらないように意識したり、人間と悪魔を描くに当たってできる限り人間は差別的な生き物であるように描いたり。

 好きだからという理由で書いていることが悪いというわけではない。しかし、例えば異世界転生ものを描く時、そこで想像される異世界が中世ヨーロッパ的な世界観で、主人公がそこでハーレムを築いて、そこで商業やら政治に触れるのであれば、資本主義やら民主主義やらが意識されてしまう。こうした作品を描く場合に、民主主義は選挙だとか、資本主義が拡大する格差に目を向けないだとか、そうしたことを作品でしていて好きだから書くというのは個人的に好ましくない。

 さらに言えば中世ヨーロッパ的世界観とはつまり現代より幾分か男性優位の社会構造をしていて、そんな中で資本家よりの社会的弱者の外部化、民主主義を無批判に良いものだと判断するような政治的無関心も意味している。

 さてこれらを踏まえて好きだから書いていますと言った場合、『あなたはこうしたことを望んでいるのですね』と、そう判断されてしまっても仕方ない。


 だったらあなたは作品が嫌いなのか?それなら見なければいい、読まなければいい。


 嫌なら見なければいいと語られることもしばしばある。しかしそれは本来ありえないことで、個人に見る見ないが委ねられるならばそれでも見ている、読んでいるその人に対しては愚問でしかない。

 また、当然ですが批判する人や嫌いだと言う人が見ること、読むことも承知の上で発信していなければいけない。それが公共に発信するということであるからだ。たとえ承認欲求を満たしたいがために投稿していたとしても、それを踏まえていなければいけない。

 発信する側には発信する側の責任がある。


 このように書いたが、これは好き勝手に作品を叩いて良いという免罪符ではない。

 作品を叩くにはそこに妥当性がなければならない。たかが誤字脱字では叩くほどのものではないし、稚拙な文章も同様に叩くほどのものではない。

 例えば差別的な発言がその作品世界全体で許容される、それが作者が作為的に行ったものでないと明らかであると、こういうような道徳的倫理的に間違っていると判断できる場合などは妥当だろう。

 それが作者の意図によるものなら、それは恥ずかしいことに誤読ということになる。作者もそんな誤読にわざわざ付き合わない。


 誤解がないように言っておくと、私は別に好きだから小説を書くという理由のみで書くことを否定したいとかそんなことを思っているわけではない。ただそれならそれで理由を語らない方がただの妄想ではないと思える分作品に考察の余地ができると思うだけ。

 結局のところなぜ創作するのかということに関して私は気になっているが、それは無粋な質問で、作者たちはそれを明らかにしない方が良いと考えている。


 ちなみにだが、私は数多の作品が、前述した批判点を含むような作品が虚構の世界であり、現実にそれを願っているわけではないというのも理解しているつもりだ。

 現実は女性は家事をするものという考え方が弱まり、幼い娘が家事を手伝い父親を手伝う構図がなくなったからか、幼い少女が甲斐甲斐しく世話を焼くようなキャラクター性が虚構の世界に逃げるようにやってきた。

 このように社会の変貌で行き場を無くしたものが虚構で現れ願望を満たしていることで、社会の変貌が許容されているという側面もあるのかもしれない。

 フェミニズムや女性学といった観点から批判は受けるだろうが、アニメやサブカル的小説が現在の形になったのは現実における変化があると私は思う。

 私は作品に優劣をつけたいのではなく、作者が執筆する作品にどのような意味を込めているのかが重要だと考えている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ