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【六十六話】下品すぎるんだよな

新章の導入です。

「おはよう」

「おはよう~」

「空君コーヒー飲むよね?」

「うん」


「今日はセツナ居ないんだ?」

「今日は撮影だって」

「ああそう」


 楽しかった温泉旅行から早くも一か月が過ぎていた。あの温泉旅行の最終日では一葉さんが「また遊びましょうね!」と言って泣きながら三人と抱き合っていたのも記憶に新しい。

 そんなこともあったが結局セツナも鏡花さんも俺の家に引っ越してきていて、一人だけ仲間外れみたいな一葉さんには申し訳ないがここ最近は毎日それなりに騒がしいものの、楽しく毎日を過ごしていた。


 二人だと広すぎて使いきれていなかったこの家も、四人ともなると割と広いかな?ぐらいなもので残っている部屋も片手で足りるぐらいできちんと家のキャパを埋めていた。


 先週にやっと二人の親御さんへの挨拶も済ませこれで色々と会った予定もひと段落と言った形で俺達四人はそれなりにだらだらとしながら毎日を過ごしていた。

 二人の親御さんへの挨拶でも色々と大変なことはあったがそれはまた今度話すことにする。


 セツナは朝早くからAR関係で撮影があるようで、家に居ないので今は俺達三人で朝ごはんを食べながら桜の入れてくれたコーヒーを飲んで何となくテレビを眺めていた。


「そういえばダンジョンがあるんだったね」

「やっぱり、空君も男の子だし興味ある?」


 丁度朝のテレビでダンジョンについて特集が組まれていたので、そんなものもあったなと思って何となく呟いた俺の言葉に鏡花さんが少し馬鹿にするようにニヤニヤと笑みを浮かべている。


「まぁ、最近はゲームばっかししてたし、体動かしたいってのはあるね」

「へぇ、空君って体動かすの好きだったんだ?てっきりピコピコばっかりやってるからそう言うの興味無いのかと思ってた」


「桜の言う通りどっちかというとインドア派だけどね」


 俺の言った言葉に桜が少しビックリしたように言うが、元々体を動かすのは嫌いではないが前世ではそんな暇も無かったので、改めてこの明らかにオーバースペックな体で遊んだら面白そうだなとは思っていた。


「そうだ、今度の休み二人も一緒にちょっとだけ行って見ない?セツナも暇なら呼んでさ」

「うへぇ、僕はパス~運動音痴だし」

「私も、ちょっと怖いかなぁ」


 実際まだARから正式に連絡は来ていないので、今この家で一番忙しいのはセツナという何とも言えない状況なので、お出かけがてらと思い言った言葉だったが普通に二人に断られてしまった。


「えー、マジかセツナ呼んだら来るかな?」

「聞いてみたら?」


 二人に断られてしまったので、鏡花さんに言われたように俺は携帯を取り出して一応セツナに連絡を入れてみるとちょうど休憩中だったのか直ぐに返信が帰ってきた。


 空『今度の休みダンジョンとか行って見ない?』

 セツナ『世界大会で忙しいから、無理かも』

 空『あ~そう言えばそうだった』


「セツナも無理だって」

「あら残念、セツナはああいうの好きそうだけど」

「ほら、世界大会あるから」

「そういえばそうだったね」


「あ、世界大会っていつだっけ?」


 俺と鏡花さんが話していると食べ終わった食器を片していた桜が思い出したようにキッチンから顔をのぞかせて言った。


「確か来月の24日だったと思う」

「それじゃあみんなで応援しないとね」

「そうだね、ネットで配信されるだろうし」


 そんな事を話しているうちに、そろそろ学校の時間が近づいてきたので俺は用意を済ませて家を後にした。


 ――――――――


 いつものように送り迎えをしてくれた等々力さんにお礼をしてから校内に入るとちょうど下駄箱の前を通った有馬先生に出会った。


「お、あの雪原を毒牙に掛けた、ロリコン非童貞ハーレム野郎じゃないか」


 有馬先生は雪原との件を伝えられているのかここ最近こうやって悪態をついてくる。

 セツナは見た目こそあれだが合法だし、それはこの国の法律が認めてくれている事だ。


「悪口が下品すぎる。だから独り身なんですよ」

「……ひどくないか?」

「自分の言った言葉を思い出してくださいよ」

「まぁそれは良いとして、最近朝早いな?」

「一緒に住んでる人らがいますからね、嫌でも早起きになりますって」

「……これが格差社会か」


 勝手に自分で聞いておきながら傷ついている有馬先生と何となく教室まで並びながら歩いて行く。

 流石にそれなりに学校に通いだしてから日が経ったのもあって、そこまで他の生徒に見られることも無くなっていて有馬先生と並んで歩いていても視線を向けられることは無かった。


「てか、先生だってしゃんとしてれば綺麗なんだから、ちゃんとすればいいのに」

「お、なに?狙ってんのか?私は安く無いぞ」

「……無しかな」

「私だって生徒は無しだよ。……いや、こいつ収入はあるみたいだし、顔も良いし、有りか?」


 何やら立ち止まって勝手にぶつぶつと怖い事を呟いている先生は放っておいてさっさと俺は教室に足を運んだ。


 教室に入ると加賀見君がもうすでに登校してきていて、いつものようにVPEXについて雑談をしていると、夏と一緒に黒木や高城さんも登校してきて、いつものメンバーで談笑していると始業を知らせるチャイムが鳴ったので、俺たちは自分たちの席に戻って今日も学校生活が始まった。


授業が進んでいく中でも俺は朝見たダンジョンの事が脳内から離れなかった。

鏡花さんやセツナの親御さんへの挨拶の話は閑話でしようと思います。また、閑話で一葉さんとの話もすると思います。


さて次話から本格的に迷宮踏破編が始まります。


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@shirokumakemono


by白熊獣

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