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【七話】私の限度額は53万です。嘘です限度額無制限です。

店員のお姉さんに電子レンジのエリアに案内され巧みなセールストークでかなり良い値段のする電子レンジを買わされてしまった。


俺はクレジットカードの限度額が不安になり、神様にLINEをしたところ、このカードはパラジウムカードと呼ばれるもので限度額無制限、さらに様々な特典がありプライベートジェットの手配とかも出来てしまうヤバイカードらしいことが分かり、安心するべきか、恐怖するべきか分からなかった。


――こんな時どんな顔すればいいか分からないの…


「笑えばいいと思うよ」


「はっ!頭の中を読んだ…だと!?」


「何言ってるの?私何も言ってないけど?」


どうやら俺が神様とLINEをしている間に、桜さんは復活していたようで既に素知らぬ顔で話しかけた来た。


「あ、そう言えば、パソコン担当の人がもう少しで来てくれるらしいよ?」


更に桜さんは店員のお姉さんから知らない間に話していたようで、あたかも俺が話を聞いていない人みたいな扱いをされてしまった。


納得行かない。


「ん、了解。この後どうする?あとパソコン選んだら、電気屋にはもう用ないけど…」


「とりあえず、お茶して決めよっか?」


桜さんは、はにかんでそう返事してくれた。


「え、買い物以外でも一緒にいてくれるんだ?」


俺がそう言うと桜さんは少し顔を赤くしていたが、フリーズするほどではなかったようだ。


「…ま、まあ?友達、だし?」


「…おー!嬉しいなぁ俺と桜さん友達になれたんだ!」


桜さんは言うだけ言って恥ずかしくなってしまったようで、そっぽを向いて髪の毛をくりくりし始めてしまった。どうやら俺に返事はしてくれない様だ。


けれどその桜さんの今日何度か見た照れ方が可愛らしくて、見る人によってはあざといと取られてもおかしくないその仕草は俺に多大なるダメージを与えてきた。

今日転生とか急に大富豪になってたり色々なことがあったせいだろうか、少しおかしくなっているのかもしれない。


桜さんのことが好きになり始めている。ということが無駄に高いスペックの頭脳が教えてくれていた。





「あ、あのぉ、いい雰囲気のところすいませんPC担当です…PCをお探しのお客様で宜しかったですか?」


「うぇっ!?っはい」


急に後ろから話しかけられて変な声を出してしまった。後ろに振り向くと頬を掻いている男性が立ち尽くしていた。


「あーすいません…なんかいい雰囲気でしたので話かけづらくて…」


ものすごく申し訳なさそうな表情をしていて、俺も申し訳ない気持ちになってしまった。


「あーこちらこそ、すいません。そうですデスクトップのゲーミングPCが欲しくて。」


「かしこまりました。スペックとか、メーカーはどうしますか?」


「とりあえず高くても構わないので、可能な限りスペックの高いものでお願いします。」


「光る奴のが良いですか?」


「…光らないやつで、お願いします。」


「かしこまりました。ご案内します。」


男の店員の後ろをカルガモの雛のようについていくと前の世界でも見たような光景が広がっていて、少し興奮してしまった。

多数のデスクトップに、大きいPCや小さ目のPC色とりどりにピカピカ光っているPCさまざまなPCが並んでおり、男のロマンがうずいてしまった。


「やっぱいいなあこうゆう光景」


「ですね、男の子はやっぱり興奮しちゃいますよねぇ」


俺の呟きが店員さんにも聞こえてしまったようで、店員さんと少し笑いながら歩いていく。

桜さんは付いてきてはくれているが、あまり興味がないようできょろきょろと見渡すのみで特に何か反応があるわけではなかった。


「これとか、どうですか?現役プロゲーマーの雪原(ゆきはら)さんのスポンサーが出してるコラボPCです。光らないですし、スペックもハイエンドでゲームしながら配信とか、何でもできますよ。コラボなのでブロマイドと雪原さんの所属しているチームロゴシールも付きますよ。」


「雪原さん…ですか?」


店員さんが勧めてくれたPCは見た目こそシンプルなPCだったがスペックを見ると本当にハイエンドのものだった。

ただ、どうやらプロゲーマーとコラボしているPCらしいが前の世界で聞いたことのない人だった。


「あれ、ご存じないですか?雪原セツナさん有名ですよ?VPEXのプロゲーマーで所属しているチームが最近世界大会を優勝してテレビとかでも取り上げられているんですけど…ほらこのポスターの子です」


店員さんは少し早口になりながら雪原さんのことを教えてくれた。

ポスターの方を見ると、先ほどテレビのスーパー女子高生に出演していた女の子だった。


「あぁ、確か女子高生の」


「そうです、そうです。滅茶苦茶可愛いし、ゲームも上手いんですよ!VPEXに至っては次元が違いますが、配信も常に一万人ほど見てますし。いやー僕セツナちゃんのファンなんですよねぇ」


「そ、そうですか…じゃあこれにしようかな。」


「お目が高いですねぇ!」


何というか急に店員さんのテンションが高くなって、雪原さんのことを語り始めた時は詰め寄られて少しビビった。

まあPCにはスペック以外は求めない人なので構わないか…それに有名どころのスポンサーの会社なら安心できるし。


「キーボード等のデバイスはどうしますか?セツちゃんコラボモデル買っていきますか?PCとは別パターンのブロマイド付きますよ!」


「いや、デバイスは自分の好きなものがあるので、自分で揃えます。」


「そうですか…」


店員さんは急にしょぼんとした顔で落ち込んでしまったが、正直成人男性のしょぼんはキツイものがある。

雪原セツナさんブロマイド出しすぎでしょ…どんだけパターンあるんだろと思わずには居られなかった。


「とりあえず、会計お願いしてもいいですか?この紙持ってレジに行けばいいんでしたっけ?」


「…あ、そうですね…はい」


「有難うございます。桜さん行きましょっか?」

「あ、うん」


未だにしょぼんしている成人男性を置いて、俺は展示されているゲーミングチェアに座っていた桜さんに声を掛けてレジに向かった。




正直ゲーミングチェアに座って洗濯機の時のように「お~」とか「ふあ~」とか呟きながら高さを上下させたり180度リクライニングして楽しんでいる桜さんは滅茶苦茶可愛かったと言っておこう。





筆者のPCは光る奴です。VPEX=apexです。

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どうぞよしなに。BY白熊獣

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