【五十話】上手いって伝えて置いて
三人で雪原チームと戦うための作戦を話し合い最終的には祈るということで決まった最終試合が始まってから数分、俺たちは最初に降りた街で物資を漁り終わったあと、安置が少し遠いところに収縮するのが分かったので敵影が見えないということもあり少し話ながら移動していた。
「そういえばまだ、雪原チームのキルログ流れてないですよね?」
「流れてないよ~」
「それに、まだ大きな戦闘も起きてないようですね」
俺がそう聞くと、ミラーさんが直ぐに答えてくれた。勿論俺も雪原チームの動向を見逃さないようにキルログは常に視界の端で見つめていたのでただの確認ではあったが雪原チームに動きはない様だ。
それに明星さんが言った通りキルログを見る限り、初動後の軽い戦闘で何チームかのキルログは流れていたが、パーティが何個も壊滅するような戦闘は未だ起きていないかった。
「このまま生き残っていけば雪原さんのチームと戦えますかね?」
明星さんとしては雪原セツナに関しては別に戦いたいとかもないはずなのに俺たちの都合に合わせてくれていて有難い限りだ。
「どうだろうね~それこそ神のみぞ知るってとこだと思うけど」
「まぁ、両方のチームが最後まで生き残っていればいずれは戦うことになるだろうし、頑張るしかないとは思いますけど、出来れば正面から戦って雪原チームに勝ちたいですよね」
「そりゃ勿論ね~あ、そこの家取ろうよ」
「了解です」
「分かりました!」
俺達が三人で軽く話していると次の次の安置の中の比較的強い家が空いているようだったので、俺たちはそこの家を取り一旦は落ち着けた。
「そういえば、敵が来たら勿論戦うでしょ?」
ミラーさんが俺にそう聞いてきた。
「勿論です。ただ漁夫が来るようなら直ぐに場所を変えるか、そのまま戦えそうなら応戦するって感じで、生存の方に重きを置きたいですね」
「ん、了解~」
そうして一つの家を防衛すること数分。
「来ないね~」
「来ないですね」
人っ子一人いないと言ってもいいだろう。他のパーティの足音は勿論周辺での戦闘も一切起きておらず静かな物だった。
「まぁ、生存ってことで言えばいい事なんですけどね……」
「雪原チームのキルログは流れたね~まぁキルした方でのログだからまだ生き残ってるみたいで何よりだね」
「あはは、それじゃあ一旦私、次の安置見に行ってきますね」
俺とミラーさんがそう話していると次の安置の収縮が終わり次の安置を見れるようになったので、俺たちのチームの中で明星さんが次の安置を見れるブラハと言うキャラを使っているので近くの次の安置を見れるポイントに見に行くようだ。
「護衛いる~?」
「まぁ、多分大丈夫だとは思いますけど、一応お願いしても良いですか?」
「おっけ~」
安置を見に行く明星さんを護衛するためにミラーさんも明星さんに付いて行ってしまったので今この家には俺だけが残るという形になった。
少し待つと次の安置を見れたようでミニマップに次の安置が表示されていた。
「大丈夫そうですね」
「ですね。とりあえず次の安置まで移動しますか?」
「そうですね、早め早めに次の安置の家取っておきたいですし」
「この安置だと、多分ここら辺が最終安置になると思うから~この家とかどう?」
「良いと思いますよ」
「私も賛成です!」
ミラーさんがそう言ってマップに次の安置の中にある一つの家にピンを立ててくれた。
俺としても凡そこの安置だと最終はそのあたりに収縮するだろうと思ったので、俺と明星さんは賛成の返事を返す。
俺達は次の目的地が決まったので移動するが、相も変わらず周辺からは戦闘の気配のけの字も感じられない様子だった。
勿論既に安置内に入って待機しているパーティもいるとは思うが俺たちのいる辺りには人がいないみたいだ。
「相変わらず人いないね~」
「ですね……」
「なんかここまで人の気配がないと少し不安になってきますね……」
「まぁいない分にはまだいいですけど、雪原チームもまだ生きてると思いますし……」
「キルログは流れてないですけど、どの辺にいるんですかね?」
「どうだろうね~まぁ僕たちは静かにして他のパーティがこの家に入ってきたら応戦する感じで良いと思うよ~」
「ですっ……足音聞こえません?」
「聞こえるよ~」
「私も聞こえました!」
俺がミラーさんに返事をしようとしている最中に外から他のパーティの足音が聞こえてきたので俺たち三人は直ぐに戦闘をする準備をする。
「今のところ他のパーティも見えてないし、こっちから行ってもいいと思うけど~どう?」
「確かにキルポイントも欲しいんですよね……行きますか?」
「いこっか~」
「了解です!」
「了解」
相談の結果こっちから一回ちょっかいを掛けることにになったので、家の中からそこに入ればすぐに戻ってこれるようにゴーストのアルティメットスキルのワープホールを発動して俺が先頭でそのパーティとの戦闘を始める。
俺がワープホールを焚いて近づいてきているのがそのチームにも音が聞こえたのか直ぐに応戦してきた。
直ぐにワープホールの出口を焚きたかったところに焚いて後から二人が入ってくるのを待ちつつも、そのパーティの一人が射線が通る位置にいたのでエンゼルを二発当てアーマーを割った。
すると、その人のカバーの為に一人が顔を出すと同時にミラーさんがワープホールを通りこちらまで来てくれたので直ぐに二人でフォーカスして一人を落とす。カバーで出てきた人に俺はアーマーの八割ほどが削られてしまったが、さすがにミラーさんとのクロスが組めていたので負けるつもりは無かった。
そうして最後に明星さんがワープホールから出てきた時には2vs3の構図が出来上がっていたので後は丁寧に残りの二人を削りながら詰めて残りの二人も落として俺たちはあっという間にワンパーティを壊滅させた。
「あ、これ彗ちゃんのチームでしたね」
明星さんがキルボックスを漁りながら思い出したようにそう言った。
「え、どの子~?」
「えーっと多分……あ、多分ミラーさんがワープホールから出た後にskyさんと二人で落とした子ですね」
「あ~あの子か。sky君結構削られてたよね?」
「まぁ確かに八割ぐらい削られましたけど」
ミラーさんにそう聞かれたので確かにアーマーを半分ほど削られたが一体それがどうかしたのだろうか?
「いや、僕とsky君がフォーカスしたのにその状態でアーマー半分削るのは結構上手いんじゃないかなって思ってさ~」
「本当ですか?それ伝えたら多分彗ちゃん喜ぶと思いますよ!確か彗ちゃんお二人の事絶賛してましたから」
確かにミラーさんの言う通り俺とミラーさんにフォーカスされながらも俺のアーマーを八割削るのは結構上手い人じゃないと出来ないだろう。
「その子ってランクはどのぐらいなんですか?」
「えーっと確かダイヤとかだったと思いますけど……それがどうかしたんですか?」
「ん、いや?特に深い意味は無いですけど、その子に上手かったって伝えて置いてください」
ダイヤと言えばマスター、プレデターの一つ下のランクではあるがそれにしては結構上手いほうな気がした。もう少し頑張ればマスターにも行けるんじゃないかと思ったが、立ち回りとの兼ね合いもあるので何とも言えないか。ただエイムだけで言えばマスターでも通用する気がした。
「あ、僕も言ってたって伝えといて~」
俺に続いてミラーさんも彗さんに上手かったと伝えてほしいと言った。
「わ~多分彗ちゃん嬉しいと思いますよ本当に!」
「あはは。まぁとりあえず家に戻りますか?」
「そうだね~」
「了解です!」
先ほど焚いて置いたワープホールに入って家の中に戻ると一気にキルログが流れた。
「わ、一気に流れましたね!雪原さんも一人でワンパーティ壊滅させてますよ!」
明星さんが言った通り、一気に流れたキルログには雪原セツナの文字も並んでいて今のところ雪原チームも生き残っているようで安心した。
今現在の残り部隊数は9部隊、俺達と雪原チームを除いたとして7部隊他の部隊がいることになり、ここからは部隊の減りも鈍化することを考えても良い調子で来れているだろう。
「このままいけば雪原と戦えそうだね~」
「そうですね、問題は他のパーティに邪魔されなければ良いですけど」
「そこは祈るしかないんですよね?」
「そうだね~まぁ雪原も調子良さそうだし、このままいけば多分ぶつかると思うよ~」
そんな事を話していると、安置の収縮が終わる。
ミラーさんの予想通り俺たちのいる今の家もしっかり安置内に入ってるし、最終安置もすぐ目の前といったほぼ完璧な安置読みのおかげで俺たちはこのまま行けば最終安置の戦いに参加できるだろう。
後は雪原チームが生き残ってくれれば、正面から万全の雪原セツナと戦うというのが夢物語ではなくきちんとした可能性として現実味を帯びてきたように思える。
俺達は最終安置までこの家を取られないように守り、後は雪原セツナとの戦いに勝てば確実に雪原セツナ
に正面から戦って勝ったと言えるだろう。
最悪雪原セツナに勝てれば他のチームに漁夫られて負けたとしてもその結果は俺達的には大勝利と言えるだろう。
「このまま最後まで気を抜かず頑張りましょう!」
「がんばろ~」
「はい!頑張ります!」
なんだかんだ今回の話で50話を達成しました。これもすべてアオカミを読んでくださる皆様のおかげです!これからもアオカミは亀更新のゆっくりさではありますが完結までは書き続ける気持ちでいますので、これからもアオカミをどうかよろしくお願いいたします。
PS
最近ちょこちょこ新作を書いて書き溜めを作ってます。
もしよかったら新作の投稿を始めたらurlをアオカミのあとがき等に貼りますので、興味がある方は是非読みに来てください!ジャンルとしてはがっつり現実世界のラブコメです。
勿論新作を投稿し始めてもアオカミの更新自体は続けていきます!




