【四十話】遊びはガチでやってこそでしょ
投稿が遅れているのも全部ウマ娘のせいなんですよ……ユルシテ……ユルシテ……
マックイーンちゃんが私を呼ぶ声が聞こえるんです……
俺達テレスコープの三人はついに初のスクリムの開催日である土曜日を迎えていた。
スクリムの開始時間はまだあと一時間ほどあるが、俺たちは既にディスコードで通話をしながらある配信が開始するのを待機している。
その配信とは、ARカップのスクリムを解説実況すると言うモノで、全部のチームの解説、注目選手の紹介等がスクリムの開始時間前に行われ、スクリムが始まると解説実況を行うと言った所謂神視点やオブザーバー視点の配信である。
この視点は、スクリムの時点でまだ応援するチームが決まっていない人や、個々のチームではなく大会そのものを楽しみたい人が数多く視聴するためかなりの接続数を誇る配信だ。
「あ、始まりましたよ!」
俺は明星さんのその声でモニターに視点を移すと、待機画面だった配信に映像が乗っており、ARカップスクリム特別解説配信が始まっていた。
解説配信には他FPSゲームの大会は勿論VPEXの大会でも雪原の所属するチームまでとは言わなくてもそこそこの成績を収めている有名プレイヤーのアルさんとフリーのアナウンサーである佐藤さんが解説と実況を担当している。
佐藤さんが解説配信が始まったことを確認して口を開いた。
「と、いう事で本日のARカップスクリム解説配信が始まりましたが、アルさん、今回の注目チームは何処になるのでしょうか?やはり雪原選手のチームでしょうか?」
「そうですね……僕としては雪原セツナ一強になるとは思っては無いですね。」
佐藤さんに質問されたアルさんは少し考えた後そう言った。佐藤さんはアルさんの真意が掴めないような表情を浮かべてアルさんに再度質問する。
「と言うことは、他に注目チームがいるのでしょうか?」
「そうですね。何といってもARカップはパーティーメンバーの実力に応じて必要ポイントが決まっておりますし、中でも雪原選手は一人で半分近くのポイントを消費しますから、雪原選手のチームメンバーはほとんど初心者しか入れないと思って構いません。VPEXというゲームは三人一組で戦うゲームと言うこともあり、個々の実力があるに越したことはありませんが、何よりも重要なのが三人の連携なのです。」
「つまり、最も連携を突き詰めたチームが勝利すると?」
「僕はそう思っています。」
アルさんはつらつらと長いセリフを嚙むこともせずに話し切り、佐藤さんの問いにも即答で答えた。
「お決まりの奴だね~」
アルさんが話し終えたのを聞いてミラーさんんがそう呟いた。
「え、そうなんですか?」
「そうそう。ARカップでは毎回そうやって言うけど、結局雪原が無双して優勝までがテンプレなんだよ」
ミラーさんの言葉を聞いて不思議に思ったのか、明星さんが聞き直すとミラーさんがそう言った。
「まあ、普通の人じゃ連携を鍛えたチームに勝つことは出来ないから、雪原が強すぎるだけなんだけどね」
俺もミラーさんに続いて言う。
「ひゃあ~そうなんですね……そんな人に私たちが勝てるんでしょうか……」
俺とミラーさんの言葉を聞いて明星さんは不安に思ったのか、自信なさげに言う。
「勝つよ。僕たちは」
「まぁ、俺もそのつもり」
ミラーさんは最初から一貫して雪原に勝つと公言しているので今回も勝つと言った。俺もミラーさんに付いていくつもりだし、せっかくの大会なのだ、ガチでやってこそだ。
「……ですよね!私も頑張ります!」
明星さんは俺たちがはっきりと言っても少し心配しているようで少し言葉に詰まっていたが最後にはやる気を漲らせた。
俺達が決意を新たにしている最中も解説配信は進んでいて各チームの紹介に入っていた。
「続いては、本大会のダークホース「テレスコープ」です!このチームは大会出場申し込みギリギリにチームのうち二人が出場条件を達成し、出場が決まったチームです。」
「このチームは僕の注目チームですね。チームの一人のミラー選手は他FPSでも知名度のある選手ですし、チームメイトのSKY選手はミラー選手と同じくプレデター帯の上位層にいながら、他FPSでの知名度は全く無いという謎に包まれた選手です。最後の一人明星選手はバーチャルヨウツーバーとして活動していますが、VPEXが初めてのゲームと言うことで実力は不透明の選手ですが、日本でも上位のチームメイト二人から指導を受けているので活躍が楽しみです。」
「私の方で追加情報を伝えさせていただきます。テレスコープはミラー選手とSKY選手がVPEXでのプレデター帯でプロを除いて日本最上位プレイヤーであり、ようつべに「空鏡」名義で動画を投稿しています。
SKY選手の圧倒的なエイムとミラー選手の堅実な立ち回りが人気のチャンネルになりますね。」
「最後の一人の明星綺羅選手は少しお二人とは分類が異なります。バーチャルヨウツーバー事務所のでぃすいずに所属しており、VPEXを始めるまでは雑談配信を主に行っており、VPEXが初めてやるPCゲームだそうで、最初の方はプレイもおぼつかなかったのですが、二人に鍛えられて今では一角のプレイヤーと言っても過言ではありません。この三人が今大会でどのような活躍をしてくれるのか、今回のスクリムで明らかになります!」
「続いては……」
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「僕たちの紹介も終わったし、始まるまで最後の調整しよっか?」
「うん、そうだね」
「了解です!」
俺達の事が思っていたよりも細かく取り上げられていたことに少しびっくりしたが、俺たちの紹介が終わったのでミラーさんはスクリム前の調整がしたいと言ったので俺と明星さんも射撃訓練場でスクリムの開始時間まで調整をする事にして、解説配信を閉じてVPEXを起動した。




