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【三十八話】割と適当に考えたなんて言えない……

桜から伝えられた衝撃的な事実に驚いたりなんかもしたが、なんだかんだ俺もこの世界のいい加減さに慣れてきているのだろう。直ぐに「そういう事もあるか」と納得してから数日が経った。


今日はミラーさんと明星さんがちょうど予定が空いているということで、明星さんのようつべチャンネルでコラボ雑談配信をすることになった。

雑談の基本的なテーマとしては、ARカップに出場する際のチーム名決めしか上がっておらず、本当に行き当たりばったりにコメントを拾って話していく形だ。


ただ普通の雑談配信と違う点が一つある。それは俺達空鏡の二人がこの配信にゲストとして出るのはまだ視聴者の皆は知らないということだ。



俺とミラーさんはいつもの空鏡での配信とは流れる速度が段違いのコメントに圧倒されているが、明星さんは流石いつもこのスピードでコメントを拾っているだけあって、慣れた様子で自己紹介をしている。


「こんばんわ。私こと明星綺羅の配信に来てくださっている皆さん楽しんでいってくださいね!……そして!今回の配信には特別なゲストが二人来てくれています。何となく察しの付いた方もいますかね?」


『え、誰~?彗ちゃんじゃわざわざゲストって呼ばないしな』


『二人ってことは……』


『まさかあの人たちか……?』


『あの人たちってなんだよ』


『ご存じないのですか!?』


今適当に目に入ったコメント以外にもどんどんとコメントがされ、下に下にと直ぐにコメントが流されていってしまう。


「……結構察している人もいるみたいですが、一応サプライズなので……ネタバレは控える方向でお願いしますね?」


『了解!』


『分かったよ~』


『ネタバレも何も誰が来るのかマジで分からんのだが』


「……それでは、お二人に出てきていただきます!」



明星さんはそう言ってから、配信に声が乗らないように俺たちに向けて合図の掛け声をしてくれたので、俺は少し緊張しながらも気合を入れた。


「……えー。どうも空鏡のSKYです。一応ARカップで明星さんと出場する予定です。」


「こんばんは。空鏡のミラーです。SKY君同様僕もARカップに一緒に出ます。僕とSKY君はVPEXでプロを除いて日本最上位プレイヤーやってます~」


俺達は配信前に決めていた順番で自己紹介をした。


『おおお~~!!やっぱり!』


『二人が綺羅ちゃんと雑談してくれるの待ってた!』


『誰だよ……』


『お前綺羅ちゃんのVPEX配信見てないのかよ?』


『二人とも声良いなぁ』


俺達の自己紹介を聞いて既に察していた視聴者は直ぐに歓迎してくれ、俺たちの事をまだ知らない人たちも少ない数ではあるが居るようだ。それでも概ね明星さんの視聴者たちは好意的に迎えてくれたので一安心と言った形だ。


「……はい!と、いう事で空鏡のお二人です!一応二人を知らない人のために説明しますね!お二人は現在VPEXを主にプレイしていて、ようつべにも動画を投稿したり、配信をしていたりします。」


「VPEXをプレイしている人で、動画を投稿したり、配信をしている人は結構な数居ると思いますがこの二人の凄いところはVPEXのランクの一番上のプレデターというランクで全世界40位代をキープしており、これは日本のプロゲーマーの数人を除いて一般のプレイヤーでは最上位にいるという事です!」


明星さんは俺たちの事を知らない人のためにつらつらと俺達二人の事を紹介してくれた。


『思ってたより凄い人たちで草』


『空鏡はVPEXプレイヤーの中ではかなり人気だぞ?』


『このゲーム上手いやつにありがちな声が良いのなんなん?』


『分かるわ。それ』


「いやぁなんか照れるなぁ~多分SKY君よりは僕の事を知ってる人もいるのかな?」


『ミラーさんっていろんなゲームで、上位層にいる人だよな?』


『あ、俺もSNSで見たことあるかも』


視聴者の皆の中にはミラーさんの事だけをを知っている人もいるようで、ミラーさんは流れるコメントの中から自分の事を知ってくれている人を見つけては「どーもどーも」と挨拶をしていた。


俺はミラーさんが思っていたよりも早くこの雑談配信に適応しているのを目の当たりにして、緊張してきた。


如何せんいつもの空鏡の配信に見に来てくれている人達の人数と今明星さんの配信を見に来てくれている人数は桁が違うのだ。


『それで、今日は何の話をするの?』


「そうですね~とりあえず今日は、ARカップに出場する際のチーム名を決めたいと思います!」


明星さんが一つのコメントを拾って今日の趣旨を皆に伝えると今まで以上にコメントが加速していった。そのコメントは喜びのコメントであったり、自分の考えていたチーム名などがどんどんと流れていく。


「わわ、そんなに一気にコメントされても、読み切れないですよ!」


明星さんが言う通り様々なチーム名が高速で流れていく中にも関係の無いコメントもあるので、さすがの明星さんも数多くのコメントの中から良さそうなチーム名を抽出するのは難しいようだ。


俺も一応コメントの中から良さそうなチーム名を探すが、探し始めて直ぐに無理だと諦めた。


「とりあえず、僕たちで何個か候補出すのがいいんじゃない?」


ミラーさんが落ち着いた様子でそう提案するが、俺としては何処にそんな余裕があったのかミラーさんに聞きたくなった。


言っていることは尤もなのだが。


「それもそうですね!とりあえず一人一個ずつ候補出していきますか?」


「いいと思いますよ」


俺が明星さんの意見に賛成し、取り敢えず一人一個候補を出すことになった。


三人で相談した結果先陣を切るのはミラーさんに決まった。


「じゃあ、僕から。雪原討伐隊ってどう?意味は言葉通りだよ~」


『強気すぎるw』


『でもこの三人ならやってくれそうな気もする……』


『でも可愛くないよね?』


『良いとは思うけど……他のプレイヤーの名前が入ってるのはいいのか?』


ミラーさんの挙げた「雪原討伐隊」はまずまずの反応だった。


ただ、チーム名に他のプレイヤーの名前が入るのはいかがな物かと言う意見もちらほらと見かけた。

確かにそう言ったことも考えていかないとそこそこ大きい大会なのだからまずいだろう。


「次は私ですね……2+Vはどうでしょう。意味としては空鏡の二人が2で私のバーチャルのVと明けの明星である金星の英語訳の頭文字がVなのでそのVです!」


『よさげ!!』


『シンプルでいいかも!』


『でもちょっとシンプルすぎるかも?』


『なんか綺羅ちゃんが一人だけ離れてる感じがするかも?』


明星さんの候補「2+V」はミラーさんの雪原討伐隊よりは圧倒的に支持されていたが一部には+Vという部分が明星さんが一人だけ離れている様に感じる人もいるようだ。


今のところ出た二つの候補では明星さんの候補の方が優勢と言ったところだろう。


俺が順番的に最後なので、考えてきた候補が滅多撃ちにあったりしないか心配でしょうがなかった。

そんなことを言っても俺の発表がなくなるわけはないので大人しく考えてきた候補を口にする。


「……じゃ、俺ですね。俺の考えた候補は、テレスコープです。意味は空に浮かぶ星を見るための鏡である望遠鏡の英訳です。俺達の名前が入っているし良いと思うのですが……」


俺はコメント欄を見るのが怖かったので自分でチーム名の意味を説明しながら目を瞑った。


説明を終え、恐る恐るコメント欄の反応を見てみる。



『これだろ』


『これだね』


『お洒落やん?』


『綺羅ちゃんのもよかったけど、これは三人一緒って感じが良いね!』


『センス〇』


『言葉の響きも格好いいな』



俺が目を完全に開けると、コメント欄のみんなは三つの中で一番賛成意見が多かったような気がした。


「SKY君センスあるじゃん!こんなのいつ考えていたのさ?」


「SKYさんこれが良いですよ!視聴者の皆さんも賛成多数ですし!」


俺が賛成の意見で埋め尽くされているコメント欄を気恥ずかしさを感じながらも眺めて居ると二人も俺のチーム名を褒めてくれた。

俺的にはかなり安直に考えた名前だったのでここまで褒められるとは思っていなかったのでさらに気恥ずかしくなってしまった。


「一応アンケートも取ってみます?」


「まぁ多分結果は決まってる気がするけどね~」



俺が気恥ずかしさで黙っていると明星さんが配信画面を操作し、配信画面に「雪原討伐隊」「2+V」「テレスコープ」の三つの候補のアンケートを出していた。


「じゃあ皆。良いと思う候補に投票してください!時間は今から10分間でお願いします!」


そうして三つの候補の中で投票が始まった。



――――――――――――――――


「集計できました!」


制限時間が10分あるということもあり俺たち三人は手持ち無沙汰になってしまったので、既に投票を終えた視聴者の皆さんとお話ししていると集計が終わったようで、明星さんが集計が完了したと声を上げた。



「え~結果は……「雪原討伐隊」9.6%「2+V」21.1%「テレスコープ」69.3%です!まぁ何となく分かってました!」


「いや、元気いっぱいに言う事でもないでしょ……異論はないけどさ」


二人は自分の挙げた候補が芳しい結果を残せなかったのにも関わらず笑いながら言ってくれた。


「いやぁ、なんかあんな安直でよかったのか不安になりますね……」


『いや、テレスコープはだいぶセンスいいと思うぞ』


『そうそう』


『このまま、ARカップも優勝してくれ!』


「いやいや、SKYさん本当にセンスいいですよ!」


「流石のSKY君クオリティってかんじかな~とりあえずテレスコープで申請しておくよ~」


俺は本心でそう言ったがコメント欄のみんなはそうは思っていないようだ。勿論二人も俺の考えたテレスコープと言うチーム名には反対意見は全くないようだ。




今日の雑談配信の唯一の主題であるチーム名決めは視聴者アンケートによる賛成多数と、二人の賛成により俺の考えた「テレスコープ」に決まった。


チーム名が決まった後も俺たちは予定通りテーマの無い雑談を二時間ほどして、明星さんのチャンネルで行われた空鏡のシークレットゲスト配信は最後に三人でテレスコープとして今まで以上にARカップに向けて練習し、優勝することを視聴者の皆に約束し締められた。



配信が終わった後俺はいつものように桜といちゃつきながらその事を桜に報告したら桜はピコピコの事は分からないけど頑張ってね!と言ってくれたのでより一層ARカップに向けて熱意が高まった。




――ARカップ本番まで残り一ヶ月……

何時だか募集していた本小説の略称募集の件ですが眠気には勝てませんさんが考案してくれた青神せいしんを少し私の方でもじって本小説の略称は『アオカミ』にします。


だから何だって話ですが、これからも私の小説ことアオカミをよろしくお願いいたします!


by白熊獣


追伸。眠気には勝てませんさん、考案してくれた略称を勝手に私の方でいじって変えてしまい申し訳ありません……


許してください!何でもしますから!


いや、なんでもはちょっと厳しいかもしれませんが……

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― 新着の感想 ―
[一言] 重婚が認められているようですが、 桜さん一筋なイチャラブ展開がみたいです。 異世界ものならいいかもですが、現実世界のハーレムは少し抵抗ある人多い気がします。
[一言] 作者これやりたかった説w
[良い点] ゲームの話がとても面白い!大会とか配信とかそういうリアリティがある小説はこの小説の他にはないのでめっちゃいいと思う! [気になる点] 男の親友的な人はまだいないのかな? [一言] これか…
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