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【二十二話】これが世界で500人しか味わえない景色か……

『今暇ー?』


俺が家に帰ってVPEXをやろうと思ってパソコンをつけるとディスコードに最近仲良くなって二人でやるようになった、ミラーさんからメッセージが来ていた。


ミラーさんとは基本的に真昼間と深夜に一緒にVPEXをやっており、俺はミラーさんの仕事が何なのか気なっているがマナーとしてまだ聞いたことは無い。


『いいですよー』


そのメッセージに返事をするとすぐにミラーさんから通話が掛かってきた。


「や、久しぶり」


俺が通話に出るとミラーさんの男の割には少し高い声が聞こえてきた。


「久しぶり、最近リアルが忙しくてなかなかできなくって」


俺はミラーさんと初めて知り合った時にため口でと言われてからは、ため口で話している。


「そりゃ、しょうがない。」


「いやほんとごめん。ミラーさん結構ガチでやってるじゃないですか、僕にランク合わせてくれなくてもいいのに」


「いいんだよ、僕は君とやりたいんだから。それに君と二人でやった方がランクも上がるしね」


「そんなことないですよ。ミラーさんVPEXめっちゃ上手いじゃないですか」


「まあね。君のエイムには勝てそうにないけど……」


ミラーさんとは最初はランクのマッチで知り合った中だが、エイムこそ俺の方が少しいいが、立ち回りだったり、ゲームの知識、キャラの操作テクニックは俺よりも格段に高い。


「いや、俺だってエイムだけですよ。どうにかミラーさんに教えてもらいながら練習してますけど……」


「まだ、Sky君に負けるつもりはないからね!」


「あはは、取り敢えずランクでいいですか?」


「勿論!今日こそプレデターのボーダーに乗っておきたいからね」


「了解です。じゃあランク行きましょうか」


そう。俺はミラーさんと一緒にVPEXをやるようになってから、それまではエイムのごり押しのせいでランクがダイヤの上位で止まっていたが、ミラーさんにエイム以外の知識を教えてもらったおかげで、今は上から二番目のマスターランクに到達していた。


そもそもミラーさんはプレデター帯の常連プレイヤーで、たまたまサブ垢のランクを上げているときに俺と出会い、それからは基本的に俺と一緒にやってくれている。


「武器は今日もエンゼルとムスティフで行くの?」


俺とミラーさんがゲーム内で飛行機から降下しているとミラーさんにそう聞かれた。

そうなんだかんだ、VPEXをしている中で、リボルバーのエンゼルとショットガンのムスティフを持つのが俺の定番構成になっていた。


「まあ、一番キル取れる組み合わせなんで……」


「はは、Sky君のエンゼルはチートじみてるからな。……本当にチート使ってないんだよね?」


途中からミラーさんも自分で言っていて、俺のエイムの良さに不安を思ったようでそう聞いてきた。

この体でVPEXをプレイしていると、たまたまマッチしたプレイヤーにチートの疑惑を掛けられるのはいつもの事だったので、ミラーさんとプレイするようになって最初の方にチートではない証明をしたのは記憶の中でも新しい。


「動画で見せたじゃないですか……」


「あはは、コンスタントにヘッドショットを当ててるのを見ると、ね」


ミラーさんの言う通り、エンゼルの弾倉は最大8発なのだが、最近は8発中5発はヘッドショットに当たるようになってきたので、これはいつものミラーさんとの定番のやり取りだ。


「あ、エンゼルあったよ。拡張マガジン青も落ちてる」


「貰いに行きます。」


二人で一つの町に降下して物資を漁っていると、ミラーさんの報告でエンゼルを見つけたそうなので、俺はそこに行ってエンゼルを装備した。


「そろそろ戦える?」


「余裕」


俺とミラーさんは物資がそろった時点で、敵を殺しに行くプレイを好んでいるので、二人の物資がそろった時点で、直ぐに行動を開始した。


「Sky君の方に残りの一人行ったよ」


「了解です。……あ、一部隊これで終わりですね」




「ミラーさん二人アーマー割って一人落としてます。」


「了解。……よし、これで終わり!」




「三人殺しました。」


「やるねぇ」




「ラスト一部隊二人だね、Sky君行こっか」


「はーい。」



「「うぇーい、チャンピオン~」」


三人一組のゲームなのでも一人味方が居たが、俺たち二人でほとんどの敵を倒していくため、野良の人は何もしないまま、最後の部隊との戦闘が始まった。


まず俺が一人のアーマーをエンゼルで割ってから、ミラーさんと俺で一人を同時に打ってダウンさせるとそこからは三人で一斉に突撃して無事チャンピオンを取れた。


正直なところ俺とミラーさんはチャンピオンを取り慣れているので過剰に喜ぶことはしないけど、それでも様式美として、チャンピオンを取ったときは素直に二人で喜びを分かち合う。



「このチャンピオンでさすがに行ったよね?」


「うん、これはプレデター乗ったね~Sky君初プレデターおめでとう!」


俺たちはそれからも何マッチもチャンピオンを取ってどんどんとポイントを手に入れていった。

そうして夜の11時付近についに俺とミラーさんはプレデターのボーダーに乗ることが出来た。

俺が481位ミラーさんが482位の同時フィニッシュだ。


「疲れた~ミラーさんのおかげで何とかプレデターになれたぁ」


「いやいや、僕も君とやれないときはカジュアルしかやってなかったのに、いつもよりプレデターになるの早かったよ~」


「ほんとかよ~」


「ほんとだって!まぁ後は維持するだけだね」


「うわ!そうじゃん!維持しないとマスターに落ちるんだよね?」


「そうだね~ここからが頑張りどころみたいなところあるし。」


そう今ミラーさんが言った通りプレデターランクはマスターランクの中で全世界のランクポイントTOP500人だけがなれるランクなのだ。

勿論時間が経てばその500人のボーダーも上がっていくので常に勝ち続けなければいけないのだ。


「うわ~大変だなぁ……とりあえず今日は疲れたからそろそろ終わるけど、ミラーさんはどうする?」


俺は昼間からぶっ続けでVPEXをしていたこともあり体が悲鳴を上げていたので、大人しくやめることにした。


「そうだな~僕もそろそろ辞めとこっかな~」


「おっけい!じゃあおつかれ!」


「お疲れー」


俺はミラーさんに挨拶を残してPCの電源を落として、snsでVPEXでプレデターになった報告だけして寝ることにした。


ベットに横になって寝る前にさっきの投稿を確認すると、結構な人数からいいね!が来ていたが、一番最初にいいねをしてくれていたのは相棒のミラーさんだった。


俺は何となくそのことを嬉しく思うと同時に俺がミラーさんのプレデター到達報告の投稿にいいねをしていないのを思い出して、直ぐにミラーさんの投稿にいいねをしておいた。

ミラーさんはVPEX界の中では結構有名な人なので、俺の投稿の三倍ほどいいねが付いていた。


ミラーさんの投稿にいいねをし終えて、今度こそ俺は眠りに付いた。


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