【十二話】やはり金。金はすべてを解決する。
昨日は白峰学園に行った後はそのまま疲れて眠ってしまったので朝目が覚めた時にあれ、何時だ?と一瞬びっくりしてしまった。
朝、目が覚めると昨日かなり寝たせいでアラームが鳴る前に起きてしまった。
昨日思いついた運転手さんをどうすべきか悩んでいると、このマンションの系列会社に人材派遣会社がある事を知ったので、マンションのエントランスにいる人に聞きに行くためにマンションの下に降りることにした。
「あのーすいません。」
「はい何か御用ですか?」
俺がエントランスにいる従業員に話しかけると、その人は朗らかに答えてくれた。
「車のドライバーさんを探しているんですが、お願いできますか?」
「はい。可能ですよ、何か条件はございますか?」
どうやら普通に手配してくれるそうで机の上にあるキーボードをカタカタとタイピングをしていた。恐らくドライバーを調べてくれているようだ。
「運転が上手ければ特に……あ、女性が良いです」
「かしこまりました。今手が空いているものを探しますのでお待ちください。」
最後はもごもごと小声になってしまったが従業員さんはきちんと聞き取ってくれたようで大きくうなずいてくれた。
「こちらの三人が今手が空いている女性のドライバーになります。」
「有難うございます。」
従業員さんがプリントアウトした書類を持ってきて見せてくれた。
一人目は結構歳をとっている熟練のドライバーのようで資料には20年タクシー会社に勤めていて安心できそうだった。
二人目は一人目に比べたらそこまでの経歴は無いがそこそこ経験のある30歳前後の人だったが正直一人目に比べると地味だ。
最後の三人目の書類を見た瞬間俺はこの人に決めた。経歴こそなくて最近ドライバーになった人のようだがかなり綺麗な人だったからだ。しかも大きい。何がとは言わないが。
「えーっと三人目の人でお願いします。」
「かしこまりました。連絡しておきますので、この方が到着次第ご連絡します。お車はどうなさいますか?レンタルも可能ですが。」
俺がそう言うと従業員さんは「わかってますよ」と言わんばかりの表情で手続きを進めてくれたが、何となく俺の顔採用がバレてしまったので少し恥ずかしかった。
車をレンタルも出来るようだが、何となくレンタルは好きではないのでどうせなら車を買ってしまおうと思った。
――高級車買っちゃおうかなぁ!
「とりあえずこの方が到着次第ディーラーに行こうと思ってます。」
「かしこまりました。それではお部屋で連絡をお持ちください。」
「有難うございました。」
そんな下心がちらついてきたが顔には出さないように返事をすることが出来たと思う。
従業員さんに待つように言われたので大人しく部屋に戻った。
――――――――
部屋に戻ってテレビを見ていると、エントランスから連絡が来たので再度下に降りることにする。
エントランスに降りると先ほどの従業員さんが案内してくれた。案内してくれた先はマンションの裏手に併設してあるカフェだった。
俺はそんなものがあったのかと驚愕すると同時にまだ探検が足りていなかった事を知った。
「等々力さんお待たせしました。依頼主の硯さんです。契約が決まりましたらエントランスまでお願いします。」
従業員さんがカフェでがちがちに緊張している等々力さんに俺の軽い紹介をしてくれた。従業員さんはがちがちに緊張している等々力さんと俺を置いてエントランスのほうに戻ってしまった。
俺は、置いていかないでくれよ…と思わずには居られなかった。
等々力さんは「や、やば、かっこいい」と呟いているが俺の耳はそれを聞き逃さない。割と呟かれてるのは聞きなれてきたが、それでも綺麗な人に言われるのは嬉しいものだ。
そして俺は座っている等々力さんの方を見て書類と同じように綺麗な人であることを再確認した。
グレージュの肩に掛かる程度のふわふわミディアム、ぱっちりとした目、綺麗に通った鼻筋、ぷるぷるの少し厚い唇、そのすべてが俺の好みに近かった。
そして最たる特徴は着ているスーツをぱっつんぱっつんに押し上げて主張している胸元。
「ど、ど、どうも!等々力 響っス!」
等々力さんが頭を下げると同時に、お胸の二つのマシュマロが大きく揺れて俺はそこを凝視してしまった。
うん、しょうがないよね、男の子だし。うん。
「あ、うん。硯空です。よろしくお願いします」
どうにか胸から視線を外して返事をすることが出来た。
「え、えっとぉ、なんでウチに依頼を?…あ、いや私に依頼してくれたんですか?」
「あ、良いですよ話しやすいようにしてください。僕もそうするので。」
「す、すいません…えっとじゃあ、なんでウチなんスか?ウチ経験無いし、今回の依頼がが初めてっスよ?」
等々力さんが話にくそうにしていたので、いつも通り話すようにしてもらうと、思っているより軽い口調だった。
「まぁ、特に意味は無いんだけど…強いて言うなら、顔?」
「……か、顔すか。ま、まぁ!依頼をしてもらえただけ感謝っス!」
「う、うん。とりあえず俺は等々力さんにお願いしたいと思ってるけど…いいかな?」
「是非!」
正直なところ俺はドライバーなんて誰でもいいと思っていたから、美人の等々力さんが運転手をしてくれるのであれば、特にいう事は無い。
エントランスに二人で戻り手続きを済ませて、正式に等々力さんが俺の専属ドライバーになってくれた。
専属ドライバーは依頼主の指示に直ぐに従えるように、このマンションにあるドライバーや使用人用の部屋を一室無料で借りれるらしく、等々力さんは凄く喜んでいた。
「それで、ウチはどんな車を運転すれば良いんスか?」
手続きが終わってカフェに戻り二人でお茶を飲んでいると等々力さんがそう切り出した。
「うん。それなんだけど、今から買いに行こうかなって。」
「……ん?なんか変なこと言われた気がするんスけど。今から買いに行くとか」
「等々力さんはどんな車運転したい?俺は正直何でもいいんだよね」
等々力さんはフレーメン反応を起こした猫みたいな顔をしていたが、俺はそれを無視して話を続ける。
「ちょ、ちょっとまって、欲しいっス。車今から買いに行くんスか?」
「うん。そうだよ?」
「え~!マジすか?」
「マジ。高級車買いに行こうぜ~!」
「お、お~~?」
結構等々力さんはノリが良く困惑しながらも俺の小芝居に乗ってくれた。緊張がほぐれれば、もっと楽しく話せるのかもしれない。
「何系がいい?セダン?SUV?クーペはちょっと違う気がするし、俺は乗りやすいのがいいなぁ…ロールスロイスとか!」
俺が何個か候補を上げると同時に等々力さんも考えてくれるようだ。
「えーっと、日本車だとアルファードとかヴェルファイアのエグゼクティブラウンジとかスかね?あとはセンチュリーとかもあるっスけど」
「日本車もいいなあ、取り敢えずディーラー巡りでもする?」
「了解っス!」
何を隠そう俺は割と前世でも車が好きだったので、これからする高級車ディーラー巡りをだいぶ楽しみにしていた。
――――――――
「これでいいじゃん」
「ひゃぁ~家二軒ぐらい買えるっスよこれ!」
ロールスロイス ファントム
「SUVのあったほうが良いよね?どこか出かけるときとかにさ」
「000000…ゼロが多すぎっスよ」
アストンマーティン DBX
「スポーツ寄りのセダンもいいよねぇ」
「…ウチはもう何も言わないっスよ…金持ちコワイっス」
ポルシェパナメーラ ターボ
「あの、硯さんナニモンっスか?」
「ん?普通の15歳だよ?」
「普通の15歳は良く分からんカードでポンポン高級車買わないっスよ!!」
ディーラー巡りを終えタクシーでマンションに帰宅している途中等々力さんに詰め寄られた。正直今日の俺は夢の世界の高級車が手に入るということもあって、テンションがおかしくなっててポンポン車を買ってしまった。
「それに!ウチあの車たち運転するの怖いんっスけど!!ぶつけたら海に沈められたりしないっスよね?」
等々力さんはどうやらぶつけた時の心配をしていたようだ。そんなこと心配しなくてもいいのに…
「ん?いいよぶつけても。新しいの買えばいいしさ」
「そうゆう事じゃないっスよ~~!!」
等々力さんはすでに涙目になってしまって僕に縋りついてくる。
あのー縋りつかれると、お胸様が…とは言えず黙って感触を楽しむことにする。
「やわ…っごほん。株とかFXで使えきれないほど稼いでるから、等々力さんに何か責任を追及とかしないから安心してよ」
取り敢えず神様の設定に乗っかってごまかす。勿論責任を追及しないというのは本心だ。
「……ホントに、お願いするっスよ~まだ死にたくないっスもん」
「あはは、大丈夫大丈夫」
「笑い事じゃないっスよぉ~!!」
――――――――
「じゃあ明日からよろしくお願いね?」
「うぅ~分かったスけどぉ」
そんなことを帰りのタクシーの中で話していると、等々力さんの住んでいるアパートに着いたのでそこで
等々力さんとはお別れだ。タクシーを降りてアパートへと帰っていく等々力さんの背中は酷く小さくなっている様に見えた。
三台の車は私の趣味です。興味があれば調べてみてください。
大体三台で一億強します。そろそろ空君はお金を使うのに抵抗がなくなっていきます。
ファンタジーディーラーなので15歳でも車は買えるし、保険とかにも入ってます。