作者視点とキャラ視点:主要人物作成中
カリカリと真っ白なメモ帳にその人物は設定を覚え書きを書き込む。
書きこむ前にぶつぶつと脳内でまとめながら。
(「えっと、
やっぱりなろう異世界モノならモフモフと、
あとイメージ的にクール系は外せないよね、
でもそっちは「仲間」だよね、「主人公」じゃない。
異世界転移系の主人公と言ったら素直で驚くのがテンプレ、そう言う性格だと中学生か、高校生かな……テンプレオーソドックスなのはおっさんだけど)
★★★
オレの目の前に見たことの無い黒髪の少年とおっさんが現れた。
「おっさん」と言ってもそれほど無精な様子もない、年更けた様子でもない、どちらかと言うと「青年」だろう雰囲気だ、だが評するなら「おっさん」と言う単語を思い浮かべた。オレの語彙力では珍しい。オレならたぶん普段なら「三十代ぐらいの文系の男性」と表現するだろうから、おっさんは「一般の表現なんだろう。
男性と少年、彼らは同一人物で、「チート」な気がする。
魔法も使えそうだな。
でも顔は見えない。
自我は無さそうだ。マネキンどころか幻影のように動かない。
素直そうな少年と、疲れてそうな「おっさん」、どちらも人は良さそうだ。
そうとは分かるのに、顔の特徴はやはり見えない。
もうひとつ、くるくると人の現れる気配がするが未だなにも現れない。
★★★
(異世界から召喚されるんならテンプレは女神が現れて異世界へ、だけど、……)
そのメモを書き込む人物は考える。
(異世界から女神が現れてこの世界から人一人浚ってく、
そんなことされたら元々のこの世界の女神が怒るのが普通だよねぇ)
と、
某作者さんが書いた書籍化もした某ほのぼのコメディを思い出す。
(そもそも「異世界の女神」はなぜ他人と言うか他神の作った他の世界の住民をなぜ「可哀相」とかいってトラック転生で連れてくるのか?
自分の世界にいくらでも「可哀相」な人はいるのでは?)
大体の無双チートモノには不遇なキャラが登場し、主人公に救われて惚れている。
(その不遇なキャラ自身を「可哀相」と救ってやらないのは何でだ、救わなきゃならない対象人数多いからかも知れない、あるいは召喚される人物の世界の、つまり日本の常識とモノの考え方を持っているキャラじゃないと思い通り、あるいは願う通りに動いてくれないからか、
と言うことは「女神」は主人公が「可哀相だから」召喚するんじゃなくて、「自分の世界の可哀相な住民たち」を「自分の代わりに」「救ってくれそう」=思い通りに動いてくれそうだから召喚する、うん、じゃあ主人公は女神のめがねに叶ったお人好しだ。
少年にしろおっさんにしろ、今まで主人公で書いたことは無いイメージだなぁ……少年そのものは作ったことあるけど……どちらかと言うと「熱血バカ」とか「仲間キャラ」だし、異世界転移系の主人公っぽく無いよね……新キャラ考えよう、
名前は……)
★★★
くるくると気配の集中していた空間から少年と男性の方へ気配が戻り、少年の周りに、「太陽」「陽太、洋太」とかかれ、おっさんの側で「洋」と書かれた部分が丸をされた。
ふぅん?彼はヒロシか。
今までに無い名前だし、作られ方だな。
まあ、作られて終りか、別のキャラを練り直す可能性もあるから、まだ彼は仮の存在だけど。
また、さっきからある「もうひとつ人が現れそうな気がする気配」のほうが気になる。
でも、それを差し置いて更に別の部分に意識が集中する。
そこにモフモフ、と文字が書かれ、仔犬が現れる。
黒い、つぶらな瞳のかわいい仔犬だ。ワフワフ言っている。そわそわしてて仔犬らしく落ち着きがない。
正直自分以外の獣人を……オレは本の一瞬と言ってもいい短期間、犬耳と言うか狼獣人だったことがある……見たのは始めてだ。
純粋な動物なら見たことがある。
追っ手に追われ、雨に打たれて行きだおれたところを主人公一行に救われる、そのきっかけと言うか発見者がいつも主人公の連れている警戒用の犬だった。
そのシュチュエーションはあるのにそのあとどうしたのか、その物語は動かず、その世界には戻った事がない。
目の前の仔犬は仔犬の姿しか書かれてないが、たぶん獣人だと言う気がするが、だんだん動物だと言う気もしてきた。
作者が迷ってるのかもしれない。
しかし主人公の二つの姿もだけど、なぜか顔が見えない。
……もしかして
「イラストを描かずに設定だけ先に作ってる?」