二度あることは三度ある
午後の授業は俺にはなく、帰ろうとするも何故かストップが入る。
案の定、一人は危険らしいが、今日は偶々が重なっただけであって毎回絡まれる訳でもなく狙われる訳もない、だがそうも行かないようだった。
「良いですか?ちゃんと、待ってて下さいね!」
「そーッスよ!」
「わ、解ってる」
姫川さんとウイッスくんの気迫に押され、俺はただ頷く。俺の返事に満足した二人は自分たちの授業へと向かった。
姫川さんとウイッスくんは護衛についての授業らしい、体育みたいなもんだと説明された。王様が大量に居る学園ではあるが、王様達は自分達の国に役立つだろう将来の護衛達を探すのもあるらしい、魔法学科、騎士道学科、SP学科と色々種類もあるようだ。
そして俺が今居る場所は、学園内にある図書室。静かに過ごすにはうってつけ、広いし周りの目を気にする必要もない俺の癒しスポットだ。姫川さんやウイッスくんは余り一人では居て欲しくない場所だと言っていたが。
「確かに、広いから人気はないし」
人気がないと言ってもただの図書室、何かが起こるなんて早々ないだろうと鷹を潜り俺は暇潰しの為の本を取る。
日本語で書いてある、歴史の本。戦国時代の話やら江戸の話やらが書かれた本だ。日本語以外で書かれた異世界語や宇宙語の本もあるが読める気がしないため、慣れ親しんだ本を手に取った。
図書室の隅っこに座り、歴史の本をゆっくりと頁を捲って読む。と言ってもある程度の知識はあるため新しい発見を見付けるといった読み方もしないため頭に入る事がない。
ぼんやりと本を捲ると、不意に影が落とされた。俺を見下ろす誰かが居ると思い顔を上げるとそこに立つのは……中々のイケメン野郎がいた。
サラサラした黒髪、切れ長な目、無表情に近い。見た目はクールなイケメンだろう。中々の威圧感がある。
「すマない、……そノ本だガ…」
「え?あ、本?」
所々、片言で話すこの黒髪イケメン、見た目は地球人っぽいが、宇宙人または異世界人かも知れない。
「不躾にスまない、俺はカルム。地球の、ワざを知りタく、そノ本を読ませテ貰えないカ?」
地球のわざ?と疑問が生まれたが、戦国時代の刀とかに興味があるんだろうなと勝手に解釈し、俺は本を閉じると相手に手渡した。
「俺は大洋。もう、読んだし良いよ」
「ありがトう」
無表情の侭のお礼の言葉、俺の顔も凶悪な悪役顔だしお互い様でもある。本を受け取った黒髪イケメン曰のカルムは少し頭を下げてから自分が座っていただろう席へと戻っていった。
まだ時間はある、何か読むかと思い俺は再度立ち上がった。
しかし、今日は色んな出会いがあったなぁ。立ち上がりながらそんな事を思った。




