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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第8章 ノベルゲームの始まり
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王妃様

「それは災難だったッスね、俺が早くに来てれば守れたッスが」


「良い、人?いや、良いエルフくんだったよ」


美術の授業を終えれば、教室出口にウイッスくんが立っていた。ウイッスくんが俺に気付くと犬の如く嬉しそうな表情で俺に近寄ってくる、体がかなりデカイために一瞬怯んだ。


「しかし、これで大洋さんも解ったッスよね、狙われてる立場だと!」


「いや、竜馬や佐渡さんが近寄らなきゃ大丈夫じゃないかと思うけどね」


「ま、まぁ、そうッスけど」


ウイッスくんと話している内に、俺とウイッスくんは広い食堂へとつく。学園には何種類かの場所に食堂があり、俺等が来た食堂は地球人が主に使う食堂だ。


宇宙人も異世界人も来るには来るが、食の内容が合わないと来ないらしい。前に異世界人が良くいる食堂に誘われて行ってみたが、ちょっと変わった味はしていたかも知れない。俺としては不味くもなかったが。


うにょうにょした触手みたいなもんは流石に食えなかったけどね。


「大洋!こっちだ!」


大きな声で俺を呼ぶのは竜馬、食堂には既に竜馬、佐渡さん、それに洋子ちゃんも居た。ウイッスくんと一緒に座る竜馬達の元へ向かう。周りの目が気にはなるが、竜馬達は別段気にした様子はない。


「こんにちは、大洋さん」


「こんにちは、洋子ちゃん」


笑顔を見せる洋子ちゃん、周りに人がいる時は俺の事を()()()()()()とは呼ばず大洋さんと呼ぶ。何故かは俺も知らない、聞くのも変かと思い聞いてはいない。


「んでェ、大洋ちゃん何も無かったかァ?」


「何もって?」


にやにやした表情を見せる佐渡さん、何かあったと言えば佐渡さん関係で因縁付けられた話があるが、それを知ってるのも可笑しな話だ。


眉を寄せ考え込む様子を見せるが、それ以上の追求が無かった為に何も言わず、佐渡さんの話を切り上げる。


「大洋さん、俺が持って来るッス、何が良いッスか?」


「や、俺が自分で行くけど?」


「いやいや、これも俺の仕事ッス!普段通りで良いッスか?」


ウイッスくんの問い掛けに俺が頷くと、人懐っこい笑顔を向けてから、食堂のトレー場所へと向かった。


食堂の食事は、自分で取りに行くものだが俺は自分で持ってきたのは一度か二度くらいしかない。大体はウイッスくんか姫川さんが取りに行ってくれる事が多かった。


ちょっと過保護過ぎないか?と疑問に思うくらい、ウイッスくんと姫川さんは俺の身の世話をする。これだけ世話をされると、逆に狙われやすくね?と疑問に思うが、言うのが面倒な為に特に言わず流されまくっている。


楽な道を選んだ結果だ。


ま、まぁ、その結果、佐渡さん関係に絡まれ、竜馬関係に陰口を叩かれる。ついでに、洋子ちゃんや姫川さん、ウイッスくんも周りに人気があるのか陰口を叩かれる等があった。そう考えれば、初めて絡まれたかも知れない、あの三生物に。


一度合った事はもう暫くないだろうと思ったが、俺は再度絡まれる。いや、俺と()()()()()が絡まれる。


「まぁ、竜馬様。わたくしをお誘い下さらないのね。庶民の子と、こんな凶悪顔の方と……あら、私とした事がつい本音が」


俺の背後から聞こえた甘い鈴のような声と、声と反対に今まで感じた中でかなり鋭い視線。アンバランスさに俺は思わず背後へ振り替える。


厚手のセーターに長いロングスカート、しかもかなりの巨乳なため、つい目線が胸に行ってしまい慌てて視線を顔へと向けた。


柔らかな表情、かなりの美人で栗色の髪を方まで伸ばし片耳に髪を引っ掛け笑みを浮かべているが、口から出た言葉は辛辣。ギャップが激しいとはこの事か。


「ひゃっひゃっ!言うねェ、()()()


いつもの笑い声を発した佐渡さん、佐渡さんの言葉に俺は驚く。


この美人が、竜馬の奥さん、つまりは王妃!?相手の顔を見詰めてはいたが、つい力が入った見詰め方をしてしまった。


俺の視線に気付いた王妃様が、嫌な物を見る瞳で俺へと視線を向けてから直ぐに視線を反らす。


「嗚呼、汚らわしい」


俺にしか多分聞こえない声、こ、これは俺に言ってるのか?流石に美人に言われると凹むが、多分凶悪顔になるだけだった、顔に出ないのはある意味良かったとは思う。


「王妃……」


竜馬は竜馬で、何か遠慮をしてるのか何とも微妙な表情をしている。竜馬に視線を向けた王妃様は花の咲いたような笑みを浮かべた。


「竜馬様を困らせたい訳じゃありませんわ、今度はお誘い下さいませ。では、私もお待たせしている友人がいらっしゃいますので、ごきげんよう。竜馬様はまたお城で」


軽くお辞儀をした王妃様は直ぐに違うテーブルに向かって行ってしまった。そこに入れ替わるようにウイッスくんが二つのトレーを持って現れる。


「あれ、どーかしたッスか?」


ウイッスくんの気の抜けたような声に、俺は何と無く安心してしまったのと同時に腹の虫が鳴った。そーいや、朝も食ってなかったな。

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