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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第7章 刑期を終えて
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閑話 22年、私の優しいお兄ちゃんと夫と娘と

お兄ちゃんのために結婚しよう、って健ちゃんから言われて最初は怒って殴っちゃったけど、それでも健ちゃんが好きだったし、健ちゃんもちゃんと私を好きって言ってくれたから私と健ちゃんは結婚した。


お兄ちゃんに伝えたかったけれど、捕まったお兄ちゃんが何処に居るかも解らなくて、それでもいつか、ちゃんと伝えられる日が来るって信じてたら…………、


「健ちゃん、洋子、どういう事?」


最近、いや、気付いていたけど敢えて口出しをしなかった事柄、お兄ちゃんがノベルゲームのシークレットキャラと言う話を健ちゃんが娘に散々してた事。


最初の内はちょっとだけ咎めた事もあったけれど、お兄ちゃんについては否定したくなかったし、お兄ちゃんが凄く優しい人で捕まるような人じゃないのは娘にも解って欲しかったから、敢えて深くは言わなかった。


言わなかった結果、私が全く知らない所で娘と健ちゃんはお兄ちゃんから手紙を貰っていた。


健ちゃんの部屋を掃除してる時に見付けた見た事もないカレンダー、何だろうって裏面を見たら見覚えのある、お兄ちゃんの字。


最初は昔にお兄ちゃんが書いたのかな?って思って、悪いと思いつつ読んでみたら、手紙の内容の中に娘に宛てた様に娘の名前も書いてある。


だから咄嗟に考えたのは、お兄ちゃんが何処に捕まっているのか、解らないって健ちゃんが言ってたけど、実は健ちゃんは知っていて内緒で手紙みたいなやり取りをしていたの?って考えたらいても立ってもいられなくて、二人に問い詰めた。


問い詰めたら、また良く解らない事を健ちゃんと、しかも娘の洋子からも言われた。


洋子が未来に行って、お兄ちゃんと知り合いになった神宮司竜馬という王様と自分も知り合いになってもうすぐノベルゲームの話が始まる…………、ど、どうしよう、娘も健ちゃんみたいになっちゃった?


有り得ないと思っていても、健ちゃんに昔に聞かされた、お兄ちゃんがノベルゲームのシークレットキャラと言う話と禁固を終えて出れる事。


本当に有り得ないって思う、でも健ちゃんは嘘は吐かないし、娘も信じたいし、何より信じればお兄ちゃんはやっぱり生きて365年後に出れるんだって思えたら何と無く何も言えなかった。


書かれた手紙の内容も、嘘だと思いたくなかったからもあるかも知れない。


手紙の内容は、私にも宛てて、おめでとうって、幸せにって。お兄ちゃんらしい言葉でお兄ちゃんの字で。だからこれが嘘だとは思いたくなくて、中身の書かれたカレンダーをぎゅうっと抱き締めた。


ちょっと泣いちゃった私に、健ちゃんが謝りながら抱き締めてくれて、娘も謝ってきて。泣いちゃった私の足元に息子も抱き着いてきて、家族皆で抱き締め合って。


聞き流していた、365年後のお兄ちゃんの話。


お兄ちゃんは365年後に、運命の出会いがあって幸せになる話。その為の道筋は健ちゃんと娘が行うみたいな事。


行うみたいだけど、お兄ちゃんのお嫁さんは私が認めないと認めないんだからね!って、健ちゃんと娘に言った。


私の言葉に、二人が笑って、息子も笑って、そんな三人に私も釣られて笑った。


お兄ちゃん、私はちゃんと幸せ。だからお兄ちゃんも幸せになってね?

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