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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第7章 刑期を終えて
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外に出かける禁固365年の男

一通り笑い転げた佐渡さん、結局何をしに来たのかは不明の侭である。にしても、笑い過ぎなんだが。


「佐渡さんは、な、何しに?」


いつもの俺なら佐渡さんに聞いたりはしないが、今日に限っては聞いてみる。怒りに任せてな訳でもないが、笑われているのもいい加減嫌になった為だ。どもるのは変わらずなのは俺だから仕方がない。


「そそ、大洋ちゃんの行動がツボに入り過ぎて忘れる所だったぜェ。俺と出掛けよーぜェのお誘いっしょォ」


「で、出掛ける?」


少し食い付いてしまった、ずっと独房の中にいて刑期を終えたが寝てる時に独房を出たため外を見る行為をしていない。竜馬と飯を食った時にほんの一瞬だけ周りを見ただけで、外に出たとは言わない。


出掛けるという言葉に食い付くのは自然な流れだと思う、俺としては。


「王様も一緒にィっつうのは今度で、先に俺とお出掛けしましょっ、な誘いだぜェ。大洋ちゃん、まだ出掛けてねーだろぅ?外がどうなってるかも知りたそうだしィ」


「で、出れるなら、出掛けては、みたいです」


相手の言葉に頷いて答えると、ニヤリ笑った佐渡さんが目に入った。佐渡さんは待機してるだろう姫川さんに声を掛ける。


「おっけぃ!姫川ー!」


「はーい!」


俺の答えと共に佐渡さんが姫川さんを呼ぶと、姫川さんは直ぐにリビングへと戻ってきた。


「これから俺と大洋ちゃんは出掛けっから、姫川は一先ず王様の護衛ー。オッケー?」


「えーっ、私も大洋様と出掛けたいです!」


「駄目だーめー、いつでも姫川は出掛けられんだろぅ?護衛兼務なんだしよォ。今日は男だけのお出掛けなんですぅ」


不貞腐れたような表情を見せる姫川さん、美月も昔、俺と健次が出掛けた時に不貞腐れた時があったのを思い出した。その時、何処に出掛けたのかは思い出せないが。


「ほらほらー、姫川はさっさっと王様ン所ー。俺と大洋ちゃんはお出掛けェなァ?」


俺の背中を押す佐渡さん、思わず前のめりになり転びそうになった。や、力強すぎるからね。


「社長の意地悪!大洋様、今度は私と出掛けましょーね!」


「あ、う、うん」


美少女笑顔を向けられ、ちょっとだけ顔に熱が集中し赤くなる。ふ、二人で出掛けるなら、で、で、デート……これで下心ありならまた鳩尾か?思わず腹を擦ってしまった。


そんな俺の仕草と表情に、佐渡さんがまた爆笑する。いやいや、だから笑い過ぎだし!笑う佐渡さんに睨む様な視線を向けると、軽く交わされる。


「まァまァ、怖い顔しねーの。楽しい場所に連れてくからよォ?」


笑った佐渡さんの顔は、俺をからかっていたような顔付きだった。嫌な予感しかしないが、佐渡さんに背中を押され外へと向かった。

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