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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第7章 刑期を終えて
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掘り返される話

「ひゃっひゃっ!ひ、ひっ、う、はっ、ちょ、大洋ちゃん笑わせるなよォ」


腹を押さえながら笑い転げる佐渡さんを、俺も腹を押さえながら見詰めた。俺は痛みに擦っているが。


姫川さんに鳩尾一発食らわされてから数時間、ぐっすり眠ったと言うよりも気絶させられたが濃厚だ。


目覚めて腹を押さえながら部屋を出てリビングっぽい場所へ向かうと、姫川さんと佐渡さんがいた。俺の姿を見た途端、佐渡さんが怪訝な表情をした、多分腹を押さえながら不自然な動きを俺がした為だろう。


佐渡さんが姫川さんに視線を向け、多分俺の現状について聞いたと思う。それを聞いたからさっきあんなに爆笑した佐渡さんを目にした。


これでも俺は怒ってはいる、佐渡さんに振り回された感があるからだ。確かに、ちょっと、ほんのちょっと期待をしてしまった俺もいるが、そもそも佐渡さんがそんな事を言わなければ俺は思う事はなかった。


「大洋様ー、ごめんなさいっ。気絶させちゃったみたいで。地球の人は鳩尾に一発入れると良く眠れるって社長も言ってたしー」


「………、や、姫川さんは、わ、悪くない、です、はい」


姫川さんの心配そうな表情に、俺が悪いような感覚に陥り即座に否定する。それを見てまた笑う佐渡さん。いやいや、笑い過ぎだからね!?


そもそも、良く眠れるっていう言い方、佐渡さんは永遠に眠れるの意味で言ったんじゃないかって勘ぐってしまう。


笑う佐渡さんに凶悪顔を向ける、内心怒っているだろう事は気付いてるかも知れないが、気にしてなさそうだ。


「ひゃっひゃっ!ひっひっ、っ、わ、悪ィ悪ィ、大洋ちゃん。ほら、姫川も宇宙出身者だからよォ、こっちの常識とあっちの常識のニュアンスが違う訳よォ」


「なんですか、ニュアンスって」


腹を押さえながら俺はソファーに向かい、腰掛ける。動くと腹の痛みがあるが、我慢出来ないレベルではないし、このくらいの痛みは直ぐに治るのも解ってはいる、俺の体は不老不死で多少の怪我は直ぐに治ってしまうからだ。


「姫川、ちょい下がってなァ」


「はーい」


佐渡さんが姫川さんに声を掛けると、直ぐに返事をし部屋を出て行く。それを確認した佐渡さんが俺の座るソファーの隣に腰を下ろし楽しげな表情を向ける。


「まァ、あの通り姫川は美少女ちゃんっ、な訳ェ。実力は俺に続くけどォ、一応雇い主の言う事は絶対ー、ヤバめなエローいお願いされた時の対処法でそーんな雰囲気感じたら鳩尾一発決めて寝かし付けなさーい、言ってるぅ、おーけーぃ?」


「ちょ、お、俺は、そ、そ、んなお願い…っ」


「解ってるってェ、大洋ちゃんどーてぃ、だから期待しちゃったんだもんなァ?ひゃっひゃっ、姫川は感情を直ぐに感じ取っちゃうのー。だから少しでもナニか感じちゃったら手が出ちゃう訳だ、無自覚だけどォ」


佐渡さんの言葉に気まずい表情をする、え、なら、姫川さんに対してエロい感情見せたら毎回鳩尾か…。と言うか、やっぱり佐渡さんが色々オッケーな言い方したのが悪い、これは絶対佐渡さんが悪い。但し、案の定俺は言葉に出せずにいる。


「ひゃっひゃっ!でもォ、姫川が大洋ちゃんに対して好意さえありゃ、鳩尾食らわねェしィ、そん時は……」


「その時は……?」


にやりと笑った佐渡さんが答える。


「ご卒業じゃね?」


何が、とは俺は聞かない。

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