気付いたら終わってた感
ガタンッ!
物凄い揺れで俺は目が覚めた。ガタガタ揺れ動く、俺の体。乗り物に乗っている感覚………いやいや、乗ってる!?
ガバッと音がしそうなくらい、勢い良く俺は体を起こす。周りを見渡せば、部屋だ。嗚呼、部屋っぽいがガタガタと揺れて動いている。え、部屋って動くのか?
最後の記憶は、真っ暗な独房内。いつもの位置に横たわり、愛用に近い毛布を被り目を瞑っていたのは覚えている。
眠気が来て、睡魔に教われ、その直前まで考えていたのは竜馬を選ぶか、看守さんを選ぶかの二択。
ガタガタ揺れる中で俺は自分自身の体へ視線を向けた、独房内で来ていた服と違いだぼった黒のトレーナーにジーンズを穿いている。着替えた記憶は一切無く困惑の表情を浮かべたが、生憎悪役顔が凶悪顔になっただけだった。
寝ていた場所はソファーベッド、ご丁寧に枕もある、柔らかい。顔を上げ周りを見渡すとドアがある、……俺は一体全体、何処に迷い混んだんだ?夢か?
ガチャリ
ドアが開いた音がした、思わずビクンと肩を揺らす。目線を向けると、ドアに立つ物凄い美少女が居た。久々に生身の女性を見た、そしてビビる俺がいる。
ド派手な色、ピンクの髪のツインテールだ。服はゴスロリっぽい感じで、メイド服にも見えなくもない。美少女顔には似合う服装ではある。
目が合う謎の美少女と俺。俺を見た美少女が目を見開いてから口を開き大声を上げる。
「社長ー!!起きた起きた!凶悪顔起きたよー!」
キーンと、耳に響く声に思わず顔を歪ませる。ちょ、声が大きいんですけど。ただし、言葉には言えず心の中で思うのみ。
謎の美少女が騒ぎ誰かを呼ぶ、その声に反応した誰かがドアに向かって声を掛けながら近付いてくる。
「姫川ァー、水無月様だろ、水無月様ァ。大洋ちゃんは凶悪顔じゃねーし!悪役顔だろぅ?」
この声は、佐渡さんだ。しかし、凶悪顔も悪役顔も対して変わらないと俺は思うんだが……だが、言葉には出さない。
「おい!大洋は凶悪でも悪役でもない!ちょっと顔が怖いだけであろう!」
この声は竜馬だ。しかし、怖い顔……フォローに全くなっていない……だが、これも言葉には出さない。
「きゃはっ!王様も怖い顔言ってるよ?それに、社長は水無月様って言ってないよ、大洋ちゃん呼びしてるー」
「俺は社長で大洋ちゃんのお友達ィ、だから良いのォ。姫川は大洋ちゃんを護衛兼お世話する立場だからァ、様つけんのォ、おーけー?」
「はーい」
「学!お、俺様が大洋の一番の友達であるからな!」
「そこォ、気になるってェ?たく、へいへーい」
何も言えず、俺は三人の会話を聞くのみ。
そして俺は結論に至る、寝てる間、勝手に竜馬の方を選択されたようだった。




