閑話 364年目、SPと歴史的犯罪者
初めて見た時は、この俺でも背筋が凍るような男だと感じた。
俺はSPの佐渡学。王様である竜馬ちゃんの専属SPになって早数年。雇い主ですしィ?そりゃァ、それなりに守るっしょ。
そんな護衛相手である竜馬ちゃん、俺に隠れてコソコソとォ?なーにやら出掛けてるみたいだよなァ。ま、その前から妙な事はしてたんだけどよォ、神出鬼没女が現れたりィ、王様の学園作るとかァ、護衛対象増やされても困るんですけどォ。
先ずは竜馬ちゃんの調査、護衛対象に撒かれる訳にも行かないって訳でェ、俺の情報収集舐めんなよォって事でェ?
で、突き止めたのが歴史的犯罪者である水無月大洋ちゃん。例え歴史的犯罪者としても、俺は宇宙出身者だしィ、地球上の犯罪者なんて俺にしたらぺーぺーよ、ぺーぺー。
この地球の犯罪者や歴史にこれっぽっちも興味はねェけどォ、護衛対象に危害加えられても困るしィ、ってな訳で大洋ちゃんの居る独房へ看守押し退け入った訳よ。
真っ暗な独房、横たわるナニか。いや、何者か、雰囲気に飲まれそうになるが息を飲み込み何でもない様な表情を俺はする。
ゆっくり振り替える、この部屋の主と目が合う。
背筋に冷や汗に近い何かが走り、俺も思わず殺気を洩らしてしまった。やべェ、やべェ、つい殺っちまう所だったぜェ。
洩れた殺気をどうにか引っ込めるも、警戒は怠らず俺を見る相手へ話し掛けた。
「ひゃっひゃ!何だ起きてるじゃん、シカトすんなよー。看守くんかわいそーだろぅ?」
絞り出した言葉だが、俺らしく振る舞えてるよなァ?地球上の歴史的犯罪者、中々侮れない野郎だぜ。
ただ、生温い地球人よりは、俺の生まれた星に近い奴かも知れねェから気に入っちまったかも。
相手を品定めするように、俺は地球の歴史的犯罪者と呼ばれる水無月大洋と何度か話す事となった。
話す内に大洋ちゃんは極度のコミュ不足な野郎と解釈した。最初の雰囲気と今の雰囲気は大分違う……いや、元から俺が勘違いしてたかも知れねェなァ、ひゃっひゃっ!見た目悪役顔だと人生損してっかもォ。
ただ、色々調べて行く内に大洋ちゃんに、王の資格があるっつうのは突き止めた。竜馬ちゃんへのこれでも一応ぅ?忠誠心ってェのがあるにはあるが、もし、大洋ちゃんが王様になったら楽しそうだよなァ、なんて最近考えてみる。
まァ、大洋ちゃんは王様を嫌がりそォだしィ、竜馬ちゃんも気に入ってっから現状維持が無難っちゃァ無難か。
「まァ……気になるのは、王妃だよなァ…」
アレは竜馬ちゃんをかなり崇拝してる、神出鬼没女にも苦虫潰したような表情を見せてるしィ、あの王妃も竜馬ちゃんについては探りをかなーりィ入れてるしィ。大洋ちゃんに気付かない訳がないよなァ。
俺は今後、起こるかも知れない最悪な事態を考え、眉を寄せた。
「さァて、どうなるんだろーなー、ひひひっ」
眉を寄せたが、無意識に笑った。やべ、色々楽しィのが起こりそォ。




