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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第6章 禁固365年まで
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結局は現状維持で

刑期を終えるまで、後二ヶ月弱。ただ、罪と不老不死の事が解っただけで、結局まだ独房を出る事は出来ない為に現状維持状態ではある。


竜馬と話を終え、竜馬の方は後ろめたさで気まずそうな雰囲気が伺えた。俺的には全く気にしていないが、そうもいかないんだろうか?俺はほんと、全く気にしていない!と言っても、しこりが残ったような形だ。これは時間が解決するしかない。


表向きはいつもの竜馬で、捨て台詞を吐いて独房を後にする。うん、捨て台詞は止めて貰おうと進言しよう、今なら俺への罪悪感で聞いてくれるかも知れない。


「………やる、こと、無くなったなぁ……」


ふと、言葉が洩れた。


独房を出て、自分の罪を調べるという目標みたいなものを掲げてはいたが、竜馬の言葉で罪は神宮司によって作られたもので、無実だった事が解った。そうなると、刑期を終えた後に何かやれるか?っていったら、考え付かない。


捕まる前の学生時代、俺はただ学園に通って何をするのかも考えずに、美月の為にも就職しようと漠然とした考えしかなかった。それが捕まって、進路を絶たれ、でもそれはある意味俺にとっては……楽な道。


何も考えず、死刑になる訳じゃなく、ただ独房で何もせず生き一生を終える、楽な道だった。


それが見た目変わらず死にもせず、気狂いに近い感情から救ってくれた葵さんにより、俺はこのまま生きて刑期を終えるなら自分の罪を探そうと、そんな目標も出来た訳だったんだが、まぁ、もう解ったしやる事はないんだよなぁ。


「刑期を終えたら、だらだらと学園生活ってやつか?」


悪役顔のダメ人間みたいになりそうなんだが……。


考えている最中に、カタンと小さなドアが開く。食事か?と思い、鉄格子越しの空を見上げると、まだ夕方な色じゃない。


置かれているのは、看守さんとやり取りするメモ紙だ。メモ紙を寄越すならウイッスくんじゃないもう一人の方。


珍しいな、と思いながら俺は置かれたメモ紙の方へと足を向かわせる。メモ紙を慣れた手付きで拾い上げ書かれた言葉を口には出さずに目で追う。


『王は貴方を裏切る、そしてまた一生を奪う。王になりたくないならば、()()()()。刑期を終える日に選択を』


看守から受け取った、綺麗な文字で書かれた言葉。そのメモ紙を受け取り、俺はただ呆然と立ち尽くした。

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