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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第6章 禁固365年まで
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不老不死の謎

俺の罪は解明されたが、不老不死っつうのは未だに謎で理解出来てはいない。


12の月名の水無月はどういう訳か役割が()()()()。何故、不老不死なのかは俺には解らない。竜馬は知っているのだろうか?


俺の視線に気付いた竜馬が、首を傾げる仕草をし俺は口を開いて問い掛けた。


「不老不死って…、その、水無月が不老不死なのは何でだ?」


そして、もう一つ疑問に思う事が俺にはあったが、その後の言葉は飲み込んだ。


先ずは何で水無月が不老不死なのか、気にはなる。歴史云々なら、不老不死だっていうのは水無月家に伝わって良い筈だ、水無月家の人間なら知ってて良いと思うが俺は知らないし、多分美月も知らないと思う。


いや、でも神宮司家が王様になった時点で、他の月名の話は御法度系になったのか?閲覧禁止とか言ってはいたし、何等かで歴史に蓋をされたとか?この話し、葵さんは飛び付くだろうなぁ……って、やべ、また考え事しちまった。


気を取り直し、問い掛けた言葉の返事を待つと、どこか驚いた様子を見せる竜馬の表情が目に入った。


「大洋は知らんのか?てっきり知っていると思っていたぞ、()()3()6()5()()()()の本に書いてあったからな。しかし、そうか、捕まっておったら本の存在は知らぬか、王宮図書館にあったものでもあるしな」


「き、禁固365年の男の、本!?本…って」


「確か作者は水無月立香だった。水無月だったから大洋の親戚か、もしくは何かしら事情を知る者かもとは思っていたぞ、知っておるか?」


竜馬の問い掛けに、緩く左右に首を振った。俺と美月に親戚はいなかった、親が死んだ時に俺と美月しか身内はいなかった筈だ。水無月立香という名前は聞いた事もない。


「そうか、ならば俺様がそれは調べておく。洋子からこの本の事を聞いておったからな、洋子に聞いておこう。…で、不老不死の話しだったな」


竜馬の目が、俺を捉える。眉間に皺を寄せ、揺れる表情は今、どんな考えを持っているのかは俺には解らない。竜馬が話すまで俺は言葉を待つ。


「……本来、12の月名、最初の王の話は王族…つまりは神宮司家しか閲覧出来ん事項だが、本来の王である大洋にも知る権利が俺様にはあると思う、ゆえに話す。と言っても、俺様も王になる為に閲覧した王宮図書館奥の書物と大洋の本を読んでの見解、それと俺様も()()()()だと言う事での仮説になるような話しにもなるが…」


一旦、息を吐く竜馬に俺は唾を飲み込み聞く体制だ。


さっきもう一つ疑問に思っていた事も竜馬の言葉で解りそうだった、水無月は不老不死、だが竜馬は神無月、いや神宮司の筈なのに不老不死だと言う疑問が。


「最初の王の書物に書かれた、水無月の役割は不老不死。不老不死に為れる者、()()()()を食べる事により不老不死になれるのが水無月だ。他の月名、若しくは人が食べても拒否反応を起こし、不老不死にはなれん」


「人魚、の、に、く?」


「嗚呼、だから俺様は()()()だぞ、不老不死になった者は肉嫌いになる」


頭の中に、ある記憶が甦る。両親が亡くなる前、俺は()()()()を食わされた。それを食べてからの記憶は曖昧で、そしてそれから肉嫌いにはなっていた。


「竜馬は、何で拒否反応を起こさなかったんだ?」


「それが、俺様にも解らん。神宮司は不老不死に為りたかった月名だった、王になるものは人魚の肉を食わされる、そこで毎回、拒否反応を起こし歴代の王は不老不死には成れなかったが……俺様は拒否反応を起こさず不老不死になった。周りの者達は俺様を祭り上げ、直ぐに王位継承式が行われて今に至っておる」


竜馬の言葉を聞き、俺が不老不死の謎も理解は出来た。竜馬の不老不死については竜馬自身も解らない案件らしい、人の体は急に変わったりするからなぁ……遺伝子レベルで竜馬はOK!とか、そんな感じか?俺には到底理解出来ないレベルだ、と考える。


竜馬から俺の罪、不老不死、歴史関係を聞いたは良いが、俺の中では壮大な話し過ぎて何と無く置いてけぼり感は否めない。


何にせよ、364年経ってやっと、前に進めるなと安堵した。

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