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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第6章 禁固365年まで
57/106

だから、ここは独房であり談話室ではない

「酷ェしッ!大洋ちゃん!」


起こされ毛布を剥ぎ取られ、ドアップな佐渡さんの顔は朝からキツイと感じた。


無理矢理起こされ、こんな朝早くに俺に用があるのは余程の事何だろうかと回らない頭で考える。


「起きろよォ、大洋ちゃん!大洋ちゃんが何言ったか解らねェけどォ、減給になったんだけどォ!」


「い、や、俺は竜馬に問われた事を、答えただけなんで、すけど」


相手に引っ張られ、横たわった体を起き上がらせられる。


「勘弁してくれよォ、大洋ちゃん。俺ァ今月大ピンチなんだぜェ!宇宙の拷問グッズ買っちまってよォ」


またとんでもない趣味を持ってるようだ、拷問グッズって……。俺は取り敢えず聞かなかった事にする。


眠い侭に、俺は佐渡さんの愚痴っぽい話を永遠と聞かされた。制服っぽい服を着ているが、佐渡さんは学園に行かなくて良いのだろうかとぼんやり考える。


散々話した佐渡さんは、満足したのか急に立ち上がり遅刻やべェ!と叫び、独房を出ていった。そんなに朝早かったのかと俺は顔を上げ、鉄格子越しの空を見上げる。今は青空が広がっていた。


「……、うん、寝よう」


いつでも、寝れる。こう考えると、独房生活は悠々自適な生活にも思える。


後少しで、俺は刑期を終えるが。


終えるとこんな生活は出来ないんだろうなァ、と考えながら欠伸を洩らし、剥ぎ取られた毛布を掴むと俺は床に横たわり目を瞑った。














「大洋!起きろ!」


起こされ毛布を剥ぎ取られ、ドアップな竜馬の顔は眩しすぎて目が痛い。


既視感デジャブである。


「今日は一段と眠そうではあるな、何かあったか?」


竜馬に問い掛けられたが、朝の出来事を話したとして、また佐渡さんの愚痴に付き合わされる事になったら面倒だと思い、何も無かったと答えた。


何も無いと答えた結果、竜馬の聞いて欲しいだろう話が始まった。今日は独房に来る日だったか?と疑問に思いつつも、竜馬のいつも通りの話を相づちを打ちながら聞く。最近は学園の事や洋子ちゃんの事を聞く事が多いが。


因みに洋子ちゃんへの入学祝いは鞄とイニシャルのキーホルダーを上げたようだ。それを使っている事を自慢気に嬉しそうに眩しい笑顔で語っていたのを思い出す。


鈍感で好意に鈍い俺でも、竜馬の洋子ちゃんへの溢れんばかりの好意は解る。俺が解るくらいだ、洋子ちゃんは健次の娘でもあるし、普通に気付きそうだと予想する。


竜馬の言葉を聞きながら考え事をする中で、突然ドアが開かれる。


「大洋ちゃん!朝の続きだけッ……げっ!」


「む、学か!?貴様、また勝手に出入りしておるのか!?」


開かれたドアから現れたのは、佐渡さん。佐渡さんは竜馬を見て、驚愕の表情と狼狽した表情を見せる。


佐渡さんに気付いた竜馬は、眉を寄せて佐渡さんへ叱る体制だ。


今日は面倒な日になりそうだと、俺は二人を見詰めて思った。

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