閑話 22年、俺と娘のノベルゲーム語り
「で、どうだ?洋子」
「うん、順調かな」
美月が息子と出掛けている日を見計らって、俺は娘に問い掛ける。俺が美月がいない時間を狙って問い掛けると言ったら、大洋の事しかない。
俺の娘は今、俺が水無月立香だった頃に嵌まっていたノベルゲームの世界へと行く事が出来ている。どんな仕組みなのか理解は出来ないが、俺が転生というイレギュラーな事をした結果、娘も変な力が出来たのだろうと予測した。
娘から聞いて、俺がうろ覚えではあるが知ってる物語から少しづつ、逸れているようにも見える。大洋と神宮司竜馬の仲が今の時点でかなり友好、大洋の性格も俺が知った侭の状態と聞く限りではかなり最初から真相エンドに近付いているようだ。
本来の主人公はまだ入学していない、本当なら物語はまだ始まっていない。このまま行けば、このノベルゲームの本筋が始まらず大洋はただ学園生活をエンジョイ出来そうな気もする。後は、王妃がどう出るか、だと思うんだが。
王妃関係は、神宮司竜馬と大洋が友好関係のまま、俺が助言した事を聞けば大丈夫だろう。
そして、話を聞いている限り俺の娘は神宮司竜馬にかなり気に入れられている、そしてあの佐渡学ストーリーにも絡んでいる可能性があるという二点だ。
父親として、複雑過ぎる。娘がまさか神宮司竜馬の嫁になる、または佐渡学の嫁になる……なんてならないだろうかと。
まさかと思うが、主人公ポジションが俺の娘に成り代わってたりしないのか、心配にはなっている。
今更ながら、ノベルゲームへ深く関わりさせた事を後悔しているが、これは都合が良すぎるだろう判断もある。娘には聞いてはいないが、神宮司竜馬と佐渡学のどちらかに恋慕を抱いているのか、父親として気になっている。
俺の視線に何か感付いたのか、娘は笑みを浮かべて俺に答えた。
「お父さん、私は友人として竜馬さんは好きだよ?佐渡さんは論外だし。私、関わり過ぎてるけど、主人公ちゃんが来たら絶対に仲良くなってプッシュするし!」
俺の娘は良く出来た娘だ、何処に嫁に出しても恥ずかしくない、いや、寧ろまだ出さない。
「そうか。学園生活はどうだ?」
「お父さんから聞いてた人達は、一通り見掛けたかな。竜馬さんと佐渡さんはいつも一緒にいるし深く関わっちゃっているけど、魔法の国の王様と、科学の国の王様、獣人の王様、騎士の王様…だったよね?あ、妖精王とエルフもだった?見掛けるだけで、私は普通に一般人枠だし、高校時代の生活と変わりないよ、王様達は見た目キラキラしてるから解りやすい」
「このまま、何事もなく洋子…ミッション頼んだ」
「うん、見るのは楽しいし、偶に絡んじゃうかもだけど」
笑う姿は美月に似ている。俺がいうのも可笑しいだろうが、何事もなく大洋が普通に生活出来、生きてくれたら良いと思った。




