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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第6章 禁固365年まで
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ご機嫌の金髪の王様

俺が竜馬に聞いた事により、不機嫌から機嫌が良くなったように見える。


俺が最終的に聞きたいのは、不老不死な原因と俺が何故捕まったのかの話だ。


ただ、不老不死な原因が解るとしても、何故捕まったのかは竜馬に解っているのかは謎である。


なんせ、364年くらい前の話だ、歪んだ形で伝わってる可能性もあるし、当事者がいない今の状況で果たして正確に伝達されているのかも解らない。


俺を歴史的犯罪者と言う伝達の仕方になってるからなぁ……、この辺りは俺が刑期を終えた後にでも自分の手で解明するしかないかも知れないとは思ってはいるが。


実際の所、解明したから何にがどうこうしたいなんて思ってないけどね、これだけ長い時間捕まって、まだ生きそうな俺にはたっぷり時間はあるし、失われた青春はまだ謳歌出来そうだ。


結局の所、俺が刑期を終えてからが勝負、のような感覚は持っている。


色々と難解な問題もあるが、今までもコミュ症を発動させながら何とか生きてきたからなぁ、何とかなるだろうと妙なポジティブさもあった。


「おい!大洋、聞いてるのか!?」


「……っ、あ、うん、き、聞いてる」


考え事をして全く聞いていなかったが、竜馬の不機嫌が元に戻りそうだと思い頷いて答えた。


「で、学が急に来たんだろう?いつかは大洋の事はバレるとは思っておったが、学園に入ったタイミングで悟られるとはな、流石はSP最強と言われた佐渡家の人間だな」


「う、宇宙出身者って、佐渡さん言ってたけど、その、それって?」


「む、彼奴、俺様が言いたかった事をっ、減給だな!」


余計な事を言った気がするが、今は考えるのはよそうと判断した。


「大洋が何処まで聞いたか解らんが、大洋が生きていた時代とは大分違うとは思っておる。俺様も昔の事は本の知識しかないしな」


「佐渡さんからは、宇宙や異世界から移住出来るぐらいしか聞いてはいない」


「また俺様が言いたかった事をっ」


心の中で佐渡さんに謝る、これも後で考えておこう。


「学は宇宙出身者だったが神宮司家の専属SPになってな、専属になったゆえの移住だ。因みに前のSPの一部は此処の看守だったりするぞ」


身振り手振りと、竜馬は俺へ色々と教えてくれた。話す姿は嬉しそうな表情をしている、何と無くだが、多分、俺に教える事が嬉しいんだと思う。得意気に見えるしなぁ、竜馬に言ったら怒りそうではあるが、やっぱり竜馬への感覚は弟のようだ。


「なら、他にも学園とか他の世界とか、星とかから来たり?」


「嗚呼、異世界からは魔法を使う者、科学の世界に、月からの訪問者、獣人と、大洋が見たら驚く世界にはなっておるぞ。突然現れたゲートによって、異世界や他の星からの来訪者が次々に現れてな。現れた当初は混乱を招いておったが、俺様の先々代前の王が束ねて、協定を結び今に至っておる」


何やらファンタジーの世界に来たようだ、話を聞く限りでは。実際に此の目で見ない事には信じられはしないが。


「その、よ、洋子ちゃんと、俺の関係を竜馬…は?」


「うむ、知っておるぞ。ただ、洋子の言っている事に解らぬ事もあるがな」


「解らない、事…?」


竜馬は眉間に皺を寄せ、俺の方へと視線を向けるが、戸惑った表情にも見えた。


「洋子は大洋の姪っ子と、洋子も不老不死ゆえの言葉かと思ったが、そんな感じには見えぬしな。ならば過去から来た事になると、それは禁止されておる筈だ、過去未来の行き来は禁止されておる。だが過去から来た形跡もない、洋子は謎でな。しかしあらぬ誤解も洋子を大変な目に合わせかねん、俺様の方で洋子の事は手を回しておるから安心しとけば良いぞ!学にも言い聞かせたから大洋も気にせんで良い」


戸惑った表情は直ぐに自信満々な、いつもの竜馬の表情に戻り、笑顔を俺に向けて答える。


情報量が多すぎる、しかし少しは理解出来たかも知れない。


現れたと言われるゲートにより、異世界や宇宙からの訪問者が増えた。それにより何かしらの情勢が動き今に至る訳だ。


禁止とされてるのは、過去や未来に行く事。ただ、洋子ちゃんは過去から来たんじゃないかと思われている事。どうやって来たのかは竜馬でも解らない、だから過去から来たの()()と思われてるくらいだ。


洋子ちゃんの手紙を読み、健次と美月が生きてるのか?なんて思ったが、過去や未来に行けるかも知れない話を聞き、だから洋子ちゃんは姪っ子なのかと理解してみた。


過去や未来に行くのは禁止なのか、あれか?未来や過去が変わると駄目!とかだから、禁止なのか?まぁ、洋子ちゃんを竜馬がかなり気に入っている、寧ろ好きっぽいから捕まりはしないだろうなと安心した。


「む、そろそろ時間か。学園の職務が溜まっておってな。また明日にでも来る、聞きたい事があればまた、俺様に聞くんだぞ、大洋」


考えを纏めていた所に、竜馬が立ち上がりながら告げる。俺は頷くだけ。


頷いた俺に、満足そうな表情をした竜馬は独房を出ていった。


……不老不死は、聞けなかったな。

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