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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第6章 禁固365年まで
54/106

ご機嫌斜めな金髪の王様

喜怒哀楽は豊かな王様だなと、出会ってからいつも感じていたが……。


「………………………」


「………………………」


終始無言、ただ、何やら不機嫌なのは解る。不機嫌オーラを撒き散らす竜馬、俺に不機嫌なのか、それとも別の事で不機嫌なのかは解らない。俺は察すると言う事が難しく、ただ、黙っているのみ。


気まずいが、声をかけたとしても更に不機嫌になりそうで俺は声をかけられない。コミュ症が発動中だ。


無言の時間が過ぎて行く。


「………っ、大洋!俺様に言う事は!?」


我慢出来なくなったのか、急に大きな声を上げた竜馬に俺の体はビクンと跳ねる。跳ねた拍子に机に足をぶつけた、地味に痛い。


「い、言う事……?」


足を擦りながら、何かあったか?と考える、色々聞きたい事は確かにあるが、聞いて良いかも解らず今の現状の侭に来ている。


「あるだろう!俺様に、何か聞く事が!」


「き、聞く事が……?」


あるには、あるが、え?ど、どういう事だ?俺は本当に察しが悪く、竜馬の言葉を復唱するのみで相手に視線を向けるだけ。


「……っ、学から聞いたぞ!学が此処に来ていたのを知らなかった俺様もだが、言わぬ大洋も悪いぞ!親友には色々と話すものであろう!包み隠さず、色々と!」


相手の掌が、机をバシバシと話す度に叩く。俺が何かを言う前に、竜馬は畳み掛けるように言葉を続けた。


「聞きたい事があるならば、学ではなく俺様に聞けば良い!」


最後にドンっと音をさせ、強く机を叩いた。その音に再度ビクリと体を反応させ、同じようにまた足をぶつけた。


俺は足を擦りながら考える。つまりは、多分、俺が思うに……や、ヤキモチ、か?仲良い友達が他の友達と知らぬ間に仲良くなってて、プンプンした感じ…か?


不意に、洋子ちゃんの手紙の内容を思い出した。竜馬は俺の事になると、暴走っぽい感じになる、と書いてあった。今まさに、そんな感じ何だろうか?


「え、あー…ん、い、言って良いのか解らなくてさ。今度からは竜馬に聞く」


精一杯の笑みを見せてみる、俺の笑みは不気味かも知れないが。


そんな俺の反応と言葉に、竜馬の不機嫌は治ったのか満足そうな輝かしい笑みを見せた。凄ェ眩しい、直視出来ない。


「約束だぞ、今度は俺様に聞けば良い!早速聞いても良いのだぞ!」


何かを期待するような、そんな表情を見せながら俺へ言葉を掛ける。


もしかしたら、今なら俺や竜馬が何故不老不死なのか、教えてくれるかも知れない。ただ、いきなりの確信をつく発言だと答えてくれるかも解らない。


俺は然り気無く、当たり障りのない話から竜馬に聞く事にした。


謎が解明出来る、と期待して。

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