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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第6章 禁固365年まで
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二度目の訪問

「邪魔するぜェ!」


最近、俺の独房には突然訪問が流行ってるのか?と思うくらい突然に人がやってくる。


突然現れたのは、前も突然現れた竜馬の専属SPだと言っていた佐渡さんだ。勝手知ったる我が家のように机と椅子を用意しだして、座るように促された。


俺に拒否権はない。


「今日はきれーな看守だったなァ、あの巨大看守じゃねーのか?」


「あー……、一応、二人体制らしいです、暫く一人でしたが、また二人体制に戻ったみたい、ですね」


巨大看守とは多分ウイッスくんで、綺麗な看守とは忠実に俺と話さない方だろう。


葵さんが看守を辞めた時、暫くウイッスくんだけだったが、いつの間にか二人体制に戻っていた。


「まァ?俺としては、良い意味で巨大看守が良いわ。あのきれーな看守、なーんか……妙だしなァ…。大洋ちゃん気ィつけろよォ?」


「あ、はい、気を付けてみます、うん」


気を付けるも何も、接点はメモ紙でのやり取りくらいな為に接点らしい接点もない。頷いておけば、害はないだろう判断だった。


しかし、今日は何しに来たのかと相手を見詰めていれば、視線に気付いた佐渡さんがニタリと笑う、俺が言うのもアレだが不気味な笑みだ。


「ひゃっひゃっ!俺が来たのが気になってるのか、大洋ちゃんっ!ちょっと、聞きたい事があったからよォ」


「き、聞きたい事…ですか?」


「おうおう、大洋ちゃん、あの神出鬼没女の知り合いみてェじゃねーのォ、あの女何者だァ?」


「………へ?し、神出鬼没、女…?」


突然問われた言葉に、首を傾げる。


「神出鬼没女は神出鬼没女だぜェ、ほら、あれだあれ、えー名前は思い出せねェんだよなァー」


頭を掻き毟るように、手をガシガシと動かし、うー、やら、あー、やら考える仕草を見せる。俺としては神出鬼没女に検討がつかない。


ただ、一応俺の知り合いと言うのなら、もしかしたらの相手は絞られる。


美月、葵さん、洋子…ちゃん。


俺が知っていて、女性とするならかなりの数で絞られる。そして、佐渡さんが関わり持ちそうなのが学園に通ってるであろう相手。そうなると、一人くらいしか思い付かない。


「えっと、よ、洋子ちゃん、ですかね?」


「……っ!そうそう!神出鬼没女の名前は確かそんなんだったなァ!で、どんな関係だよ」


言われた言葉に答えて良いものかと考える、そもそも、俺や竜馬の長く生きてる事に佐渡さんは知ってるのかとか、竜馬に秘密で俺に会いに来てるなら話して良いのかと余計な事をグルグルと考えてしまった。


顔に余り出ない俺だが、押し黙った事に佐渡さんも俺の考えに気付いたのか、再度ニタリとした笑みを見せ、俺に顔を近付け答える。


「まァ、竜馬ちゃんの不老不死については専属SPとして知ってるぜェ?あの通り、竜馬ちゃんは気に入る相手に余計な事を話しちまうからよォ、然り気無く自分の事や大洋ちゃんの事について口を滑らせてるぜェ、竜馬ちゃんは気付いてないけどなァ?」


うっかり口を滑らせるとか、大丈夫か竜馬と少し心配になったが、佐渡さんの口調から竜馬に対しての忠誠はかなり高いと初めて会った時に俺でも思ったくらいだから大丈夫だろう何と無くの勘で思った。


「だから、大洋ちゃんも不老不死、だろう予想はついてるぜェ?情報網はそれなりに優秀な俺だしなァ!ひゃっひゃっ!」


独特な笑い声を上げた佐渡さんが、すっ、と真顔に近い真面目な表情を俺に見せた。ごくり、と唾を思わず飲み込む。


佐渡さんは真面目な表情の侭に、再度問い掛けた。


「で、あの神出鬼没女はァ、大洋ちゃんとどんな関係だ?」


俺は言うべきか、言わないべきか、究極の選択を迫られている。

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