久し振りの訪問
学園の用事とやらが終わったのか、唐突に竜馬が俺の独房に現れた。
俺はというと、普段通りに床に横たわり寝入っていた。その中での訪問で被っていた毛布を剥ぎ取られ無理矢理に起こされる。
やり口は弟や妹がお兄ちゃん遊ぼう!というような仕草だ。これが可愛い彼女なら嬉しいだろうが、生憎とこの国で一番偉い王様であり、可愛い彼女ではない。
「大洋!来てやったぞ!」
笑顔が神々しい、そんなに俺に会いたかったのかというくらいの笑顔だが、それは言わない。
竜馬はツンデレだ、言ったら不機嫌になるだろうし、俺の中で友人の部類に入っている訳じゃなく言いにくい。
……いや、元から他人にそんな軽口を叩ける男ではないしなァ俺は、と考えた。妹の美月や幼馴染の健次は別だ。
「あ、はい、おはよう、ございます」
「おい、来てやったんだぞ、嬉しそうな顔をしろ!」
相変わらず、上から目線である。ある意味、竜馬の持ち味かも知れないが。
「いい加減、敬語は止めんか。俺と大洋の仲だろ」
そんな親しい仲になった覚えが全くない、ないが、これも言う通りにしないと不機嫌になりそうだった。相変わらず俺は取り敢えず頷く戦法を使う。
「え、っと、今日は?」
「用事がないと来てはならんのか?」
「えー…、あー…、竜馬も忙しいと思って」
「学園の事はあらかた進んでいる、大洋が入学する頃には盛んになってはいるぞ、安心しとけば良い」
そんな心配は微塵も感じてなかったが、学校が順調に進んでいるなら竜馬も安心だろうな。
出来れば俺は通いたくはない。
理由として、もうかなりの歳な俺が今更学校に馴染めるとかない、確実にないな。歳も20代くらいの若者が入るんだろ?話が合わないと思ってはいるが言えず仕舞い。
だが、今日こそは、今日こそは勇気を振り絞る、俺は出来る奴だと!息を飲み、俺は竜馬に視線を向け、しっかりと告げる。
「あのさ、竜馬が言ってるその学園に、出来れば入りたく、ねェ……とか」
しっかりと告げたつもりだが、やはり語尾が弱くなる。一応、竜馬は好意で俺に学校を通わせようとしてるんだよな。俺が禁固を言い渡される前に入っていた学校は卒業出来なかった訳だし。
俺の言葉が聞こえた竜馬は、俺を見詰め口を開く。
「何でか、聞いても良いか?」
俺の話を聞いてはくれるらしい、今まで全く聞いて貰った事がない為、新鮮には思える。
竜馬の問い掛けに、俺さっき考えていた事を告げる、歳や話が合わないやら、まァ、後は長く生きた俺は化け物扱いされねーかなとか。
「そうか……、よし、暫く返事は待っておけ。ちょっと考えてくるぞ!」
俺の言葉を聞いた竜馬が、考え込んだ後に急に立ち上がってから告げた言葉、そして俺の言葉を待たずにして独房から出ていった。
「う、上手くいった、か?」
疑問が残るが、上手くいったと思いたい。




