ここは断じて談話室ではない
「こいつの考える事じゃねーわ、って思った訳よ?だって、アレだぜェ。世界各国の王様集めるって、護衛する身になれっつうのォ、なァ?そうだよなァ?」
「そ、うですね、はい」
「だろォ?いやァー、話し解る奴で良かったぜ、大洋ちゃん」
この男、神宮司家御用達のSP社長にて最強(自分で言っていた)である、佐渡学と言う。
最近、竜馬の様子がおかしい、何かを隠している、逃げるといった所業を繰り返す為に護衛である佐渡さんが探っていたらしい。
その結果、俺に辿り着いたようで、学園行事で忙しい竜馬が来ない日を踏んで俺に会いに来たと言っていた。それから勝手に椅子や机を用意しだして座るように促されれてから、会話を始める。
思うに、竜馬や佐渡さんは人の話を聞かない系だ。ここでも、俺は取り敢えず頷き肯定するという戦法を使う。
そして、佐渡さんはべらべらと勝手に話す。その内容は絶対に機密っぽいがお構い無しに思える。
「しっかし、大洋ちゃんの看守に、俺の所からSP出さねェで、他から使うとかありえねーしィ。何のための御用達だよ。そう思わね?」
「そ、うですね、はい」
SPと監視する看守は別問じゃね?とか思ったりはしたが、それは言わないでおいた。
「の、癖に、王様集まる学園で?俺もSP代表として通えって無理あるっしょ。ある意味、俺もSPの王様らしいぜ、ひゃっひゃっ!俺が王様って、笑えるじゃん、そう思わね?」
「あ、はい、どう、っすかね」
と、答えてはみたが、何だSPの王様って。無理あるだろ、国々の王って日本以外の国から来る人達じゃないのか?
また、謎が深まりそうになり、俺は眉間に皺を寄せた。それを何か勘違いしたのか、佐渡さんが謝る。怒っていると思われたみたいだ、悪人顔はここでも勘違いを呼ぶ。
「悪ィ、悪ィ。ついつい話し込んじまったぜェ。歴史的犯罪者っつうからどんな野郎かと思ったが、大洋ちゃん良い奴っぽいし、暫く竜馬ちゃんと大洋ちゃんに関しては放置しとくかー」
王様をちゃん付けとは、やっぱり、中々、妙な雰囲気のある人だ佐渡さんは。
佐渡さんは椅子から立ち上がり、細目を更に薄く細めて俺を見詰める。初めて会った時のように背中がビリビリとする感覚が甦る。
これは、殺気という感覚かも知れない。昔、神宮司に禁固を言い渡された時にも感じた視線にも似ている。
「ただ、もし王に楯突くっつうなら、ひゃっひゃっ!殺さずの拷問すっかも、気を付けろよ、大洋ちゃん」
蛇に睨まれた蛙状態な俺。
佐渡さんが告げた後、殺気は無くなりさっきの何気ない会話をしていた雰囲気に戻ってから独房を出ていった。
拷問……、いやいや、SPじゃねーのかよ!?思わず心の中でツッコんだ。




