364年目、金髪王様のターン
「じ、実はな、内密な話がある」
「な、内密な…?」
目の前に座る、竜馬より告げられた言葉。未だに不老不死に長寿な話を問い掛けられない俺は、ただ竜馬の話を聞くのみ。
こ、コミュ症は聞けないんだよ!と、誰かに言うわけではなく、心の中で叫んだ。
そんな俺の心境など、微塵も感じていないであろう竜馬より内密な話と小声で話してくる。
「じ、実は…知り合いが学校に入学するんだが、何というか入学祝いというものを考えておるが、いまいち若い奴の感性が解らなくてな。何をやれば良いか悩んでいる」
竜馬の言葉が右から左に流れ出る。
一応、言葉の意味は理解した、理解したが……俺に聞くか!?いやいや、俺なんてもっと解らないからね?384歳だから、俺は竜馬よりお爺ちゃんな域に達してるから!
「おい、聞いてるか?何が良いか俺様と考えてくれ」
「え、あ、はい」
拒否出来ず、竜馬に押され気味な俺は反射的に頷いた。取り敢えず、竜馬が入学祝いを渡そうとしている子が男か女かを聞いてみると、女の子だそうだ。
その子の特徴や好きな事など、聞いてもいないのに竜馬は話してくる。歳はもうすぐ二十歳だと言っていた。しかし、どこで知り合いになるんだ、二十歳の女の子と。
俺の目が何かを物語ったのか、竜馬は聞いてもいない事を話し出す、いや、これはいつもの事か?
「か、勘違いするなよ?入学祝いをやるのは、俺様が一応世話になったからやるだけであって、す、す、好きとかそんなんではない!」
「わ、解ってます、はい」
「た、確かに俺様の、俺の孤独を言い当て、気味が悪いとは思ったが、俺に話しかける子供が珍しく、無邪気に笑う顔は可愛いとは思うが、お、俺様の見た目は若くとも歳はだいぶ離れておるし、だが、見た目的には釣り合いはあるかも知れぬが…」
「そ、そうですか」
これは、恋バナ悩みコーナーみたいになってないか?いやいや、俺に相談とか恋バナとか無理あるからね!?384年童貞に女性とお付き合いとかないから!言ってて悲しくなってくるが。
「それに、大洋の事も教えてくれたのは彼女でもあるんだぞ?ある意味、大洋と俺様が親友になったのは彼女のお陰でもあるからな、大洋も感謝せねばならんのだぞ、解ったか!」
竜馬の言葉が右から左に流れ……でないんですけど!?相手の告げた言葉に口を開き問い掛けようとすれば、またもや竜馬は公務があるやら何やらで慌てて独房から出て行ってしまった。
相変わらずの捨て台詞と、今度までに入学祝いを考えとけという言葉と共に。俺的には不老不死とその彼女が言った言葉とか竜馬の言葉とか考えたい話しなんだけど、とは言えず脳内で告げるだけであった。
また、俺に悩みの種が生まれた。




