悲しくなった現実
唐突に、俺は思った。
金髪の王様である神宮寺は、俺の通い妻のようだと。
週に二回、神宮寺は俺に会いに来ては土産を持ち込み話をする。因みに数ヶ月後にやっと相手の名を聞き出せたので、名字の後ろの(仮)は取れた状態である。
話を戻すと、神宮寺竜馬は俺の通い妻のようだとそういう話だ。
通い妻とは、必要な時に旦那の元に通うや、甲斐甲斐しく世話をする等という認識だが、性別以外はそれに当てはまる気がする。
食べ物を持ってきたり、偉そうなんだが俺がちょっともたついたりすると、世話をしようとする。何かした覚えはないが、大分、いやかなり神宮寺竜馬に気に入られていると感じていた。
今日も菓子折り持参で独房に入り浸る。
「何だ?食わんのか?確かにお前の好きな食いもんだったろ、べ、別にお前が食べたいかもって思って買ってきた訳じゃない、俺様が食べたかったんだ!」
「…………はあ、そ、そうですか」
ツンデレか!とツッコミたくはなった、これが金髪美少女とか綺麗なお姉さん系ならドキドキするだろう、だが生憎、偉そうな金髪の美青年だ(年齢不詳)
「あの、王様…」
「王様じゃない、竜馬と呼べと言っただろ」
「や、でも」
俺が尽かさず否定しようとすれば、睨みを聞かせる王様、いや、竜馬。ほんとに、気に入る要素が全く無い俺を何故に気に入っているのかが、かなりの謎だ。
「大洋、お前は此処を出たらどうするつもりだ?」
「へ?」
相手に圧を掛けられ、竜馬が持ってきた俺が好物と思われているたい焼きを口に運ぼうとした時に問い掛けられた。突然の問い掛けに開いた口が閉じられずにいる。
いつもの一方的な話ではなく、純粋に俺への問い掛けっぽい。
刑期を終えたらどうするか、余り考えようとはしてなかった事を、いざ他人から問われると困るのが現状だ。軽口で取り敢えず仕事します、とか答えて良い話でもないような気がしないでもない。
竜馬も何処か真剣で、俺はかなり悩んでしまった。
「まあ、良い。大洋、刑期を終えたら貴様は俺様の家に迎えてやる、覚悟しとけ!」
いつもの、偉そうな竜馬に戻る。しかも覚悟しておけの前後の言葉の使い方が間違っている。
結局、要約すると、刑期を終えた俺の衣食住先は現王である竜馬の城になるという事か?というか、俺は刑期を終えてもまだ神宮寺家に囚われる系か?
取り敢えず、たい焼きを食べる。目の前にいる相手の満足げな表情は、俺が拒否するとは全く思ってないように見える。
甘いたい焼きの筈が、何だかしょっぱくなった。
……、城は勘弁願いたい。




