閑話 1年、俺の幼馴染はノベルゲームの隠しキャラ
1年前、俺はこの世界が私だった頃に知るノベルゲームの世界だと気付いた。
気付いてどうにか物語をねじ曲げようとした。
大洋様に然り気無く、乙女ゲームや転生やらを伝える。
訝しげな表情を向けられる、やだ、憂いな表情で、はあはあしちゃう!……意識は未だに俺と私で混合してる。
神宮司絢諭に近付かないようにと言ってみた。
ついつい大洋様って言っちゃったけど、大洋様は余り気にしてなかったようだ、やだ、可愛い!……口調が定まらない、健次として生きた意識と立香として生きた意識がごちゃごちゃし、頭が痛くなった。
どうにかしたかったが敢えなく失敗、物語を決定付ける出来事の一週間くらい前だとどうにも出来ないと痛感する。思い出したのが遅すぎる。
結局大洋様は捕まり、365年あの独房へと閉じ込められる、神宮司絢諭によって。
物語が始まるのは365年後、会話の選択肢で主人公は大洋様ルートに入り主人公に救われるが、そこまでに辿り着くのがかなり大変だったと記憶する。
ノベルゲームの名前は「リメンバー★マイキングラブ」という題名だ。タイトルは分かりやすく、色々な王様と恋愛していくゲームだ。主人公のデフォルト名があった筈だか、それが思い出せない。ゲームの名前はもっぱら自分の名前にしていたからだと思う。
大洋様は365年後の世界で王様になっている金髪の王、神宮司竜馬ルートから分岐出来る。
俺様王様な竜馬は王族しか閲覧出来ない本を偶々読んで本来の王とは、自分が何故生きるのかの葛藤をする。ま、そこで主人公ちゃんにより救われるが、このルートで本来王族しか閲覧出来ない本を主人公ちゃんが読み、365年生きる大洋様の存在に気付き、となるのが大筋のストーリーだ。
大洋様に会うには、全ての王をクリアし、竜馬の好感度を上げてからの大洋様ルート。中々竜馬の好感度を上げる選択肢が難しいと記憶している。
そして、竜馬の好感度を上げていないと、例え大洋様ルートになろうとも、ハッピーなエンドにはならない。
あれだけ何度も、大洋様に会う為にやり込み読み更けたが、これはゲームの抑制力というものなのか、ここ最近はうろ覚えに近い。
ただ、何とかして私は大洋様を救いたい。
私が、俺として生きる時間は何か事故や病気にならない限り死にはしない、大洋みたいに長生きもしない。ゲーム内で俺という存在は一言も確認されない、だから今から俺はとんでもない事をしようと考えている。
「大洋のため、美月結婚しよう」
俺と美月の子孫、それが後に大洋の助けになれば良い。俺は美月に何もかも、ぶちまけそれでいて、この結婚話を持ち掛けた。




