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禁固365年の男  作者: 獅斬武
第5章 変な王族
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364年目、金髪の王様

唐突に思い出したのは、一度開かれたドアから来た金髪の王子様(仮)


俺を見てから捨て台詞を吐いて、直ぐに出ていった偉そうな金髪の王子様(仮)


多分、王子様(仮)と呼ばれてたから、王子様だよな?金髪王子様ってデフォルトじゃねーの、王子様なら神宮司の子孫になるんだよなァと、俺はぼんやりと思い出していた。


何故思い出したんだろうかと考えると、この時期に王子様が来たなと整理していた昔のカレンダーを見たからだ。


あの捨て台詞もいまいち理解出来なかったな、一体何だったのか。


あれから50年経っている、金髪王子はもう王様になったかも、と考えていると慌ただしい声と音がドアの外から聞こえた。


これは、50年前のデジャブである。


ギギギッ、バタン!


そんな音と共に、あの重苦しいドアが開かれた。今回俺は毛布を被っていない、というか服を洗ったばかりなので、所謂全裸である。


「また来たぞ!歴史的犯罪者!俺様は王である!」


どーん、と音がしそうな構えで、開かれたドアから現れたのは自称金髪の王様である。偉そうなのは、王様だからなのか、それとも性格がそうさせているのか、見目麗しい相手ではあると思うが中身が残念そうだと感じるのは俺だけじゃない筈だ。そして全裸なのだが、王様は気にしないのか?俺はどうすれば良いんだ。


顔は何処と無く神宮司に似ているような、前に貰ったアニメカレンダーのキャラクターにも似ているような気もする。つまりは顔はイケメン部類だ。


自称、金髪王様は50年前に会った金髪王子(仮)だと思う、また来たぞって言っているくらいだ。しかし……、彼に何処か違和感を覚える。


金髪王子様の時に会った彼の幼い顔立ちは年齢的には15、6歳と思っていた。だから50年経てば歳は65、6だと思うが彼の見た目は……20代後半ないしも30歳ぐらいだ、見るからに若い。


考えが追い付かず、俺はただ、彼を見詰めるだけだった。そして全裸である事に、俺はどうすれば良いのかとも一緒に考え、何もかもが混乱している。そんな混乱をつゆらず、金髪王様は俺に声をかける、偉そうなのは変わらずに。


「おい、貴様、俺様が来たんだぞ、何か言わんか。よもや、俺の顔を忘れたのか?50年前に一度会っているだろう」


ふんっ、と鼻息を荒くさせ言った言葉。や、やっぱり50年前に会ったあの金髪王子様か!?


いや、それより何より、


「あの、全裸なんで一旦、出てってくれませんか?」


男同士だとしても、流石に王様に全裸のまま話すのはキツかった俺は、ゆっくりとした口調で相手に告げた。

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