表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁固365年の男  作者: 獅斬武
第4章 罪と罪
23/106

もう一人の看守

「ど、どうもありがとう、ございます」


俺が礼を述べた後、差し出された紙に書かれた文字はウイッス。


捕まってからもう300年とちょっとは経っている中で、看守さんの二人体制は変わらず。今日は葵さんとは別の看守さん。名前は未だに知らないから渾名を付けている。ウイッスくんだ。


何でもかんでも返事は全部ウイッス、多分返事だとは思ってはいるが。


偶に、一日くだらない事を考える日を作って、自分の中の気持ちをリフレッシュさせる様にしている、最近だが。まァ、要は暇潰しの日だ。


独房内に300年以上居ると、やる事がないくらい解るだろう。テレビがある訳じゃなく、携帯電話もない、あるのは紙と鉛筆、カレンダー。


黒歴史な狂った時期は生きたり死んだり繰り返し時間の感覚は無かったが、葵さんに会ってまともを取り戻せば暇な時間が出来る。くだらない妄想か、絵を描いたりしてみたりもした。300年も絵を描き続けば上手くはなるな、俺でも。


今日は絵を描く気分でもなく、もう一人の看守さんであるウイッスくんについて考えてみる事にした。


ウイッスくんはこれまでの看守さんと一緒で、声は発せずメモ紙だけのやり取り。書かれた文字を見れば大雑把、返事だけは良い後輩みたいな雰囲気が文字から滲み出ている。


性別は男性の体育会系で、野球とかやってそうな、顔は想像が付きにくいが角刈りとか、丸坊主とかそんな感じで、お前、返事だけは良いがちゃんとしっかり走れ、はい!とかいうやり取りをしそうな先輩に可愛がられる、……妄想だが。


いや、待てよ。体育会系じゃなく、先輩、先輩と慕うわんこ系後輩かも知れない。そうなるとサラサラヘアーな、ちょっと悪い先輩を慕い、返事だけは良いな、嫌いじゃないぜ、はい!とか言うやり取りをしながらお小遣いを貰っちゃう系かも知れない、……妄想だが。


続くウイッスくん妄想、ウイッスくんの声はどんなだろうと考える。


そうだな、ちょっとゴツい系の顔付きだったら低い声かも知れねーなー。ただ、元気な可愛がられ後輩系なら聞きやすい声の色をしてるかも知れない。聞いた事がないから何とも言えないけどね。これで、甲高い声だったらまた違った想像も出来るが。


はっ、と、ここで妄想の神が降臨する。


ちょっとやんちゃ系の女子かも知れない!


こっちは念頭にいれてなかったわ、女子。葵さんが女子ならもう一人も女子かも知れねーな、最初の頃の看守さんも女子だったし、ウイッスちゃんかもな。


と、もう一人の看守について妄想していたら時間がかなり経っていた。今日の暇潰しは充実した日だったな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ