閑話 0年、俺の罪
本当は解っていた。
水無月に罪はなく、罪だというなら俺だという事を。
次期王となる立場として生まれた俺だが、最初は異質として扱われた。
神宮司家から黒髪として生まれる子は異質、飛び出た才能かまたは破滅を導くかと言われるほどどちらかに傾く。
本来、神宮司家に最高と吟われる髪色は真っ赤な色。
この髪色だけで、異質と見なされるのが嫌だった俺は努力した。次期王になる為に、全てを捧げる覚悟で。
そんな努力を認められ、飛び出た才能の方へ傾いた俺が大学で会ったのは、あの男。
俺が喉から手が出るほど欲しかった、真っ赤な髪をしたあの男だ。
思わず、引き寄せられる様に張り付けた仮面の笑顔を見せあの男に話しかけた。
何も言わず、俺を見詰める目。
俺の本能で知らせる、危険信号の文字。
名前は水無月大洋。
水無月の苗字に、覚えがあった俺は出会った日の夜に王宮図書館の奥、歴史が載った本を手に取った。
ああ、ああ、やっぱり、水無月大洋は…っ。
本当は解っていた。
水無月に罪はない、罪だというなら俺だという事を。
それでも、俺は王になる為の努力をする。
それが、本来の王を閉じ込める事になってでも。
安心してくれ、俺はお前意外なら慈愛ある事をしよう。
お前の大切な、妹には手を出さない、例えお前の妹であっても、お前だけが脅威。
水無月、お前さえ俺の前にいないなら。
俺は……、絶対に王になる。




