閑話 0年、私のお兄ちゃん
私のお兄ちゃんは、顔が怖い。怖いと言うか不気味って周りからも言われてる。
そんな事はない!って、私は周りにいつも言っている。
だってお兄ちゃんは、とっても、とっても優しいんだから!
お兄ちゃんと私の親は二人とも亡くなって、身内はお兄ちゃんだけ。
だからかな、お兄ちゃんは私に寂しい思いをさせないように、大事に大事にしてくれた。
私とお兄ちゃんは顔は似てないって言われるけど、唇とかは似てると思う。
私とお兄ちゃんを見て、似てないねって言う人は嫌い。私とお兄ちゃんは似てる、だって二人きりの兄妹なんだから。
優しくて、ちょっとだらしなくて、人見知りは激しいけれど、笑った顔はとても優しい、他の人もきっとお兄ちゃんの笑った顔を見れば好きになる、でも、お兄ちゃんは騙されやすいから、私がしっかり、お嫁さんになる人は見極めないと!
そんな優しいお兄ちゃんが、この国の王となるであろう殿下の不敬を買った。
絶対、絶対、そんな事はない!だって、お兄ちゃんだもの、優しいお兄ちゃんが私を一人にするような事をする筈がないもん。
お兄ちゃんを助けようと、私は殿下の元へ行こうとしたら、健ちゃんが私を止めに入った。
お兄ちゃんが断罪された日、インフルエンザで休んでたとか、すごーく役立たず!私が怒っているのが解るのか、苦笑いしている。お兄ちゃんが捕まったのに、何で平気な顔をしてるのか解らない。
捲し立てる私に、健ちゃんが意味不明な事を言う。
お兄ちゃんは、365年後に出れるからって。
365年後って、普通に生きてないから!お兄ちゃんが捕まって、健ちゃんも可笑しくなったの?呆然とする私に、健ちゃんは今までにないくらい真剣で大事な事を話すような声で私に告げる。
ねえ、お兄ちゃん…、私はどうすれば、良い?




