イベント違うらしい
とある場所にて、向き合う俺と洋子ちゃん。
「イベント、違うんだよ大洋おじさん」
「え?い、イベント?」
獣人王に決闘云々、姫川さんがぶっ倒して云々、俺が聞いたりした噂話云々を洋子ちゃんが秘密ノート片手に真剣な顔で言い出した。
俺の持ってる、というか渡してきた秘密ノートとは違う洋子ちゃんの持つ秘密ノート。しかし、あの俺のノートも洋子ちゃんから貰ったものだし、洋子ちゃんの物と言えば物かも知れない。
「そうなの、イベント違うの!や、イベント事態起こるのは起こってるんだけど、関わる人がちょっと違くて」
とある場所、洋子ちゃんと二人で会う為の場所で、竜馬のお気に入りの場所を貸して貰っているらしい。
本来は、竜馬しか入れないと言ってたが、洋子ちゃんには許してるみたいだ、一応俺も良いとのこと。 理事長室で話し終えたタイミングで、洋子ちゃんからマイディーで連絡をもらい、今に至る。
呼び出して来たのは、獣人王と俺とのやり取りを聞いた、と説明を受けた。 まあ、あれだけ周りが騒がしい感じだったら、噂は届くかも知れない。
「まず、主人公ちゃん曰くの魔力持ちの子の決闘話なんだけど、実際自分で決闘しなくて、実際するのは魔法王と騎士王、主人公ちゃんを取り合う形で」
「あ、書いてあったな、確か。決闘くらいの文字しか読んでなかった…」
自分に関係ない事柄は飛ばし読みしてしまう、俺。というか、実は秘密ノートはパラパラしか目を通していない俺がいる。なので、中身は全然読んでないに等しい。ほんと、最初の部分くらいしか読んでない。 そんな俺を他所に、洋子ちゃんは続ける。
「今、決闘イベントが流行ってる時期で、この後も色々決闘したり。もう既に他に決闘イベントやってるから、たぶん、また起こると思う」
え、やっぱり決闘、流行ってんの!?傍迷惑な話だ…と思うだけで洋子ちゃんには口に出さない。ただ、聞いて頷く戦法である。
「佐渡さんと騎士王イベントも、主人公ちゃんに関わらない形で決闘しちゃってるし、佐渡さんに聞いたらはぐらかすし、ちょっとくらい教えてくれてめも良いのに!」
佐渡さんの決闘に関しては、俺も知ってはいたが、洋子ちゃん関連は言わない方が良いみたいだ、知られるの何か恥ずかしいのか? ……いやいや、佐渡さんに羞恥とかなさそうだな。 この話も俺はただ、頷くのみ。
「で、獣人王と大洋おじさんの決闘は、場所は違うけれど、ちゃんと起こって」
「え、これ、起こる…やつ?」
「うん、これはイベント通り、ただ、倒したのって、姫川さんなんでしょ?」
「ああ、うん、姫川さんが現れて、鳩尾に一発KO的に」
俺の言葉に洋子ちゃんが、言いにくそうにしつつも、話してくれる。
「え、っと、本来のゲームだと、大洋おじさんって、無茶苦茶チートで強くて、獣人王を軽くあしらっちゃうのね?で、負けた獣人王は大洋おじさんに忠誠を誓うんだけど…」
洋子ちゃんの話が耳に届くが、これは一体、どこのどなたの大洋おじさんなのだろうか。強いって、俺は生きてきて、喧嘩なんか一度もしたことないけど!? 別次元の話だな、と心ここあらずの精神で聞いていく。
「決闘で倒したのが、姫川さん、しかも女であるなら、獣人王は姫川さんに結婚を迫ると思う」
ここにきて、佐渡さんのあの言葉の意味を理解した。だから、あんな事を言ったのか。
「分岐で、獣人王の決闘イベントで、主人公ちゃんにもするのはがあるんだけど、その時に主人公ちゃんが勝ったら結婚迫ってたからたぶん、姫川さんも」
「か、回避とか、出来ないのか?」
「うーん、どうだったかな、選択肢で、しません、とか結婚します、とかあったみたいだから、出来るかも知れないけど…後は、横入りして、他の人が決闘し直すパターンとか、あったかな」
「横入り…」
お、俺には出来そうもない、出来るならさっき洋子ちゃんが言ってた、ゲームのチートな俺しか無理そうだ、後は佐渡さんに頼むとかしかない…が、佐渡さんが姫川さんに丸投げな言葉を言ってたし、これはもう解決は難しいかも知れない。
「だ、大丈夫?大洋おじさん、顔色が最悪だよ?」
「え、あ、うん、姫川さん大丈夫かな、って、相手は王様だし、断れないとかあったりしたらって、俺の所為っぽいし」
「姫川さんの事、私も良くは知らないけど、佐渡さんの部下なら大丈夫じゃないかな?私が言うのもあれだけど、なんなら私から佐渡さんか竜馬さんに頼んでみるし!」
「…俺からも言ってみるな」
洋子ちゃんの慰めようとするような言葉に何となく気持ちは浮上し、俺も頷きつつ多少の笑みを溢して答えた。
しかし、決闘、ほんとに流行ってるのか、いつまで決闘続くんだ…と、別の心配が浮上した。




