閑話365年、俺様のもう一つの
月名で裏切ったのは、神無月。そして俺様は神無月の子孫であり、水無月、いや、大洋から王の座を奪った者の子孫にも当たる。
裏切りの神無月である神宮寺、王の座を奪ったが焦がれた不老不死になる事は歴代の王には現れなかった、……俺様以外は。
本来の神無月の役割は、予知。 空白の王も予知の力を持ち、予知夢と言う形で後に現れるだろう、王の座を脅かす水無月の者を視たと空白の王の本に書いてはあった。
空白の王である神宮寺絢諭の予知夢は特に優れ、書いてある事は今の歴史まで外れてはいない、ただ、大洋に関しては所々違っている。
大洋が今の俺様の立場を奪う存在で、それを実行し、学も周りの者達を全て味方に付け、俺様から何もかも奪いそしてあの大洋が365年いた独房に入れられる運命と書いてあった。
しかし、神宮寺絢諭の予知は外れ、俺様と大洋は親友になり、返そうとした王の座を大洋はいらぬと言った。
あれだけの事をした、先祖達を許す大洋は流石俺様の親友だ!
大洋が牢獄にいた頃は、自分の罪をきっと暴きたいと思ってたであろう、理不尽なまでに奪われた長い月日にきっと大洋は怒りに満ちたであろう。
大洋の罪が罪でない事を知らせたあの時の大洋の表情は、俺様の願望だったかも知れないが何処か安堵していた気がした。
そして決意する、いつか、本当の王である水無月に王の座を返そう。 一度は断られているが、それが、俺様の今の目標であり、俺様の願いである。
それをするには、時間やしがらみがあるが……、俺様と大洋には長い長い時間がある。 長い時間をかけてでも、俺様はその願いを叶えたい。
しかし、余り深く考えては来なかったが、水無月が不老不死ならば、本来の王になるはずだった初代の水無月はいったい、何処に行ったのであろうか……。
禁固365年の男の本 この本に何か手掛かりがある事を俺様は祈る。
願わくば、独房から出た大洋が、この長い時間を有意義に、そして幸せに過ごして欲しいと俺様は願う。
それが俺様のもう一つの決意。




