王妃様のお喋り2
誰かと付き合ったりした事がない、友人と恋バナなど話す、これは想像で妄想な産物だと思っていたが案外本当のようだ。
俺は今、多分、王妃様に恋バナっぽい話しと愚痴っぽい話を聞かされている。
「竜馬様をこんなにお慕いしておりますのに、竜馬様は幼子に接するような態度ですのよ」
「……はあ、そうな、んですね」
そりゃあ、竜馬も不老不死でそれなりの年月を過ぎていれば、王妃様が何歳か解らないが竜馬からしたら子供だろう、いや、孫……?と考える。
「貴方も、庶民の子が好きならば態度を改めなければ行けませんわ」
「あ、はい」
未だに、洋子ちゃんは姪っ子ですと説明出来ずに俺は頷いて話を聞く。
呼び出されたのは、教室とは程遠い装飾がなされた部屋。見た目的に、竜馬の理事長室のような場所。 ここは、王妃様専用の部屋みたいなものだろうか?と考える。
「で、具体的な案はお考えですか?ちゃんとデートにお誘いするべきですの」
意識を部屋に向けていたため、王妃様の言葉に最初理解が出来なかった。
え?デート…?だ、誰と誰が……? 俺の言葉は聞かず、王妃様は話をする。何か鬱憤でもあるのか、暫くすると俺と洋子ちゃんの話しはそっちのけになり自分の話しになっていく。王妃様の愚痴に付き合わされてるのか、俺は。
「竜馬様の側にいる、あの汚らわしい羽虫を引き離すにはどうするべきか、私考えているのですわ」
「……羽虫……?」
「名前を呼ぶのも汚らわしいですわ」
「……いや、あの、羽虫って」
俺が問い掛けると、王妃様の鋭い瞳が向けられる。ビクッと肩が震え、押し黙る。
俺の予想で、多分、羽虫とは佐渡さんの事だろうと思うが。一体、王妃様に何をしたんだ、佐渡さんは。
ここから、王妃様の佐渡さん批判が始まる。相当、嫌いらしい。本当に嫌いな相手には嫌みの一つも言わないのが王妃様流だと散々聞かされた。
なら、何かしら言われる洋子ちゃんはそこまで嫌われてる訳じゃないの、か? そう考えて、少しホッとした俺がいる。
やはり、身内が王妃様に嫌われるのは心苦しい。俺がどう思われようと良い、昔から好かれる確率はかなり低い俺が嫌われる、怖がられるはある意味慣れている。
ま、まぁ、愚痴を聞かされてる辺り、俺は嫌われて訳でもなさそうだ、自惚れじゃなければ。 ただ……、
「王妃様、お話し中申し訳ございません、そろそろ……」
ただ……、王妃様に付いているメイドみたいな女性は俺を相当嫌っているように思える。何と無く、だと感じるが。 メイドの言葉に王妃様はメイドの方へ視線を傾けた。
「あら、時間だったかしら?私とした事が貴方と庶民の子のデートプランを相談出来なかったわね。また時間が出来ましたら、呼び出しますわ」
「え、あ、はい」
立ち上がった王妃様に続き、俺も一緒に立ち上がる。 結局、俺は王妃様の愚痴に付き合わされただけだった。




