女神様の日常
とある天界にいる女神アストと天使ラグの日常のお話。
「はぁー……つまらんのぅ」
ため息をつく金髪碧眼の少女、
その背中には真っ白な翼が生えている。
「何か面白いことはないかのぅ……」
そう呟き、手を動かすが何も掴めない。
「?」
不思議に思い手元を見ると、手を入れているスナック菓子の袋のには何も入ってなかった。
「ぬ……」
中身が無いことに気付き、後ろに投げ捨てる。
そして近くにあった新しいスナック菓子を開ける。
「っ!!」
それを口に含んだ瞬間、凄く苦い味がした。
「っぷは、なんじゃこれは!」
近くに置いていた飲みかけの麦茶を飲み干し、袋のパッケージを確かめる。
そこにはコーヒー味と書かれていた。
「なんじゃこれは!! こんな物買った覚えなどないぞ!」
ぐぬぬと唸る。
少女はコーヒーが嫌いだった。というか苦い物が全て嫌いだった。
だからこんな物買うはずが……
「はっ!」
そうだあいつ、あいつがいたじゃないか。
この、凄くえらーい私に嫌がらせをしてくる奴が。
「ラグの奴め、今度という今度は絶対に……」
ふと、先程まで見ていたテレビからとある音を拾った。
『なんと今日、今話題のあのVRゲーム「アクアロート」が発売されました!』
テレビに視線が引き寄せられる。
『いやー、遂に発売しましたね「アクアロート」』
『いや、本当にね。私楽しみで楽しみで、一週間くらい前から全然寝れなかったよー』
『あはは、そうなんですか?』
二人の男女が画面の中で喋っている。
「………」
いや、そんなことはどうでもいい。
今あの女は何て言った?VRゲームだと?
そんな、そんな面白そうなの……
「やるしかないじゃろう!」
立ち上がり大声で言った。
テンションが上がり、自然と口角が上がる。
「それじゃあ買いに行くかの!」
扉に向かおうと後ろを振り向くと、
「ひっ!」
悪魔がいた。
「……何処に行こうとしているんですか、アスト様?」
「へぁっ! あっえーとぉ……」
目の前の悪魔から目をそらす。
「……まさか、仕事をさぼってゲームを買いに行く。なんてことは無い、ですよね?」
「…………」
バレてる。
逃げようと一歩後ろに下がろうとすると、ガシッと両肩を掴まれる。
「えっ何、何何って痛い痛い痛い!」
ギリギリと肩を掴む手に力が込められていく。
そして、悪魔は笑顔で言うのだった。
「仕事、しましょうね?」
その言葉に
「……はい」
私はただ頷くことしか出来なかった。