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鍛冶屋の親方と革鎧の材料

「で、今日は何しに来やがったんだ?冷やかしならぶっ殺すぞ。」


あれから少し時間が経ちまして、やっと話を進める事が出来そうです。

因みに、この方は、やはり鍛冶屋の親方さんらしく、ドワーフのロットさんと言うらしいです。


「ああ、今日はな、この嬢ちゃんがクラフト魔法で防具作るらから、材料買いに来たんだよ。」


「クラフト魔法?このお嬢ちゃんがか?」


「ああ、こう見えて、クラフト魔法の腕はすげぇぞ。親方の剣を簡単に越える剣まで簡単に作っちまうからな。」


「あ?なんだって?」


あ、親方さんの額に青筋が浮かび上がりましたわ。


「本当だって、それどころか聖剣を越える出来だ。」


「...良いだろう。おい、お嬢ちゃん。ちょっと剣1本作ってみな。話が本当なら、材料はただで譲ってやるよ。」


タダですか?喜んで!


「分かりました。では、クラフティングテーブルお借りしますね。」


鍛冶屋のクラフティングテーブルを借り、鉄のインゴットと木の棒を並べると、鉄の剣が出来上がり、親方はそれを手に取ると、目を見開き、隅々まで確認すると、溜め息をつく。


「...マジで、低級の聖剣を越えとる。これなら、中級の聖剣に匹敵するかどうかといったところだな。お嬢ちゃん、名前は?」


「ミストと言います。」


「そうか。じゃあ、約束通り、材料をタダで分けてやる。新人冒険者なら、最初は革の鎧にしておいた方が良いだろ。いきなり鉄のフルプレートアーマーなんか着たって、身動きできないからな。」


「わかりました。では、革を分けていただいてもよろしいですか?」


「ああ、丁度良い革がある。ちょっと待ってろ。」


そう言うと親方は店の奥へと行ってしまい、しばらくすると革を山のように抱えて戻ってきた。


「この辺の革が良いな。好きなの選んでけ。」


「おいおい!これ、タダで渡して良いもんじゃねぇだろ!スノーフォレストタイガーの革だろこれ!」


スノーフォレストタイガーとは、スノーエンド公国北部の森深くにしか生息していない、スノーエンド公国の固有種で、その革は外からの風を通さず、でも蒸れることもなく、適度な保温性を持っており、防刃性もただの鉄鎧とは桁違いに高いそうで、革鎧1着で金貨50枚は下らないそうです。


「良いんだよ。最近はもっと質の良いのが出回ってるからな。これは、少し傷が多いんだよ。だから、売り物にならねぇんだが、クラフト魔法なら、傷は関係ねぇだろ?」


クラフト魔法なら、材料がどのような状態でも材料は材料なので、クラフト魔法の腕が良ければ、どれだけ材料の質が悪くても関係ないのだ。


「ありがとうございますわ。親方さん。」


「礼なんかいらねぇよ。まあ、祝いみたいなもんだ。代わりに、珍しい素材をゲットしたら、俺に卸してくれたら良いんだよ。」


少し照れながらそんなこと言われると、何だか親方さんが可愛く見えてきてしまいますわ。


「おいおい、親方が照れるところなんて見たくねぇんだよ。気持ち悪いわ!」


「喧しい!誰が照れてるだと!」


その後、また口喧嘩になりましたが、私はスノーフォレストタイガーの革の手触りを確かめながら、どんな風に作ろうか考えるのでした。

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