地竜探しと正しい野営の過ごし方
地竜を探しに森へと入って早くも3時間が経ち、ミストとララノアは、未だ、地竜を発見できずにいた。
地竜の体長は10m~30mと言われ、中には丘や小山のような大きさのものもいるため、比較的発見しやすいのだが、今回は、森の中での行動が得意なエルフのララノアの目をもってしても、痕跡は発見できても、地竜は見つけられていなかった。
「おかしいわね。村で聞いた話だと、体長は25m前後の巨大な地竜の筈なのに、これだけ探しても見つからないなんて、おかしいわね。」
「偶然、入れ違いになってると言う訳では無いのですか?」
「ええ、それは無いわ。だって、エルフは精霊から情報を教えてもらえるし、地竜みたいな大きな魔物なら、直ぐに見つかる筈なのよ。」
エルフは妖精族と言う種族に分類され、また、精霊も妖精族に分類されるのだが、エルフは精霊に愛されていると言われ、現にエルフは精霊魔法と言う特殊な魔法を使い、精霊に起こしたい現象を念じ、精霊はその念を受け取って、現象を起こす。他の種族が使う魔法は、魔力を使って、自分で現象を起こさないといけないため、精霊魔法は自分の魔力は使わず、イメージする為に頭を使うことで、疲れて限界がくるが、魔法は、自分の使える魔力に限界があるため、精霊魔法より早く限界がくる。その為、エルフと魔法戦になった場合、長期戦になるほど、他種族は不利になる。
まあ、相手の思考を乱せば、精霊魔法の行使が難しくなり、身体能力の低いエルフは簡単に倒せるのだが。
「どうしようか。地竜が歩いた跡は残ってるから、これ辿って、巣を探す方が早いかな?巣で張ってたら、捕まえられると思うんだけど。」
「その方がよろしいと思いますわ。ですが、巣はそんな簡単に見つけられるのですか?」
森の中には地竜以外の大型の魔物もおり、地竜の歩いた跡と似たものもいる。また、地竜の歩いた跡もたくさんあり、辿るにしても、見つからない可能性も高い。
「ええ、巣の場所なら、幾つか精霊に教えてもらったから。」
「幾つか?」
「地竜かどうか分からないのよね。大型の魔物も森にはいるから、絶対に、地竜の巣とは言い切れないのよね。」
「では、近いところから順に回るのですか?」
「うん。それしかないわね。」
精霊が教えた巣の場所を回ると、1つ目の巣は、地竜の昔の巣のようで、巣が小さくなったようで、地竜の巣にしては小さな巣でした。2つ目は、飛竜の巣で、丁度、帰ってきた所をララノアさんがアイスシャベリンで翼をズタズタにし、落ちてきた飛竜を氷魔法で氷漬けにしていました。その後もしばらく飛竜の巣が続いて、飛竜の氷漬けがたくさん出来上がりました。
これはいくらで売れるんでしょう?
「ん~...無いね~今日はもう見つからないかな。」
12個目の巣を確認し終えると、もう日が傾き始めていた為、野営の準備を始めました。野営は、国を出るときに道中で何度も体験しましたが、ララノアさんが教えて下さる野営は、何だか文化の香りが致します。まず、テントを張って、屋根の下で寝ることが出来るなんて思いもしませんでしたわ。私、お星様の下、柔らかな草の上で寝ていましたから、料理も狩った魔物の肉をただ焼いて食べるのではなくて、保存食なるものを使って温かいスープや、固いけどスープに浸けると美味しく食べられるパンがあるなんて驚きました。
あら?ララノアさん、何で泣いてらっしゃるのですか?え?もっと食べなさい?私、これで十分ですのに。
その後、何だかやたらといつも以上に親切にしてもらいながら、交代で見張りをしたのですが、真っ暗な森の中、焚き火を眺めて薪の爆ぜる音を聞いてると安心して、気がつくと、いつの間にか時間が経っていて、夜が明け始めていましたわ。
「ん~...ミストちゃんおはよ~」
「ララノアさん、おはよう御座いますですわ。」
起き出してたララノアさんと一緒に、朝食を作ります。朝食は昨日のスープの残りを暖め直して、固いパンを添えて完成ですわ。
朝食を食べているとき、ララノアさんに「焚き火がパチパチって言って、とても楽しかったですわ!気付いたら、夜が明けていましたの。」って言ったら、「う~ん...ミストちゃんって子供っぽいところあるのね。」って言われましたわ。不服です!私、もう立派なレディーですのに!
野営の後始末をして、片付けを終えた2人は、一旦、村へと戻り始めた。




