エルフの訓練方法
「ふぅ...お腹一杯になったわ。」
「はい、もう食べられませんわ。」
夕食を終え、部屋へと戻ってきたミストとララノア。アルベルトのことは既に忘却の彼方へと、記憶から消されていた。
「今日はたっぷり遊んだから、明日からは頑張らないとね~」
「はい。明日からよろしくお願いいたしますわ。」
「うんうん。やる気があるなら問題なし。じゃあ、明日は7時くらいに起きて、8時過ぎか9時くらいから始めましょうね。」
「はい。では、お休みなさいませ。」
「お休み...って、また、貫頭衣なのね.....まあ良いか。」
そのまま同じベッドで眠りにつき、リフレッシュの日は一人の男を、世界一周へと追い出すことで成り立ち、無事(?)に終了した。
翌朝、ドレスアーマーを装着して、朝食をとり、草原へとララノアさんと一緒に出ました。
「じゃあ、まず、体を少し動かしましょうか。そこの岩と木の間を5周くらいしましょう。」
「はい!」
5周なら、余裕ですわ!先日は、本当に何周したのか、全く記憶にありませんもの。
「じゃ、位置について~よーい...どん!」
こうやって走ると、終わりがわかっているので、やる気が出ますわね。ちょっと、速度を上げましょう!
「お~早い早い!十分、足早いよ!」
少し興奮気味のララノアさんの声を聞きながら、5周走り終える。
「ん~、早いねぇ。息もきれてないし、本当に体力無いの?それとも、アルベルトのせいで、体力が少しはついたのかな?」
「アルベルトさんのお陰だと思いますわ。少なくとも、鍛えることは出来ていましたので。」
確かに、アルベルトさんの方法は、力でごり押しするようなやり方でしたが、一応、少しは体力がつきました。ですから、今の私は、少しは体力があると言えますね。
「そっか、じゃあ、どうしようかな。簡単なことから始めようと思ったんだけど、もう少しランク上げてみようか...っと、その前に、ミストちゃんに聞き忘れてたんだけど、今後の方針に関わる話だから、よく考えて、答えてね?」
「はい。勿論ですわ。」
「えっとね、確か、ミストちゃんって、弓も魔法も使えるんだよね?なら、無理に前衛職並の体力つけなくても、ある程度、咄嗟に自分の身を守れるくらいで良いんじゃないかなって思うんだけど、ミストちゃんは、前衛職になりたいのかな?それとも、後方支援かな?」
「.....あぁ...」
すっかり忘れていましたわ。私、前衛職じゃなくても、良かったんでしたわ。どちらかと言えば、後衛職希望ですわね。
「私、後衛職希望ですわ。」
「うんうん。じゃあ、体力作りは、朝に走り込みするくらいで良いかな。どちらにせよ、脚力は必要だからね。後衛は、弓と魔法両方いけるんだよね?どっちが得意?」
「どちらでも大丈夫ですわ。弓なら、大体の獲物は一撃で倒せますし、魔法も一応、クラフト魔法以外に全属性の普通魔法が高位まで使えますわ。」
普通魔法は、水、火、土、風、光、闇、無属性の7つがあり、更に、組み合わせによっては、氷や聖の属性が作れる。そして、一番、威力の弱い低位から始まり、攻撃に使える中位、戦場の形勢を変えるとまで言われる高位。そして、世界を支配できるほどの威力とされる帝位の4段階に分けられる。
「え、高位まで使えるの?それも、全属性?凄いね。私、水と風と光の3つをそれぞれ中位までと、水と風で作る氷魔法を高位までしか使えないよ?!」
「そうなのですか?私、使えるには使えますが、複数属性を使って行使する魔法は苦手ですの。氷魔法も高位まで行使できないことは無いですが、失敗することも多いですわ。」
「へ~、じゃあ、複数属性の魔法で行う魔法を教えてあげる!特に、氷の魔法を教えてあげるわ!」
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
「ええ!勿論!」
平原から、森の中の泉へと移動し、氷魔法の訓練を開始した。
「まずね、複数の属性を使うには、別々の属性をそれぞれの手の上にだして、それを近付けて、満遍なく混ぜるようにするんだけれど、私みたいに慣れていたら、何もせずに氷の魔法を出せるし、これを片手に出しながら、もう片方の手に別の属性を更に出したら、三属性の魔法を混ぜれるし、更にまた慣れれば、どんどん増やせるから、先ずは、2つの魔法を最初から出せるようにする練習だね。」
「はい。分かりましたわ。ですが、いつも、混ぜようとしても、そのまま暴発して、周りを霜だらけにしてしまうのですが、どうすれば、暴発しないように出来るのでしょうか?」
「それはね、暴発するのは、魔力を込めすぎているのと、出している魔法の量が左右で違うからだね。魔法制御が上手ければ、込める魔力量を増やしても良いんだけど、まず、出す魔力の量を均等にする事から始めようか!」




