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酒場で振り返ってみて

・アルベルト視点

ミストの嬢ちゃんがぶっ倒れちまったから、今日は酒を飲むことにした。ここ数日はミストに付きっきりで、酒を飲む暇もなかったからな。


「お!アルベルトじゃないか!」


冒険者ギルドに入ると、ほぼ同時期に冒険者になった、酒飲み仲間のゾルドが居た。


「なんだ。ゾルドか、最近、見なかったから、死んだと思ってたんだが、まだ生きてやがったか。」


「相変わらず酷ぇ言い様だな。ま、その方がアルベルトらしいから良いんだが。」


ゾルドは俺より上のAランクで、巨大な戦斧使いとして有名だ。特に、ドラゴンを戦斧で頭かち割って倒したのには驚いた。


「で、最近、どうなんだ?アルベルトが何やら子守りをしてると聞いたんだが、何の風の吹き回しだ?」


くそっ、ニタニタと鬱陶しいことこの上ない!


「放っとけ、ギルドマスターに押し付けられたんだよ。」


「その割りには、良く面倒を見てるようだが?」


...頭かち割りてぇ~


「悪い悪い、そう怖い顔すんなって!最近、お前のやる気が無いから心配してたんだが、やる気が出たのかと嬉しく思ってんだからよ。」


そんなこと、心配してたのかよ。本当にお人好しだなこいつは。


「まあ、何となくだ。単なる気紛れ、そんなとこだな。それに、子守してるだけでギルドマスターにうるさく言われねぇから丁度、良いんだよ。」


「そうか~で、手は出したのか?」


「ぶぁ?!何を言い出すんだ!てめぇは!」


「ははははっ!そりゃ、女の子と一緒に活動して、その上、同じ宿なんだから、夜這いして手出すくらい当たり前だろ?」


何て事言い出すんだこいつは!そんな猿みたいな奴、てめぇだけだよ!


「当たり前じゃねぇし、まず、ミストに手を出すとか考えもしなかったわ!」


「へ~ミストって言うのか。で、考えたこともないってのは、可愛くないのか。ブスか?」


...こいつ、本当に頭かち割ろうかな。


「まあ、容姿は整ってるんじゃねぇか?元貴族みたいだし、努力することに抵抗もなく素直に言うことは聞くし、男からしたら、優良物件みたいなもんだろ。」


「何!?元貴族様か!...ん?なのに、努力に抵抗がなくて、お前みたいな乱暴者の言葉も素直に聞くn...あたたたたた!!!...割れる!頭割れる!止めてくれ!!!.....ぐぎゃ!?」


はあ、スッキリした。しばらく伸びててくんねぇかな?今のうちに酒飲んでおくか。





「で、そのミストちゃんとやらは、お前を惹き付ける何かがあったんだろ?じゃないと、ギルドマスターの「働けニート。」の一言だけじゃ、言うこと聞かねぇだろ?」


「...どこでそれ聞いてきやがった.....まあいい。理由か...そうだな、何でだろうな。今まで何度か新人教育を頼まれた事はあるが、全部断ってたんだがな.....何と言うか、最初見たときから、『ああ、こいつは放っといたら問題になるな。』とか思ってたら、勝手に体が動いてたんだよな。」


「ほ~、俺も似たような経験はあるが、その時は、一目惚れで、襲い掛かり返り討ちにあったんだが、恋じゃねぇんだろ?」


「流石に子供に恋はねぇよ。あと、初対面どころか赤の他人に襲い掛かるなよ。猿かてめぇは。」


「いや、あの選択は間違ってなかった!だって、あの時の出会いが切っ掛けで、俺はあいつと結婚したんだからな!」


...まじか.....そんな恋の始まり方認められねぇ.....


「まあ、ミストに対する感情で最も近いのは、家族愛とかそんなのか...」


「家族愛ねぇ...遂に嫁がほしくなったか!?」


「なんでそうなるんだ...良くわかんねぇが、放っておけないと言うか、見守ってやりたいと言うか、そんな感じか。」


何だろう。俺が子供の頃、まだ幼い弟の遊び相手をしたり、世話をしたときのようなあんな感じが近いか.....


それからゾルドと一緒に酒を浴びるように飲み、ギルドマスターに「早く帰って寝なさい。」と圧力をかけられ、夜遅くに不思議な気持ちを抱えながら、宿へと帰った。

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