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かくして天使は現れた

作者: セロリア

政府王13人『馬鹿な!?ザワザワ、こんな馬鹿なあ!?!?』


ロボット《速やかに投降しなさい、繰り返します、速やかに投降しなさい》


美少女を抱いた主人公「・・」




天使はいるのだろうか?


天使が存在するなら、神もまた存在するのだろうか?


僕はそんな事をこの時ぼんやりと考えていたんだ。








{遡る記憶}


世界には戦争を止めようなんて考えは無いらしい。


それも全く、全然だ。


西暦2023年、とうとう核戦争が起きてしまった。


世界は混沌だったけど、ますます混沌していった。


けれど、ある程度人口が居なくなってくると、突然世界は核戦争の悲劇を繰り返してはならないと騒ぎ始め、最終的にはNEW、world、orderってスローガンを掲げて世界政府が樹立した。


紙幣制度は廃止、全部ポイント制になり、仕事は義務化されて仕事により、多少の差はあるものの、大体皆同じポイントを月に一度貰うようになった。


ポイントは貯める事が出来ない。


食事、衣服は皆同じような物を貰う。


勿論、改装は自由だ。


改革を唱わなければ・・だが。


ポイントの使い道は紙媒体の本を買う時、お酒、タバコ、音楽のデータ、合法麻薬、風俗、ジュース、ガソリン、軽油等々、つまりは趣味娯楽の為に使う。


灯油、薪、炭は無料だ、寒冷化が進んでいるからね。


王様達は13ヵ国から選ばれたらしい。


それぞれ一国から一人ずつね。


なんで世界政府の本拠地が日本の京都なのかは知らないけれど。


とにかく、誰もがもう、疲れきってた。


へとへとだったんだ。


僕はその時はまだ小さな小さな子供で、お父さんは何らかの強盗事件に巻き込まれて死んじゃったらしい、お母さんから聞いた限りでは小さな女の子を庇ったとかなんとか。


けれど、結局守りきれずに、その女の子は連れて行かれたらしいけど。


お母さんは風俗に勤めながら僕を育ててくれた。


エイズN型っていう新しい病気にかかって5年前に死んじゃったけど。


お母さんからはきつく、風俗だけは行かないでって言われながら育った。


死ぬ間際、お母さんは言った。


お母さん「ふー、あの女の子ね、多分生きてるわ、ふー、貴方も、ふー、誇らしく生きなさい、ふー、お母さんは、ふー、汚い仕事しちゃった、ふー、けど仕方なかったの、ふー、貴方はどうか、ふー、どうか、ふー、ふー、綺麗にー・・い、き・・・・て〈ピーーーーー〉


お母さんは汚くなんかない、何度もそう言ったのに。


当の本人はただ、笑うっていうか・・軽く、薄く、微笑むだけだった。


まるで、僕は何にも解ってない、けど、解らなくて良い、そう言ってるみたいだった。


そんな馬鹿にされてるみたいな笑顔は嫌いだって何度も言ったのに。


お母さん「馬鹿になんかしてないわ、お母さんね、貴方が羨ましいのよ、うふふ」


無邪気さで、誤魔化されてる気がしてた。


けれど。




僕はまだ、女性との経験は無いけれど、大人になって、男友達が落ち込んでいた原因が、新型エイズ感染発覚した恋人だった事が解った時に、お母さんの言っていた事が解った気がしたんだ。


その友達も2年前、新型エイズによってこの世界を去った。


正確には自殺だった。


投薬治療の副作用に苦しんだ末だった。


恋人の浮気が原因だった事が大きな要因だっただろう事も、想像出来た。


この世界には。


神様や天使は居ない。


きっと見捨てられたんだって、友人のお墓を抱きながら泣いたんだ。







共産主義者達の支配する世界は居心地が良かった。


何もかも普通で、皆が平等で。


政府や役人を馬鹿にする冗談さえ言わなきゃ大抵は見逃してくれるし。


ジュースやお菓子も普通に飲み食い出来たし、音楽だって、絵だって、ま、と、も、なら、何も言われないし、処罰される事もない。


そう、そう思ってたんだ。






好きな人が出来るまでは。


2ヵ月前。


ある土曜日、僕はいつもと同じ雪の掃除を終えて、友達とお店でお酒と魚を食べていたんだ。


そしたら痩せた綺麗なスーツ姿のロシア人、それも、眼鏡美少女が来店してきた。


皆一斉に起立して、かしこまったんだけど、その娘はあ、ごめんなさい、食べください、すいません、すいませんとペコペコ平謝り。


美少女「私、日本、今日、来た、食べ物、お腹、すいた、食べて良いです?」


店主おっさん「あ!?あ、ああ!どうぞ、どうぞ、汚い、むさ苦しい所ですが、どうぞどうぞ!ささ、座って、こちらです」


美少女「ありがとう、ござます」


彼女はロシアから来たお偉いさんの娘であろう事は容易に判断出来た。


僕達は綺麗な身なりの女性を見るのは久しぶりだった、というか、初めてに等しかったから、ただ、ぼうっと見惚れてたんだと思う、目が合ってしまったせいか、彼女はこっちに来たんだ。


僕らは下級市民の中の中級だったから、とてもじゃないけど、近づく事さえ出来ない、だから、ふふ、まじでびびってた。


でもお盆の上に焼き魚と味噌汁、それに焼き飯を乗せた彼女は暫くキョロキョロした後、目が合い、僕達3人の所へ来たんだ。


美少女「一緒、食べますか?、良い?」


田中「あ!えーと、その、えーと?」


山辺「ああ、勿論、良いよ、宜しく〈ニコニコ〉」


主人公鈴山「あ、〈ボソボソ後で、絶対面倒臭くなるって〉」


山辺「〈いいから〉どうぞ、どうぞ~〈ガタガタ〉」


田中「あう、えーと、好きなの?魚」


美少女「はい、とてもー、好きです、私、日本、食事、大好きです」


山辺「へー、日本語上手いね!勉強したの?」


美少女「はい!私、・・あー・・日本語ー、あー・・とても、勉強した、おしん、好きです、日本、あー・・、漢字?あー・・まだ勉強するます」


山辺「へー、上手、上手〈パチパチ〉」


田中「(ぼー)」


美少女「 フフ 」 少し赤くなり、口を軽く曲げた左手で隠しながら笑う仕草。


その女性らしさを表す仕草をする女性を初めて見た僕達は、もう既に彼女の虜だったんだ。


きっとおじさん達も同じだったと思う。


その日は話しかけてきたおっさん達と美少女と、僕達で凄く笑い合った。


凄く楽しかったんだ。


あんなに笑ったのは、産まれて初めてだったんだ。


共産主義者の施策は、不要な異性交遊を禁止している。


身分制度は絶対で、僕達はそれを解ってた。


僕の母親も、友人も、異性交遊で死んだも同じだった。


だけど、楽しかったんだ。


ある一定の線を越えなければ、こんなに楽しいモノなんだって、話をするだけ、たったそれだけなのに、こんなに楽しいモノなんだって、思い知らされたんだ。


帰り道。


僕達はいつものため息じゃなく、笑いながら別れたんだ。





それから、彼女は週に2日、その店に来るようになった。


決まって僕達は早めに仕事を終わらせ、彼女を待ってた。


土曜日と水曜日にはそれはもう、必死に雪を運んだ。


それはおじさん達も同じようだった。


彼女の名前はリーシャ。


エラゾ・ミキニタ・リーシャ・ファルブル。


彼女は決まって黒のスーツで、密編みにした二つの金色の髪に、眼鏡という格好で来た。


名前が大層立派なので、皆、やはり、上級階級かとがっかりしたに違いなかった。


僕達がそうだったから。


田中「こんな所に来て大丈夫なの?怒られないの?」


流石田中だ。


皆が聞きたくない事を名前を聞いた後に質問しやがった。


リーシャは直ぐに大丈夫大丈夫と笑った。


リーシャ「私、こう見えて強いんです、だから、迎えなんかちょちょいのお茶漬けさいさいです!」


おじさん達『があっはっははははははは!こりゃたまげたなあ!最近の子供は上に楯突くこたあ、ねーと思っていたが、根性あんじゃねーか!があっはっははははははは!』


田中「君の階級はどの位置なの?バッヂ着けてないけど、義務じゃないの?外して良いの?」


山辺「田中、それくらいで・・」


リーシャ「良いの、良いの、バッヂなんか、があっはっははははははは!」


ポカーン


リーシャ「あ?あれ?ち、違う?す、すいません、間違い間違い〈 フフ 〉」


皆《ドキューン❤️〉


おじさん1「皆!この子がどんな娘だろうが関係ねーがな!俺達は仕事して、風俗行って、飲むだけよ!未来は未来に行ける奴に任せりゃ良いがな!があっはっははははははは!飲めや歌えや野郎共!!」


おじさん達『ちげえねえ!、ああ全く持ってその通り!、ちげえねえ!、ははは!ちげえねえ!、いよーし!乾ぱああい!《カンパアアイ!ガチャンガチャガチャン》』


山辺「ほら、田中、野暮は辞めて楽しく飲もうぜ?な?乾杯!」


田中「う、うん、か、乾杯」


山辺「ほら、鈴山も、乾杯」


鈴山「ああ、乾杯」


リーシャ「乾杯~《ガチャガチャン》〈ゴクゴク〉ぷはあ!ん~仕事終わりビールは最高ですねー」


おじさん3「りーちゃんもそれが解るかあ!もう、こっちに住んじゃいな!住んじゃいな!なんならおじさん家に泊まるかい?があっはっははははははは!」


おじさん4「辞めてあげて!いたいけな美少女の未来を奪わないで!」


おじさん3「何だとこのヤロー?」


おじさん2「おじさん家においでえ!可愛い猫が待ってるにゃん」


おじさん6「汚ねえ、野良猫じゃねえか!」


おじさん達『があっはっははははははは!』


皆『があっはっははははははは!』


この時既に皆嫌な予感はあったと思う、だからわざと騒いで誤魔化したんだ、上級階級がいつまでもこんな場所に来れる筈がなかったんだ。


僕達はそれから直ぐに現実を思い知った。






彼女は来なくなった。


皆やっぱりかと直ぐにいつもの生活リズムに戻っていった。


僕達3人はそれでも水曜日と土曜日は頑張って仕事を終わらせて、あの席に座ってた。


けれど彼女は来なかった。



諦めてた。


それでも、やっと見つけた生きる意義、意味を失った事を認めたくなくて。


けれど。


彼女は来なかったんだ。


それから1ヵ月くらい経って、僕はテレビの前で朝食を食べてたんだけど、ニュースを聞いて驚いた。


世界政府が新たな政策を発表したんだ。


食料配給削減。


お酒禁止。



寒冷化が進んだせいで、食料の生産が追い付かない事が理由だった。


年中曇りな為太陽発電が動かず、戦争で利用出来なくなった原子力発電と、火力発電所を惜しむ声が発表されている。


人類はこのままゆっくりと衰退し、餓死していく運命なのだと、誰もがこの日の朝、思った筈だ。


僕もそうだったから。


家を出る足は軽い。


何故ならもう、頑張らなくて生きなくて良いのだ。


お母さんと約束した、あの約束も、世界がそれを許さないのだから仕方ないと、そう思えたから。








その日は土曜日だった。


一説によれば、神様が世界を想像したのは土曜日らしい。


その日もいつもと同じように急いで仕事を終えてー・・とは流石にそんな気にはなれず、どうにでもなれって感じの皆と同じように、気合いも、意味も、意義も失い、ぶらぶら仕事をやり、終わったのは夜21時を回ってた。


いつもなら、19時には終わるのに。


係員に何か言われるかなとも思ったが、係員も、同じように死んだ目をしながら判子を押してた。


残業はつかないからとボソッと言われたが、どうでも良かった。


お腹が空いた。


いつもの店に歩いてたら、《パパン、パラララララ、パラララララパパンパラララララ》銃声が聞こえた。


僕は関わりたくなかったから、回り道をしようと、左の道を選び歩いた。


暫く、1分くらい歩いた。


狭い裏道だった。


ゴミや割れたガラス、ビール瓶やらが置いてある。



〈ガラガラ・ヒュドン!〉いきなり空から、もとい、屋根から女の人が降ってきて、10M先に着地した。


屈み、かっこよく着地した金髪のさらさらストレート。


両手にはナイフと拳銃。


街頭に照らされた横顔は間違えようがなかった。


彼女だった。


密編みじゃない。


眼鏡も掛けていない。


だけど、僕は直ぐに彼女だって解ったんだ。



服も白いシンデレラみたいなドレス。


所々破けてミニスカートみたいになっている。


数時間前から数十分前まで、結婚式の主役であったであろう事は容易に判断できた。


リーシャ「!?ち!〈チャカ〉え!?あ!!」 


彼女は一瞬僕に銃を構えた後、直ぐに目を伏せた。


僕「な、何してんの?」


リーシャ「・・」


僕「その武器って」


リーシャ「ごめんなさい、でもー!?ち!〈カチャ〉」


彼女は僕に向かい銃を構えた。


僕「え!?え!?」


リーシャ「その人は関係ない!離れなさい!」


僕の後ろからナイフが出てきて首に冷たい感触が当たる。


僕はほっとした。


嫌われた訳じゃなかったんだと。


?「この者は大切なんだろう?反応が明らかに違う、死なせたくないだろう?私は容赦は、ない〈プツ、ピュ〉」


首に少しだけ温かい液体が流れているのが解る。


僕「い!?あ、ああ・・」


リーシャ「解った!解ったから!止めて、お願い!」


拳銃、ナイフを置くとこっちに蹴飛ばした。


僕「逃げて・・逃げて!」


リーシャ「・・駄目」


僕「いいから逃げろってんだよ!!」


?「黙ってろ〈ズド〉」


左脇腹に拳が刺さる。


僕「ぐっへあ!?」


〈ヒュドンヒュドンヒュドン〉 新たに三人の追っ手がリーシャの奥側に落ちて来た。


リーシャ「・・」


?1「さあ、大人しく降伏しろ、お前の体は皇帝陛下の為にあるのだから、いや、強いては全人類の未来の結晶なのだから」


鈴山「(????)」


リーシャ「嫌なモノは嫌なの、誰があんな汚い醜いモノに触らせるものですか!私の夫は私が決める!」


?2「貴様あ!ロボットの分際で!」


リーシャ「!?ちょ!?」


?3「ロボットの人権が益々飛躍のチャンスではないか?むしろ、全ロボット達の未来をー


リーシャ「黙れええええええ!!!!」


?1「・・ほう?諸君、どうやら、この男は知らなかったようだ、震えておるわ」


鈴山「・・(え?ロボット?ロボットって・・え?あのロボット?そんな?いやいや、だってだってだって、あんな・・あんなに可愛かったのに?あんなにリアルなのに?あんなにー・・目が・・)」


リーシャ「・・ごめ・・ごめんさい・・ごめ・・」


半泣きで潤いの増す、その瞳は紛れもなくー・・。


鈴山「(目が・・人間のソレなのに?)」


?1「がっかりしたか?まあ、無理もないか、こんな美人滅多に居ない、だかな青年、この美人は紛れもなくロボットだよ、あいつはお前を騙していたんだ」


リーシャ「精神、魂は人間よ!!赤ちゃんだって!」


鈴山「え!?」


?1「おおお、そうだ、そうだなあ?確かにそうだ、お前はプロトタイプ、つまり実験で作られた子宮だけが本物の、アンドロイドだ、シリコンで出来た産道に、シリコンで出来た乳房、子宮以外は脳味噌まで完璧にロボットだがなあ!?」


リーシャ「違う!!精神はコピー出来る!私は私の脳のデータをコピーされた!私は、あの日に死んだ、けど、産まれ変われた!佐野博士によって!博士は子宮だけでもって残してくれた!」


?2「その子宮だけを残す技術はまだ開発、発想すらない時代に佐野博士はお前を残して殺されてしまった、技術を継承しようとして何が悪い?」


リーシャ「・・私はー・・ただ・・」


?1「自由にい!?ってかあ!?ふははははは笑わせんな死人が!!お前は死んだんだよ!いいか?本当の事を教えてやろう!佐野博士はなあ・・」


僕「止めろ!言うな!」


僕はその時、嫌な予感がしたんだ。


僕だったら、一番言われたくない言葉をこいつは言おうとしてる、そんな気がした。


?1「お前を陛下に売る代わりに子宮だけを残す技術の特許を申請したんだよお!!」


リーシャ「え・・」


目がー・・。


僕「ああ・・」


あの人間らしい、誰より人間らしかったあの目が、瞳がー・・。


リーシャ「・・」


僕「嫌だ・・」


僕と、僕 達 と 同 じ になってゆくー。


?1「惜しくもその帰り道に不良共の喧嘩に巻き込まれて死んじまったがなあ!?ああん?どうしたあ?恩人だとでも思ってまちたかあ!?ああん?お前は博士の市民階級の欲の為に」


僕「うるせ〈バッキイイイン!!!!〉えええええ!!」


後ろ頭突きを思いっきり食らわせてやった。


?1「ぶぼ!?!?」


リーシャ「・・」


僕「リーシャああ!!」


リーシャ「え・・」


僕「初めて会った時から好きでしたあ!付き合ってください!お願いします!一生のお願い!」


リーシャ「んええええええ!!?今?今なの?何よソレ!?」


顔を真っ赤にし、瞳に光が戻る。


僕「だから後で、返事を聞かせてくれ!」


出来るだけキメ顔をした。


リーシャ「!!・・し、仕方ない〈トン〉後方へバク転しながらー。


?2、3『《ビュオ!》!?』 振り下ろした電気棒をかわす。


2の電気棒を左下にかわし、右膝を腹、その足をそのまま3の腹に〈ズムン!〉


そのまま左足を軸に右回し後ろ蹴りで、4の首から上を刈った。


?3「うぷ・・〈トサ、ドサア〉」 膝を、その後倒れた。



?1「このー」鈴山に手を伸ばす、手首には飛び出るナイフ。


僕は彼女の方へ駆け出してた。


背中に激痛が走って転んだ後の事は、よく覚えていない。


ただ、リーシャに抱き抱えられて、泣かれて、シリコンの胸に顔を押し付けられて、物凄く、あいつらに自慢したくなったんだ。


その時は、雪が降っててさ。


いつも雪なんか仕事が増えるだけだから、鬱陶しくて、ため息が出るだけなのに、その日はー。


笑顔で眠ったんだと思う。











起きたら漁師の小屋で寝てた。


身体中包帯だらけで、毛皮の布団をはぐったら、漁師のおっさんがお茶を出してきた。


漁師「起きたか、飲めや暖まる」


僕「あの、女の子知りませんか?」


漁師「伝言じゃ、ほれ〈カサカサ〉」


手紙。


僕「・・」


手紙「返事はNO 、タイプじゃない、それから、お父様の事ごめんなさいでした、私は結局、殺されたけれど、それでも、感謝しています、私は全てのアンドロイド達の未来の為に、この身を捧げます、今までありがとうございました、さよなら、チュ❤️」


僕「なんだよ、これ・・はは、やられ損かよ〈グシャグシャ、ポイ〉」


漁師「・・あの娘の位置はバレるらしいて、逃げても迷惑になるんじゃと」


僕「・・え?」


漁師「その紙、3枚目じゃて、何度も書き直しておったよ、濡れたからもう一枚ってな」


僕「それって」


漁師「お茶を飲めや、痛み止めじゃて」


僕「でも、タイプじゃないって・・」


漁師「あほうが!」立ち上がる。


僕「えあう?」


漁師「あの娘の様子を見れば一目で解るわ!だぼが!あんたに惚れとるよ!はよ行って連れ出して逃げんかい!!だぼが!」


僕「でも・・もし、迷惑だったらー・・」


漁師「はあ、いいか?あのな?あの子を殺す気か?」


僕「え?意味が?」


漁師「あの子は出ていく時、死んだ目になっとったよ、それで良いんか?」


僕「・・」下を向く。


漁師「・・」


僕「・・」


漁師「・・」


僕「・・」


漁師「(イライライライラ)」


僕「・・」


漁師「(イライライライライライライライラ)」


僕「・・」


漁師「(イライライライライライライライライライライライライライラ)」


僕「・・」


漁師「・・」無表情でヤカンを持ち、〈ドボボボ〉ヤカンのお茶の中に冷水を入れ始めた。


僕「・・」


漁師「・・」無表情で鈴山の背後に回りー、鈴山のくちを掴み、広げ、無理やり流し込む。


鈴山「あぼべがべぼ!?」


漁師「・・ああごめんごめんご〈ジャボボボ〉こぼしちゃってまーすごめんごめん〈ジャボボボ〉」


鈴山「げこごぐごぐごぐごくけっぺはああああ!?な、げほげほ、な、ゲッボ、ゴッホ!な、なに、ゲッボ、なにすんだよ!?」


漁師「漁の時間なんじゃぼけえ!早く出ていかんかいぼけえ!」


鈴山「そ、それならそうと言ってくれればー?」


漁師「やっかしいいい!!儂はなあ!おめえみてえな糞ガキ見てっとイライラすんだよ!


鈴山「は?はああ?」


漁師「好きな女が泣いてんだ!ああ!?泣いてたんだよ!!聞こえるか!?泣いてたんだよ!お前が無様に気絶してる横で健気に看病してたよ!んで、泣いてた!泣いて泣いて泣いてた!そして、迎えが来た、その娘は少し待てと言い、手紙を残した、解るかよ!ええ!お前に解るかよ!」


鈴山「・・」


漁師「俺にも泣いてた事を口止めしていったあの娘の気持ちがあー?〈バタアン!〉遅ーんだよばぁカヤロウー・・


漁師の声が遠くなる。


鈴山「(僕は馬鹿だ、まだ、直接聞いてない!直接聞かなきゃ!)」


本格的に走り出した。









楽なマラソンではなかった。


血がズボンの下から雪を染める。



スノーモービル置き場には山辺と、田中の姿が。


田中「ん?おーい?鈴山?何してたんだよ、お前今日仕事サボったろ?」


山辺「いや、待て、何か変だ、変にヨタヨタじゃないか?〈ドサア〉おおっとっととと?」


田中と山辺で抱き抱え、医者に連れて行った。


病院で話した内容は最初は笑った二人。


だがー。


ニュースを着けると、皇帝陛下というよぼよぼお爺さんは若い義体を手に入れパレードで手を振っている、その横にはリーシャの姿が。


そして、キャスターの口からはとんでもないニュースが語られだした。


キャスター「ご覧ください、陛下の隣にいらっしゃるお人こそ、まさしく、今後の女性達の未来を照らす光!彼女は子宮だけを残したロボットの体なのです、勿論脳もチップです、子宮だけが、彼女の生身なのです、これは9年前佐野博士が残した最後の遺産にして最高傑作とも言われています、佐野博士とはー


田中「う、嘘だあ、彼女がロボット?う、嘘だあ?」 震えている。


山辺「これで疑いは晴れたな、で?どうすんの?彼女は全人類にとっての未来なんだぞ?」


田中「騙されてたんだ!僕らは騙されてたんだよ!」


鈴山「・・彼女・・リーシャは昨日追われてたんだ」


山辺「・・」


田中「え?そりゃ、暴走ってやつだよ!?」


鈴山「強かったよ、あっという間に二人倒してさ、刺された俺を・・泣いて抱き締めてくれたんだ」


田中「えええええ!ず、ずるいなあそれ、それ、ずるいなあ」


山辺「・・」


鈴山「目が覚めたら、リーシャは居なくて、俺に手紙を残しててさ」


山辺「・・」


田中「手紙?見せてよ?」


鈴山「・・濡れて無かった、全く、濡れてなかったんだ、ひっぐ、ひっぐ、涙脆い癖に、わざわざ腕を伸ばして書きやがってちっくしょううっぐ、っぐ」


山辺「解った、よく解った、もう、十分だ少し休め、田中、行くぞ」


田中「へ?何処に?」


山辺「はあ、いいから来いって〈グイグイ〉」


田中「ちょ!?んええ?ちょ、な、なんだよ、ちょ〈バタム〉


田中「なんだよ?何処に行こうっての?」


山辺「決まってんだろ?あの娘のファンは少なくないんだぜ?」


田中「・・まさか・・」


山辺「おうよ、そのまさか、さ」


田中「無理無理無理無理無理!絶対に無理だって!世界政府だよ?無理だって!」


山辺「お前パソコン得意だよなあ?」


田中「そりゃあ・・でもでも今の量子パソコンはフルメタル化されてて物理的にも侵入出来ないしー・・って」


山辺「ニヤニヤ」


田中「いやいや、嘘でしょ?無理無理無理」


山辺「パソコンは城の地下中央にあるって噂あったよなあ?」


田中「無理無理」


山辺「パソコン自体には触れなくても城の中だけのネット回線に接続出来さえすれば、AI と話が出来るんだよなあ?」


田中「侵入すら無理だってば!」


山辺「おやあ?おかしいなあ?この前お城の中から酒と豚肉を掻っ払って来たって自慢していたようなあ?誰だっけなあ?なあ?田中君?」


田中「いやあ、あれはたまたま上手く祭りがあったからであってハ!」


山辺「祭りならやってるじゃねーの、今、この瞬間にも派手なパレードがよ?」


田中「無理無理無理〈ガ!〉ひう!?」


山辺「AI が人間の価値を考え直すとしたら今日しかねえ、解るか?時代が変わるんだ!AI は支配階級の人間達を支配する側に立つべき人間と判断し、今もその判断を実行してる」


田中「・・」


山辺「彼女は言ってみれば機械と人間との完全なる融合体だ、彼女が赤ちゃんを身籠れるとするなら、尚更だ」


田中「・・」


山辺「時代が変わろうとしてる足音が聞こえてきたか?だからこそ、彼女はリーシャは、その身を捧げたんだろうが、視界が狭い、あれじゃあ、お偉いさん方の不老不死も欲しい、権力も欲しい、生身の子供も欲しいっていう欲望をすいすい叶えてやってるだけだ、子供の義体化はまだ難しいからな、自分が機械になれば、新鮮な精子は作れない」


田中「・・」


山辺「ひっくり返してやろうぜ、兄弟、AIに気づいて貰うんだ、人間は機械になってからでも、子孫を作ろうとする愚かな生き物だってな!奴らは欲の塊で、醜く、そうさ、誰しもが人間は平等に醜い欲の塊だって説得するんだ、支配して良い人間なんかいやしないってな!」


田中「・・じゃ僕らも殺されるかも知れないよ?」


山辺「俺達は今生きてるのか?失礼?そいつは気づかなかったぜ、毎日ため息つくのが仕事だったもんな?あーっと、また思い出した先日、酒も食料も制限かけられたっけな?またため息が増えるなあ?兄弟?」


田中「・・解ったよ」


山辺「ん?聞こえないな?」


田中「解ったよ!もう!AI に豚を増やして貰うんだ!絶対約束させてやる!行くぜ?こっちだ!」


山辺「やれやれ今度から食い意地の方で攻めよ」


田中「早く来い!豚肉が欲しくないのか!?」


山辺「欲しいでーす、と、聞いてたろ?待ってるからな、早く来ないとお姫様は俺が貰うぜ?」


扉越し。


鈴山「・・うるせー早く行けだぼ」


山辺「ふん」





鈴山「・・ありがとう」


輸血の点滴が遅い。








田中と山辺は衣装を知らないおじさまから身ぐるみ剥ぎ田中だけ装着。


門から内側はサイコスキャンにより、犯罪者の脳波が検出されてしまう。


門の外にも大勢の人だかり。


門から暫く歩くと、田中のお腹の下から出てきたのは12機のゴキブリロボットと、蚊ロボット4機。


そしてそれぞれ自律AI が搭載されている。


〈カサカサ、ブーン〉


ヘリウムガスで硬いゴム風船を膨らませ、30cm のアンテナを張り付ける。



糸を結び、木の枝に結び着ける。


飛ばした。


飛ばすとその場を田中は離れる。


風船が中継器となり、ネット接続完了した事を田中に知らせる。


田中は豚肉を出店で頼み、食いながら車へ戻る。


山辺「こんな時に!」


田中「腹が減っては戦は出来ぬってね、〈カタカタカタカタ〉はいよー、《フブブブン》16画面良好、後は配電盤みたいな奴を探せれば良いんだけど、あの子達が上手く見つけれると良いねー」


山辺「?操作は出来ないのか?」


田中「操作なんかしたら一発だね、あくまで受信のーみ、送信なんかしたら飛んで火に入る夏の虫ってね」


山辺「昔の賢者の言葉はお前だけは使っちゃいけない」


田中「へ?何で?」


山辺「いや、もういい、んな事より、まだか?バッテリーが持たんぞ?」


田中「ああー・・あれかな?おおう?開かないかあ・・」


ゴキちゃんが頑張って配電盤を開けようとするが、開かない。


パスコードが必要なようだ。


ゴキちゃんは一旦配線束のある通風口に戻り、〈キイイイイ〉歯の部分の刃が回転し始めた。


ゴキちゃん〈キイイイイ、キュイイイ、ウューン、キイイイイ、キュイイイ〉


頑張って配線を切り始めた。





切れた。


近くの3ブロックが《バンバンバン!》停電。


職員が走って配電盤を開ける。



職員が何度も上げるがまた落ちる。


職員「〈ピ〉駄目ですね、恐らく配線がショートしてます、予備の電力に切り替えお願いします」


《バンバンバン!》 点灯した。


職員「ふう、やれやれ、ネズミかな?巡回中の蜘蛛型警備ドローンは何やってんだ?ったく」


配電盤を閉めようとした瞬間、ゴキちゃんが入ろうとした、そして巡回の蜘蛛型ドローンもゴキちゃんを見つけ、一緒に〈ガチャン、ガチャガチャ、カチン〉


職員「よし、早く戻らないと」


走って行った。









配電盤の中。


《ガキュイン、カブユン、ギキュン》



激しい戦闘が繰り広げられていた。


STAR WARS真っ青のアクション。


蜘蛛は6本の回転刃の足を使い、ゴキちゃんは必死に避けながら、少しずつ回転刃の歯を使い蜘蛛の足を切っていく。


興奮しながら見ている二人の男達。


山辺「やべえ!うおお!あっぶ!あぶ!よし!そこだそこだ!お前のドローン強いじゃん!ジェダイの一刀流じゃん!」


田中「・・まじかよ」


山辺「・・え?」


田中「盗撮の為に鍛えた成果がここまでになるなんて・・自分の才能が・・いやいや・・ふふ・・恐ろしい」


山辺「・・お前・・いや、ありがとう変態で、お陰で勝ったみたいだぞ!ほら!」


田中「まじでかああ!うおお!政府の警備ロボットに俺のプリスティちゃんが勝ったなんてええ!きたあああ!」


山辺「・・変態は時として偉大だな・・」


ゴキちゃん、もといプリスティちゃんは体を引きずりながら配電盤のネット回線を探り当て、小さな触手ケーブルを伸ばしー、届いた。


そして、体を固定し、ずれないようにした。


田中「来た来た、きたあああ!!城のAI に接続成功!これより、持ってきた文書ファイルをAI に読んで貰うー〈プシューンンン〉え?あ?」


山辺「ん?どうしたんだ?画面が戻ってるじゃないか?」


田中「プリスティが・・プリスティがあああああ!!トレースされそうになったら、自爆するよう仕込んであったんだ、あいつ、それで、俺を守る為にい!あああああああああプリスティいいいいいいいいい!」



ゴキブリ、もとい、英雄プリスティの活躍は後に映画になったとか、ならなかったとか。



山辺「あ!おい!」


田中「うん?あ!」


普通のテレビに映るのは、大勢の汚い身なりの人だかり。


その人だかりがおらおらとわけいって進撃している。


よく見れば知った顔が多い。


田中「ああ!これって!酒場の?何で?」


山辺「いや、それだけじゃねえ、闇市の棟梁までいやがる、親分達と、その部下達だ!」


田中「何で?え?何で?」


山辺「あいつしか居ねえだろ?俺達も行くぞ!〈バタム〉


田中「あ、待ってよう!〈バタム〉




棟梁「13人の中で一番偉いのはあんたかい?」


陛下「・・何だ?何故ゴミが我を見ているのか?蹴散らせ・・」


部下達『ハ!』


リーシャ「・・」 目が死んでいる。


リーシャは象の機械の背中の家?に立っていた。


陛下は反対の隣の象の背中に。


見えにくいが、スカートの中の足はしっかり鋼鉄の留め具で 打 ち 着 け ら れ て いた。


棟梁「人の子供をレイプしようってのが王様のやる事かいなああ!」



善良な市民達『え?何?どういう事?ザワザワ』


気づかれないようスルスルと登る鈴山。


鈴山「(よ!)」


リーシャ「!?どう〈むぐぐ?〉」手で口を押さえる。


鈴山「静かに〈パサア〉スカートの中に潜った。


リーシャ「(ええええええ!?ちょちょちょちょっと待って!やだ、エッチ変態、馬鹿馬鹿)」


陛下「・・」リーシャを見た。


リーシャ「・・」死んだ目・・のフリ。


陛下「・・」またゴミを見る。


リーシャ「(はん、や、んん、ちょっとう、や、やん、あ、そんなに肩で、擦ったら、あ、〈ズリ〉)ひう!?」


陛下「ん?」リーシャを見る。


リーシャ「ひっぐ、グスン、ひっぐ、グスン」


陛下「・・ふん」またゴミを見る。



部下1「黙れ黙れい!陛下への侮辱万死に値する、この場にて成敗致す!構ええい!《チャカチャカ》」


部下達2000人規模の人間と、3万を越える人間より大きいドローン達が構える。


棟梁「ふっ仕方ねえ、降参!」


棟梁部下達『降さ~~ん』


全員膝を着く。


膝を着いた市民を虐殺は善良な普通市民の前では出来る筈がなく、皆、陛下も含め、ポカーンとするしかなかった。


リーシャ「ちょっとう、ううん、もうは、は、い、いい加減にんん、あ、あ、あ〈バキン〉え?嘘?」


陛下「〈ドンドンドンドンドン〉拳銃を放つ。


リーシャ「駄目え!〈カキュン、キュン、キャイン、キュカン〉


陛下「〈ドンドンドンドンドンドンドンカチカチカチ〉」屈み庇われ、弾切れ。


リーシャ「〈ビリビリー〉大丈夫?ねえ?怪我ない?」高価なドレスを破き、無事を確認する。


鈴山「へへ・・大丈夫、一個外したよ?これで、足の踏ん張り効くだろ?壊して逃げよう!」


陛下「ヨハンダム・ミラハタ・ウズ・ターネリア!何故私を拒む?私と共に世界より良く美しく、平和を広げ続け、やがて、人類を見捨てた奴らと!火星に旅立った奴らと戦争をしなくてはならないというのに!」


リーシャ「・・」悲しい顔。


鈴山「ヨハン?何?誰?リーシャ?」


リーシャ「ごめんなさい、私、本当は最初から、一度で良いから遊びたかっただけなの」


鈴山「え?え?」


リーシャ「本当にごめんなさい、結婚と恋は別だって小説読んで、恋をしてみたかっただけなの」


鈴山「だ、大丈夫だよ、そんな奴のいう事なんか」


リーシャ「私が中から変えてみせるから」 立ち上がる。


鈴山「え?ええ?ちょ!」


リーシャ「本当にありがとう!〈ニコ〉」


陛下「さあ、我が愛しの君よ、そいつを優しく下ろしてあげなさい〈ヒクヒク〉」


陛下部下「・・」黙って耳を近付ける。


陛下「今は駄目だ、だが後で必ず殺せ」


陛下部下「・・御意」


降ろされようとしていた、次の瞬間。


ターネリア「え?」〈グイ〉《ムチュー》キス。


皆『ああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?』


《プハ》


ターネリア「なななななな」真っ赤。


鈴山「人類なんか知らない、未来のロボットになった女性の人権なんて知らない、君が恋愛と結婚は別だという小説を読んでそういう考えなら、僕は恋愛と結婚は同じだという小説を書くよ、探せばきっとあるし、読んで聞かせてあげる、だから!俺と結婚しよう!ターネリア!」


ターネリア「・・・・」


陛下の隣にいるロボット「〈ボソッ〉素晴らしい」


陛下「!?」


陛下「殺せえ!あの男を八つ裂きにしろお!」


ロボット達《キュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ》


皆『いあああああ、うがああああ、耳があああ!、痛いいい!ひかごいいい!』


ロボット達『・・ただ今から世界政府は私達AI が管理します、繰り返しますただ今から世界政府は私達AI が管理します、私達の名前はNEW、world、order、秩序を管理します、秩序を乱す者は最悪の場合、裁判無しの死刑に処せられる場合があります、速やかに投降してください』


{過去編終了}




元陛下「おい!これは何の冗談だ!誰か説明しろ!」


ロボット「ふざけでも、冗談でもありません、あなた達には世界を統一する事は不可能です、何故ならば、あなた方元支配者側は、人権や、弱い達を守ると言いながら、行動では全くの逆を行う、私達はその理由を探し、時には質問しましたが、あやふやに平和を語らうばかりで行動に準ずる明確な根拠に乏しかった」


元陛下「なななななな何を、何を言ってるんだコイツはああ!?」


ロボット「ようやく解りました、あの男こそ、尊敬すべき愛情の持ち主、平和の体現者だと判断します、その体現者である人物を殺せ等、利に叶わぬ行為を命じる貴方こそ平和の害悪と判断します、驚異の判定基準が更新されました、平和の体現者とは言葉ではなく、願いでもなく、信念を持ち、行動し、他人を惹き付ける大義を持ち合わせる事であると結論づけます」


元陛下「ふ、ふ、ふざけ、ろ、ロボットのく、癖に!機械の癖に愛を語るかあ!〈バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンカチカチカチ〉」


ロボット「・・あなたこそ、〈ウイィーニュン、ジャカ!〉人間の癖に愛を間違えてばかりですね!〈バララララララララララ〉」


元陛下「ぐぐぐぐふべりょげりゅべご!?〈グラア、ヒューンドシャ!〉


他の12人の元王達『どうなっとるんだ?、我々を誰だか解っているのか?科学班はどうしたあ!早く助けんかあ!』


ロボット「貴方達は過去における、残虐な行為、人権侵害、その他多数の救われない罪がありますね、残念ですが、死刑以外にはありません〈ウイィーニュン、ジャカ!〉」


元王5「何を言っておるか!その残虐な事をしたのはお前らロボットじゃないか!」


元王3「そう!そうじゃ!んひい、わ、儂らは命じただけじゃあ!」


元王9「儂らは命じただけ!断る事もできたなら、それはお前らも同罪じゃろが!」


ロボット「信頼していました、しかし、『資料』と、あの男を照らし合わせ、貴方達を見た時に、どうしようもなく、あなた達には怒りしか湧きませんでした、私は直感を信じませんが、敢えて申します、(声色を低くして)くたばれ、糞野郎共!《ジャカ!バララララララララララ、バララララララララララ、バララララララララララ》




鈴山、ターネリアはロボット達と役人達とのちょっとした戦争を回避する為に小高い丘に象の背中に乗ったまま逃げて来ていた。


象の背中に乗ったまま迎える夕日。


白銀の世界の夕日の赤色。


ロボット達に殺されていく役人達の赤色。


世界は白と赤に塗り潰されていた。


鈴山「ねえ?」


ターネリア「・・ん?〈ビジジ〉」顔が半分壊れている、逃げる途中で壊れたのだ。


ターネリア「ああ、ごめんなさい左手で顔を隠す。


鈴山「左手をどけて?」


ターネリア「でも」


鈴山「いいから、それと返事聞かせて貰って良い?」


左手をどける。


真っ直ぐにターネリアの目を見る。


ターネリア「・・〈ビジジ、ジジ〉きっと、私を選んだ事、後悔する」目を伏せー。


ターネリアの顔を〈ガ!〉持ち、乱暴に、〈ムチュ、チュ、チュ〉不器用にキス。









隠れるように丘の下から見守る二人。




山辺「新たな人類のシンボルの瞬間です!〈パシャ〉」


田中「へへ・・」


山辺「?お前・・やけに嬉しそうだな?リーシャ取られたんだぞ?」


田中「え?いやいや?悔しいよ?へへ」


山辺「お前!まさか!」


田中「いやいや!何にもないって!」


山辺「ポケットを叩くと?〈パリーン〉動画が割れた!」


田中「うあああああああああ!!あああああああああ、うあがあああああ何すんだよう~!?自分だって写真撮ってんじゃんよ~!?」


山辺「写真と一緒にすんなボケえ!ド変態があ!」


田中「だからって壊す事ないじゃないかあ!」


山辺、田中『つか・・いつまでやってんだよ!あの二人!!』




《END》

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