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7話

 『邪神:クカバルナ』...かつて、世界を恐怖に陥れた存在。そんな彼も昔は、脆弱なオーガの一匹であった。そんな、オーガのお話。


 気の遠くなるほど昔、一匹のオーガが突然変異してオーガの上位互換である、オーガジェネラルが生まれる。そのオーガジェネラルは知性があり、襲いかかってくる人間を丁寧にそして、確実に殺し、着実に経験値を貯めていた。

 

 ある日、いつものように襲いかかってくる人間を殺した瞬間に、オーガジェネラルに変化が起きた。そう、オーガジェネラルの存在そのものが進化したのである。オーガジェネラルが進化したのは...


 『鬼神』、である。


 元々一本の大木のような体は、さらに巨大化し、知らない人が見たら「あれ?こんなところに山あったっけ?」と勘違いするほどの巨体になった。そして、知性も大幅に上がり、狡猾に、計算高くなった。ある意味人間らしくなったといっても過言ではない。


 今まで無関心だった人間も、流石にマズイと思ったのか討伐隊を組むも、鬼神の前には塵も人間も同じようなものである。前々から、襲いかかってくる人間には鬼神も思うところがあったので、村を何十個か潰して見せしめにした。『鬼神』として殺した人間の数が、五桁を越えた辺りで2度目の“存在進化”が行われた。それにより、『鬼神』は『邪神』と、成ったのである。

 それは、人類にとって最悪を意味する。

 

 動物は“存在進化”をすることにより、現在より1つ上の存在になるものだ。勿論、人間も例外ではない。


 そんなことが、一生に二度も起きた『邪神』に本来叶うはずがない。邪神は思った。遂に最強になったのだ。よーし、人類滅ぼしちゃうぞ!と。


 しかし、そこで邪神は1つ判断を間違えた。何故なら、邪神はもう『鬼神』の時点で隣に並ぶものなど、ほとんどいなかったのである。滅ぼすのならさっさとすればよかったのに、其れを怠った。強者故の怠慢である。


 丁度その頃の王都は、4代目勇者達の育成にチカラを入れていた。いずれ来るであろう、『邪神』に備えて。

 そして、勇者達の育成も終盤に差し掛かった時、遂にそれは来た。それも、10万を越える魔物の群れを引き連れて...


 後に、【クカバルナの大津波】と言われる大災害である。勿論人間側も用意をしていない訳ではない。スペイディア中の冒険者が集まった。その数5万。魔物と2倍もの差があるなか、戦いは始まった。

 戦場は混沌と化した。最初こそ、魔物が押していた戦況であったが、徐々に人間が押し返して行った。だが、その戦況を『邪神』が許すはずもなく...


 ズガァーーーーンッ!


 突然空から山が降ってきた。否、それは山ではなく...『邪神』であった。戦場のど真ん中に落ちたそれは、地面に巨大なクレーターを作った。そこからは、邪神無双であった。邪神が動くたびに人間、魔物関係なしに押し潰されてゆく。たまに口から獄炎のブレスを放ったりし、どんどん数を減らしてゆく。


 だが、それ以上は“勇者”が許さなかった。邪神と勇者の実質、一騎討ちである。勇者が聖剣を振った瞬間に邪神の下半身と上半身がさよならした。しかし、そこは邪神。曲がりなりにも神であるため、瞬時に再生する。


 斬る


 再生する


 斬る


 再生する。


 そんなやり取りを何回行っただろうか。流石に何度も再生し、消耗が激しいのか先に邪神が倒れた。これはチャンスだ、と勇者の幼なじみであり、大賢者でもある女性が『固有能力:絶対封印』を起動する。しかし、邪神もただじゃやられない。悪あがきとして、暴れまわったり、ブレスを放ったりし、とんでもない被害を出した。


 結果として、封印は成功した。だが、邪神が暴れたせいで中途半端な封印になってしまい、9ヶ月の眠りと1日の覚醒をするようになったのである。封印をしたといっても、能力は健在のため殺すことは出来ない。

 

 なので、邪神は迷宮の最下層で眠らせることにした。そのために、わさわざ新しい迷宮を見つけその最下層にぶちこんだ。今度こそ、『邪神』を存在ごと封印することに成功したのである。

 

 因みに、その迷宮は『邪神』から溢れでる禍々しい魔力に長時間あてられ、とんでもない難易度の迷宮が誕生し、現在に至る。










 .........と、以上のことを邪神さんは赤裸々に長々と語ってくれました。


 『それでな、当時の勇者の奴、可愛いおなごを連れておってな~...』


 まだ続くようだ。


 「おーい」

 『いやー、本当あの時は......』

 「おい!」

 『それで...おっと、悪い悪い。久々の客人だったのでな。ちと、テンションが上がっておったわい』

 「はぁ、俺はな?お前を殺しに来たのだぞ?そんなに無警戒でいいのか?」


 本当に大丈夫なのか?この邪神は。


 『殺す?...儂をか? ......クックックッ、面白いことを言うわい。いいだろう!儂を殺して見せろっ!』


 なんか、ナメられてる感じがして腹立つので、

嬲り殺したろかな...


 「じゃっ、遠慮なく」


 いっそ、傲慢とも思える速度でゆっくりとショートソードを抜く。刹那、地面を抉り、音を置き去りにする速さで一気に接近し、邪神の両膝下を一気に切断した。


 『ほぅ...これほどとはな。だが、すぐに再生するからむだ...』


 邪神の声が止まり、俺の顔を凝視する。俺は、極悪人でもここまで黒い顔で笑わないであろう、真っ黒な顔で笑ってやった。


 『キサマッ!何をしたっ!』

 「やだなぁ、ただのショートソードで膝下を切断しただけじゃないかぁ。」


 まぁ、“神殺し”の付与はしてますけどね。


 「どおですかぁ?久々の“痛み”は。これから、嫌というほど味わうと思うので、覚悟しといて下さいねー。」


 目には目を、歯には歯を、煽りには煽りをってとこかね。


 『ニンゲンノブンザイデェェェエエェェェ!!』


 うわっ、なりふり構わず突っ込んで来たよ...こんなのが神、ね...


 「世も末だねぇ...」


 キィィィィイイィィィン!


 流石にこんなところで暴れられたら、天井とか落ちてきそうなので、邪神の攻撃を正面から受ける。...何で拳とショートソードがぶつかっているのに、金属同士がぶつかり合う音がするのだろうか?邪神は、存在事態が摩訶不思議である。

 あっ、ちょっとヤバそう。限界突破をオンにしておこう。


 『グォオオオオオォォォォオオオオ!!』

 「はいはい、五月蝿い五月蝿い」


 スパン!

 

 非常に気持ちのいい音が響く。邪神の拳が、身体強化をしただけの子供の振るショートソードに負けたのである。...段々俺も人間辞めてきたのかな?まぁ、そういうことなんかよくあるよね。感覚的には、鳥が段々ゴリラに変わっていくようなものだろうか。うん。よくあって堪るか。


 『ギャァァアアァァ!!』


 さて、これで片手両足が無くなった訳だけど...


 「どお?俺、中々強いでしょ。今なら見逃してあげてもいいけど...どうする?」

 『グキャッ...ワ、ワカッ、タ。タノム。ミノガシテクレ。オレハジンルイヲホロボ...』

 

 「はい!ダウトーーー!!」


 このまま見逃したら、俺まで共犯になるみたいじゃないか!

 ...最初から見逃す気なんてさらさら無かったけどね。


 勢いのまま、邪神の首を切り落とす。程なくして、支えを失った山のようにデカイ体が倒れる。


 ズドーーン...


 上、軽い地震が起こりそうだな。それにしても、これが“あの”邪神の最後かよ...なんともまぁ...憐れだこと。


 _________レベルが上がりました_________


 おっ、レベル上がったな。ちょっと自分に鑑定してみるか。


 ...汎用能力は多すぎるから少しはしょるか。

____________________________________


名前:アオト


年齢:15 レベル:813


適正職業:孤独者(アイソレータ)


固有能力:孤独者(アイソレータ)、鑑定、魔剣召喚、影魔法


汎用能力:極.剣術、魔法創造、極.暗殺術、極.体術...


称号:孤独なる者、無慈悲なる者、

   最強のぼっち、超越者、人外、戦闘狂(バトルジャンキー)

____________________________________


 「おぉ...」

 『...結構上がったな』


 つい、“黒”と二人で感嘆の声を漏らしてしまった。邪神一匹倒しただけで、20レベルも上がった。

 どうしよ、後半年あるしな...今まで結構自重して、邪神の数調節してたけど...全滅させちゃおっかな。


 ゾクリ


 世界中の邪神が震え上がった瞬間であった。

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