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3話

 コイツらは僕とエリックを殺そうとし、ルルとサラを誘拐しようとした。うん。殺すには充分過ぎる理由だな。

 でも、僕の体は今も身体強化による負担が掛かっている。


 「一気に方をつけさせてもらうよ」


 言うが早いか、地面を抉り、空を駆けた。一瞬で手下Aに肉薄する。


 「今度は外さないよ?」

 

 ーーゴトンーー  静かな洞窟に手下Aの頭が落ちる音が響き渡り、地面には大きな紅い花が咲き誇る。


_________レベルが上がりました_________


 レベルアップのファンファーレが脳内に流れるが、意識的に音を遮断する。手下Bからの奇襲を警戒したための行動だったのだが...


 「ひっ、ひぃぃぃ!バッ、化け物!!」


 すっかり怯えてしまい、汚ならしいズボンにシミを作っている。

 はぁ、中年オヤジのお漏らしとか、誰得だよ...

 と、毒づきながらゆっくりと手下Bに向かって足を進める。


 「頼む!殺さないでくれっ!依頼で仕方なくやってたんだっ!」


 「あのさぁ、剣を抜いたってことは互いに死ぬ覚悟があるってことだろ?それなのに殺されそうになったら命乞いとか、舐めてんの?」

 「ひぃぃぃ!やめろっ!俺には家族がいるんだっ!頼む!やめてくれっ!」

 「そっかぁ、君には家族がいるのかぁ...」

 「そっ、そうだ!俺には家族がいるんだ!」

 「なら、君の首を家族へ送ってあげるとするかねぇ」


 手下Bが絶望の色に染め上げられる。

 そして、ゆっくりとショートソードを首筋に当て...


 「やめーー.....」


 手下Bが最後まで言葉を放つことができずに絶命した。


 _________レベルが上がりました________


 まぁたレベルが上がったよ。それにしても、案外人を殺すことに躊躇がなくて驚いた。僕、暗殺者とか向いてそうだな...


 バキバキッ


 「いっっってぇーーー!!」


 今体から鳴っちゃいけない音したよ!?大丈夫なの!?あっ、身体強化切っておこう。あれっ?おかしいな。意識がぁ...


 瞬間、意識がブラックアウトした。





 




 「.....オト.....丈夫か!?」

 

 なんだ?誰の声だ?体を揺らすな~。

 

 「アオト!アオト!」


 「ふぇっ?」


 「やっと目が覚めたか...まったく、心配したんだぞ?」


 「っあ...エリック?どうしてこんなところに?」

 

 目が覚めたら、超至近距離にイケメンがいたもんだからちょっとキョドっちまったぜ。

 

 「どうしたもこうしたも、お前が中々帰って来ないから心配して迎えに来たんだよ。」


 あぁ、そうか。手下A、Bを殺したあと、意識飛んじゃったのか...僕もまだまだだなぁ...


 「いやー、ちょっと殺し合いしてただけだよ。心配しなくて大丈夫だよ?」

 「今の言葉の中に心配しなくていい要素がないとでも思っているのか?」

 

 えー?そうかなー?結構、こういうのって日常茶飯事だと思うんだけど...


 「とにかく、立てるか?」

 「あぁ、もちろ...っ!!」


 あぁ、忘れてた。身体強化のせいで体中ボロボロなんだった...

 待って、これマジヤバイ。体を動かそうとする度に変な音が...


 バキバキバキッ


 あぁぁぁあああぁぁあ!!!!! ヤバイ!ヤバイってこれ!


 「おいおい、大丈夫か?今スッゴい音したんだが...」

 「こ、れ...体、うごかせ...そうに、ない」

 「はぁ、しゃーねーなぁ、背負ってやるよ。よいしょっと」


 流石のイケメンパワー。行動力がすごい。これは女の子達の惚れる気持ちがわかりますね。将来は女の子泣かせになりそう。


 背負ってもらったまま、エリックの家に到着する。何故エリックの家かって?お答えしましょう!何故なら...僕、両親が死んでいていないので、家賃が払えません。なので、取り押さえられました。チクショウ...今は、エリックの家の一部屋借りてます。

 エリックの家に着くと、ルルとサラの強烈なお出迎え。


 「「エリックーーー!」」


 ドスーン!


 二人が突っ込んで来たせいで、エリックが僕を下敷きにして、倒れる。ぐっ...痛い。三人分の体重が...


 「二人とも!落ち着いて!今は怪我人運んでるんだから!」

 

 いいぞ、エリック。もっと言ってやれ。

 

 「怪我人“なんか”よりもぉ、エリックのほうが大事よぉ!」


 コッ、コイツ...幼なじみを、そして怪我人をなんだと思ってルんだよ。


 「“そんなこと”より、怪我はなかった!?本当に心配したんだから...」


 コイツらさ、揃いも揃って僕に対する扱い酷くない?そしてエリック?いつまで僕を下敷きにしているのかな?そろそろ我慢の限界なんだけど...


 「二人とも...そんなに心配してくれたのか...」

 「そうよぉ、とぉっても心配だったんだからぁ」

 「エリックが居なくなっちゃうかと思って怖かったよぉ」


 「ルル、サラ...」

 「「エリック...」」


 いや、そんな、三人で甘い空気出されましても...あっ、ちょっと待って、そろそろマジでヤバイ。


 「エリッ、ク...し、ぬ、か...ら」

 「ハッ!ごっ、ゴメン!!今すぐ運ばないと!」


 グズる二人を無事にどかし、僕の(借りてる)部屋のベッドまでお姫様抱っこで運び、寝かせてくれた。エリックさん、マジでイケメンです。

 落ち着いたところで、洞窟での件をエリックのお父さんに話す。


 「そうか、オリバー伯爵は二人を手に入れる為にそこまでするか...」


 あっ、オリバー伯爵ってのは、大貴族(自称)さんです。


 「信じて、くれますか?たかが10歳のガキが二人の大人を殺したんですよ?」

 「普通の子供なら疑うのだが...君は違うだろう?なんせ、君は()()()()()()()()()|教

《・》()()()()()()()()()()()。」

 「でも、こんなに突飛なことなんですよ?」

 「確かに、にわかには信じがたい。「ならーー」でも、惚れた女を守る為なんだろう?なら、やらない理由はない。」


 断言しやがった。

 

 「ハハッ。もう、義父さんには敵いませんねぇ...」

 「まだ10歳の子供なんかに言い負かされたら、目も当てられないだろうが」


 まぁ、それもそうか。


 「最も、エリックから二人を取れるものなら、取って見やがれ!アイツらは、一筋縄ではいかないぞ?」

 「ふふっ、その挑戦!受けてたちます!!」


 「「ごめんなさい、生理的に無理です」」


 ...ん?おかしいな、空耳か?ドアの方からステレオ口調で拒絶の声が聞こえたのだが...


 うわぁ、居たよ。美少女が二人。僕の部屋の前で仁王立ちをし、僕のことを、ゴミを見るような目で見ている。...ていうことは、今の拒絶の声の意味は...


 「「アオト君、私達以外の人を当たってください。」」


 アオト、10歳にして、初めての失恋を知る。

 

 チクショーーーー!!

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