プロローグ
勇者... それは子供達の憧れの存在。小さい子供は皆、勇者の物語に心踊らせる。
この世界ーー《スペイディア》では、12歳の誕生月に教会へ行く。そこでシスターに“適正職業”と最初の魔法【ステータス】を教えてもらう。
“適正職業”には、生産系の『農民』、『鍛冶屋』、『調理人』等がある。
次に、戦闘職、『騎士』、『魔術師』、『僧侶』等が一般的である。
そして、一握りだけだが稀に珍しい適正職業をもつ者もいる。ゆえに“希少職”と呼ばれている。
希少職はどれも一般的な職業より頭ひとつ抜けている。
例えば、『転移者』は、一度行ったことのある場所なら空間に穴を開け、任意の場所へ回数制限なく行き来出来るというもの。
あとは、『魔獣調教師』は、自分のレベルの2倍の魔獣なら調教し、使役出来るというバランスブレイカーのようなものもある。
因みに、『魔獣調教師』は、過去にレベル216の〔聖牙獣〕の長を使役して、当時の魔王を討伐したという事例もある。
しかし、“希少職”よりも更に頭一つ...いや、頭三つほど飛び抜けている適正職業がある。それは......勇者だ。
勇者が主役の童話はいくつもあり、まさに子供達の憧れである。勇者は、困っている人を差別することなく助け、圧倒的なまでの力で悪を滅ぼす。そして、子供達は勇者になる夢を見る。いつか、僕/私も勇者になれますように、と。
だが、その夢は甘くない。毎月、自分の適正職業を教えてもらうために大勢の子供達が教会へ行く。そして、自分のステータスを見て現実を知る。そう簡単には夢は叶わない。そもそも、ここ100年間『勇者』の適正職業をもつ人間など、現れていないのだから...




