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俺と魔法と超能力と  作者: 緑川もまこ
第一章 中学
3/10

祖父と緑峯学園と説明と

 家の近くの道場。祖父が経営しているところだ。

 裕樹は、そこに着くと、祖父に挨拶をし、すぐに竹刀を取り出し素振りを始める。


 ブンッ


 ブンッ



 緑峯学園が気になっているのか、いつもよりも裕樹の力が強く、竹刀が悲鳴を上げていた。

 その様子を感じ取った祖父が、裕樹を呼び寄せる。


「裕樹、ちょっと来なさい」


 祖父に呼ばれ、ピタ、と止まる。

 竹刀を持ったまま、祖父の元へと小走りで向かった。


「何、じいちゃん?」

「お前の心ここにあらず。素振り中に他のこと考えてるだろう」


 流石は裕樹の祖父、と言ったところだろうか。竹刀の振り方のみで、裕樹の心の状態を読み取った。裕樹は、図星だったために、何も反論ができない。

 そんな裕樹に祖父が、厳しい言葉をかけた。


「今日はもう帰れ」

「っな!? 来たばっかだぜ? 俺」


 図星ではあるが、その言葉には驚いたのだろう。反論を試みる。

 そのような反応をした彼に、祖父は静かに返す。


「だからだ。

 スッキリさせてからまたここに来ればいいだろう。

 その時、渡すものがある」


(渡すもの……?)


 裕樹が疑問について考える暇もなく、祖父は続けた。


「とりあえず、家に帰って気になることを調べろ。

 話はそれからだ」


 裕樹のことを理解し、しっかり見ているようだ。まるで、心を読んでいるかのように。

 裕樹も、何を言っても無駄だと分かったのだろう。気持ちを切り替え、祖父に了承したと伝える。


「わかった。また来る!」


 入口で祖父に手を振りながら、裕樹は家に向かった。



(緑峯学園について、調べよう)



 確かな目的を持って。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 裕樹が家に帰ると、帰ってくるのが早すぎたからか、母が疑問に思い、裕樹に問いかけた。


「あら? 早すぎない?」

「また後で行くから!」


 母親の質問に素早く、適当に答え、部屋に入る。そして、机にあるパソコンを起動し、緑峯学園と検索する。

 緑峯のHPはなく、あるのは新聞記事や進学情報サイトなどだった。とりあえず、裕樹は1番上に出てきた新聞記事を開き、緑峯学園の概要を読む。どうやら、これは今年のもののようだ。


『20○○年にできた、新設校。

 たった3年で、有名校になった。

 正式名は、【私立緑峯中高一貫学園】


 完全寮制の共学校。

 理事長は緑峯栄。

 校長は小寺彩花。女性校長。理事長代理でもある。


 ここからは、学校のパンフレットから抜粋。

【生徒は全員、選ばれた特別な者達だ。

 そして、そこを出たら大出世のチャンスでもある。

 受験は受け付けず、招待のみとなっている。


 委員会は、生徒会。

 教師ではないとできないもの以外、全てを運営する委員会。

 生徒会長、副会長、会計、書記そして、風紀委員長の席がある。

 尚、書記は新入生の中から選ばれることになっている。

 それ以外は投票で決まる。


 今年度は、生徒会長:諸星エナ

 副会長:平野希

 会計:杜丘陽月

 風紀委員長:村松疾風

 書記:未決定



 生徒会の風紀委員長がトップの風紀委員会。

 広い図書館の管理者、図書委員会。

 看護のプロ、保健委員会。

 全ての放送を担当する、放送委員会。

 数多くの動物を育てる、飼育委員会。

 体育道具と体育祭を仕切る、体育委員会。


 の、7つの委員会がある。

 生徒は、どれか一つには所属しなければならない。



 次に部活だ。

 作ることも可能なので、10以上ある。


 理系

 研究発表もする、科学部。

 計算で導く、数学部。

 人について詳しく調べる、人体研究部。

 栄養について学ぶ、栄養研究部。


 文系

 図書委員が多く入る、文芸部。

 プロも顔負けの演技力を誇る、演劇部。

 宇宙や星を観察する、天文学部。

 人気ゲーム【ソライロ】を開発した、PC部。


 などなど。



 運動系

 全国大会で優勝した、剣道部。

 力強い、柔道部。

 関東大会出場、バトミントン部。

 人気が高い、バスケ部。


 などなど。



 その他

 女子に人気、家庭科部。

 コンクール関東甲信越ブロック出場、合唱部。

 コンクール全国大会出場、吹奏楽部。


 などなど。



 部活は、自由。


 寮は全て一人部屋で、シャワー、ルームサービスなど、高級ホテル並みの部屋だ。

 カードキーで、完全防犯。


 学園内では、専用のお金〈エルド〉を使う。

 日本円、その他のお金は使えない。


 エルドを獲得する方法は様々あるが、一番簡単なのはテストで良い点を取ることだ。

 点数の分だけ、エルドが増える。


 最高10000点で、満点を取ると、一万エルドが手に入る。


 中庭、校庭、裏庭、花壇、闘技場、体育棟、道場など、ほとんどの設備が整っており、更に、校則は3つだ。


 1、必ず、委員会に入ること。

 2、制服は崩してもいいが、平日は必ず着用すること。

 休日、少し外に出るなど、平日の昼間でなければどんな服装でも構わない。

 つまり、ずっと、制服を着ていても構わない、ということだ。

 3、"特別な者"であること。


 この3つさえ守れば、いい。


 そのため、希望する者も多いが、3つ目の特別な者ではなかったので招待状・推薦状は届かない。


 以上で説明を終わる。】


 理事長である緑峯栄は、情報が少ない。今後も調べていくとしよう』


 これを読んだ時、裕樹は、直感でこの高校に決めた。


 "特別な者"


 しかし、気掛かりなのはその単語だ。

 裕樹には、特別な力などあるわけがなく、使った覚えもなし。そんな裕樹に、なぜか招待状が来たのだ。皆が不思議に思うだろう。


 そして、緑峯栄は、自分自身の学校のことを"客観的に"説明していた。

 胸に引っかかることが沢山あったが、裕樹は、一度決めた事は曲げない性格だ。


 招待を受け、緑峯学園に通うことにした。

 その緑峯栄に、会ってみたいと思う裕樹であった。

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