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魔法少女は死んだ  作者: 茶竹抹茶竹
7章・Let's singing with me,for changing for anything for something for everything.
64/70

【13枚目・「ならば言ってくれ、ポストゥムスよ。その『明日』とやらは、いつ来るんだ。」--マルティアリス「エピグラム」より引用】

13-1


「月夜ちゃんの正解を見せてよ」


 衛都楼水希がその足を踏み出した瞬間に、私は咄嗟に剣を払う。金属音が鳴って、その残響が耳の奥まで届く。私の弾いた衛都楼水希の刀の煌めきが、空中で煌めいた。互いに弾き合って宙を舞った切っ先が示し合わせたかのように一斉にまた振り下ろされる。

 ぶつかり合った刃がしなって、私は踏み込む。衛都楼水希が押し込まれた刃の勢いを刀で去なす。その左足が動いたのを見て私は後ろに跳び退いた。衛都楼水希の回し蹴りが目の前を掠める。私は左手でカードを格納したホルスターを指で弾いた。衛都楼水希が蹴り上げた足を着地させると同時に指先でカードを引き抜く。

 私は一枚のカードを引き抜くとそれを手にしたまま剣を振り下ろしていく。衛都楼水希が不意を突かれて咄嗟に身を翻し寸前で振り下ろされた刃を躱した。

 衛都楼水希は自身を完成品、人工的に造られた魔法使いであると言っていた。確かに前回の戦闘で衛都楼水希はカードと同時に別の魔法を発動していた。だが、戦闘の根本は、彼女も私と同様にカードに頼らざるを得ない様である。

 故に、その予備動作も隙も手の内も全ての条件は私と変わらない。

 左手を払って、電撃を放つ。牽制の為のそれをそのまま食らいながら衛都楼水希は刀を振り下ろしながら飛び込んでくる。地面を蹴って転がると私は起き上がりざまに咄嗟にカードを挿入する。衛都楼水希が刀の装填部にカードを押し込みながら駆け込んでくるのが見えた。


「月夜ちゃんの選んだ世界に、其処にあたし達はいないんだよ!」

「でもっ!」




【13枚目・「ならば言ってくれ、ポストゥムスよ。その『明日』とやらは、いつ来るんだ。」--マルティアリス「エピグラム」より引用】




「ヴィルヘルム・ラジェンランテイル、コード・マルタ!」


 衛都楼水希が刀の引き金を引いた。聞き覚えのあるカードの名前に咄嗟に私は身を屈め後ろへと振り返りざまに剣を振り抜く。背後にあった黒い影を切り裂いた。今までの法則性から推測するに、マルタは13番目のカード、つまり「死神」の筈である。前回使用されたとき、突如背後から強い衝撃を受けて気絶させられた。カードの効果は、対象の背後に物理攻撃を可能とする何かを作り出すものと推測する。

 背後で切り裂き散った黒い破片。それが地面に落ちるより先に、振り返り剣を構える。一瞬で目の前まで距離を詰めてきていた衛都楼水希が、横薙ぎに振り下ろしてきた刀を身を屈めて地面に手を付き転がるようにして潜り抜ける。

 衛都楼水希が地面を蹴った。私までの直線を跳躍で詰めてくる。

 突き出された切っ先を刃で受け止めるも勢いに負け背中から倒れ込む。咄嗟に足を蹴り上げて衛都楼水希を蹴り飛ばす。


「やっぱり楽じゃないか………っ」


 この至近距離。地上戦。私はただ一枚のカードにかけていた。ただ一手、衛都楼水希のとあるカードへのカウンター。故に私の手の内を明かすわけにもいかず、そしてただ一枚のカードを最初から握り続けていく必要があった。

 カード無しで衛都楼水希と対等以上に立ち回り、衛都楼水希にその一手を打たせる。

 それを成すためには。


「この剣を届かせる必要がある。小細工無しに、真っ直ぐに!」


 振りかぶった刃が裂く空気が重たく両手にのしかかる。

 衛都楼水希が引き金を引いた。カードを入れ替える動作は見えなかった以上、発動するのは「死神」のカードである。私は迷わず真っ直ぐ駆け出す。背後で空を裂く鈍い音が聞こえた。私はそれを気にせず衛都楼水希まで距離を詰める。剣の重さに預けて一閃を叩き込む。刀で去なしきれなかった衛都楼水希へと鍔迫り合いの形のまま力任せに押し込む。


「死神の出現範囲は対象の後方のみ、それが分かれば!」

「たった二回見ただけで見抜くなんて! なら!」


 衛都楼水希が体勢を崩し、剣が歯止めを失い勢いよく地面を叩いた。かい潜るようにして私の剣を躱して、衛都楼水希が鋭く刀の切っ先を私へと突きだしてくる。私は咄嗟に刀身を真横から左手で叩いて刀を払い退ける。剣を構え直そうとすると衛都楼水希が刀を構え直そうとしているのが見えて、私は咄嗟に体当たりした。


「ちぃっ!」


 衛都楼水希が私を蹴り飛ばし、私は咄嗟に左手を払う。電撃が散って地面を這った。衛都楼水希がそれを跳び越えて私の目の前に着地すると同時に身を翻す。ホルスターから引き抜いたカードを装填するのが見えて私は咄嗟に剣の引き金を引いてハンドガンを左手で引き抜く。

 後ろに跳び退き様にハンドガンを撃った。衛都楼水希が刀を振るう。その軌跡に残像の様に光の靄が宙に焼き付く。魔力の弾丸がそれに触れると弾けるようにして消滅する。


「コード・コンラート。この光は全てを打ち消す!」

「違う!」


 私は銃口を下に向けて引き金を引いた。地面の石を弾き飛ばす。飛んできた石に反応して衛都楼水希が手早く刀を振ると、短い金属音が響いた。刀が弾いた石が真上に飛んだ。


「打ち消すのは魔法のみ! 単純な斬り合いなら!」

「それなら勝てる、って言いたいってこと!?」


 衛都楼水希が向かってくる先へと振り下ろした剣は、虚しく空を裂いたのみだった。衛都楼水希がそれを身を捩ることで回避して懐へと飛び込んでくる。その刀を銃身で受け止めると左手に鈍い痺れが走った。刀を防がれて衛都楼水希が再びそれを構え上げる。私は手にしていたハンドガンを投げた。それを顔を横に倒し避けるも、ハンドガンと剣を結ぶ鎖が衛都楼水希の方にぶつかる。鬱陶しそうにそれを払いのける衛都楼水希へと身を屈めて背中を向けるようにして私は踏み込んだ。踏み込んだ足を軸に身体を捻り低い位置で剣を振り抜く。遠心力を咬ませた刃を衛都楼水希はその場で真上に跳んで躱した。着地と同時に衛都楼水希が刀を突き立ててくる。それを真下から振り上げた剣で弾き上げる。


「無茶をする!」

「月夜ちゃんもね!」




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