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魔法少女は死んだ  作者: 茶竹抹茶竹
2章・stay in forward for world
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【4-5】

4-5


「見つけた!」


 私の腕の中で祐希奈‐ゆきな‐が声を上げた。祐希奈と合流して変身すると、空中からカードの出現場所を捜していた私達。そんな中、祐希奈がカードを発見したのだ。指さした先を見る。眼下で起こっていたカードの発光を確認した。

 場所は取り壊しが決定している廃ビルの屋上。カードというものは、どうも馬鹿と煙に良く似ているらしい。街中で発動されないだけマシだが。空中を蹴って接近する。カードは見えているのだが、その様相は酷く奇妙であった。一つ目帽子。私はそれを直感的にそう名付けた。

 黒い靄の様な物が固まっていた。魔法使いのイメージにあるようなトンガリ帽子。あの形状に、だ。帽子の中程は真横に延びた切れ込みがありその中心部にはカードが浮いている。それが目の様に見えた。

 祐希奈と共にその一つ目帽子の出現している廃ビルに降り立つ。


「何のカードだ、これ」

「分からないけど、油断しないで。あの黒い部分、きっと何かあると思うの」

「下がってて」


 祐希奈が後ずさりした。私は一つ深呼吸をして手にした剣を構える。雷もどきや逆さ天秤の時と違う。今までの発動状態にあるカードと違い、普通にカードが見えている。封印はこの剣でカードに触れれば完了する。特に何の反応が見えない以上、このまま一つ目帽子に接近すべきだろうか。

 一歩、踏み出した。私が走り出した瞬間に一つ目帽子が反応した。瞳の部分にあるカードがまるで視線を動かした様で、私の方を向く。黒い靄がカードを覆い隠す。私はそのまま剣で斬りつけた。


「硬い!?」


 カードを隠した靄。それに剣が阻まれた。甲高い金属音が響く。質量がある様には見えないが、私の一撃はその靄に物理的に弾かれた。確かに硬度があった。弾かれた時の衝撃が手に痺れとして伝わってくる。確かにカードは露出していたが、私の接近に反応して身を隠した様に感じられた。

 もう一度、剣を振りかぶる。その靄に向かって振り下ろしたが、容易く弾き返される。刃が通る気がしない。


「力押しじゃ無理なのか」


 私は跳び退く。一つ目帽子がまた姿を変える。目を開くようにカードが露出する。トンガリ帽子の先端が勢い良く私へと向かってくる。空を裂く鈍い音。私が咄嗟に刃を正面に向けてその一撃を受け止める。鞭のように振るわれた靄の一部が元の位置に収まるとまた目を閉じてカードを覆い隠した。

 衝撃が伝わってきて、金属音がする。重たい。受け止めた一撃に私は顔をしかめる。靄の様に見えるがあれには確かに質量がある。

 斬りつけた感覚も殴った感じに思えた。まるであれは金属の様だ。だが出現している一つ目帽子の様相は固体には見えない。気体状の靄から金属製の物質に変化しているとでも言うのだろうか。


「それに目は節穴じゃなさそうだ」


 確実に一つ目帽子が私の位置に攻撃してきたし、私の接近に反応して防御機構を働かせた様に思える。どの様な仕組みかは不明なのだが、あのカードには私の位置が分かった。

 少し考え込む。ポケットの中を探る。家の鍵を見つけて指先に預ける。姉の趣味でキーホルダーが幾つも付いた重たい鍵。それを見つめ直してから私は駆けだした。

 逆さ天秤の時とは決定的に違う点がある。それを確かめる。私は左手で思い切り鍵を投げた。地面にぶつかった鍵が盛大な音を立てる。私は剣を振り抜く準備をする。靄に覆い被されていた姿が変化し目を開いた。一つ目帽子の視線、とでも呼ぶべきかカードが私の方を向く。


「こっちか」


 帽子の先端が鞭の様に伸びてしなる。勢い良く振り下ろされた黒い一閃を私は剣で受け止める。刃を平行に向けて刃の腹を手で押さえる。振り下ろされた一撃に身体が押し込まれる。金属音の大きさがその威力の凄まじさを訴えてくるようで。鼓膜に届いたその音に一瞬身が竦む。

 一撃を受け止めると、鞭がまた帽子の先端に戻った。そうしてカードは靄に包まれ身を隠す。

 今までの雷もどきにも逆さ天秤にも行動パターンがあった。そして今回の場合にも今までと同様に何らかの法則がある。

 それは分かった。恐らく間違いがない。だが、どうすべきかが分からない。


「あの攻撃はかなりのスピードがある。反応して防御するだけで精一杯だし、一撃も重たい。避けることさえ出来れば」


 塔のカードによる電撃なら、一つ目帽子に一瞬で届くかもしれない。だが、カードを使用しながらあの鞭による攻撃を避ける自信はない。カードを使うにはあの一撃は隙が無さ過ぎる。

 私は腰のポーチに指をかける。蛇腹状に展開したカードホルダーには三枚のカードがあった。「コード・ルートヴィッヒ。死刑囚」、「コード・ノルトポール。節制。」。そして「コード・パオラ。塔」の三枚。カードを一枚抜き取るとホルダーを元に戻し、一つ目帽子の姿を正面に捉えたまま私はゆっくりと歩みを進める。

 一歩。もう一歩。

 私はゆっくりと剣を持ち上げた。そして一歩を踏み込む。黒い靄が変化した。まるで目を開くようにカードが露出する。


「やっぱり、カードに一定以上近付くと反応されるのか」


 空気を切り裂く音が鳴った。構えた剣に一つ目帽子の振り下ろしてきた鞭がぶち当たる。勢いに押され私は仰け反った。骨が軋む。私は剣で受け止めると、一歩退く。


 一定。距離。映像。節穴。カード。物質。硬化。反応。金属。音。剣。一つ目。鎧。雷。天秤。身代わり。鞭。速度。靄。視線。塔。雷。封印。


「力を貸してくれ、コード・ルートヴィッヒ」



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