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魔法少女は死んだ  作者: 茶竹抹茶竹
1章・too hard to hard to me
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【2-5】

2-5


 昼食を食べ終えて食器を片付けながら私は思案する。姉に相談すべきだろうと思って私は携帯電話を取り出す。携帯電話で今日の帰り時刻を問いかけるメッセージを送ると夕方には帰るとのことであった。おそらく昨日は帰ってこなかったのだろう。そうであれば、リビングのソファで寝ていた私と祐希奈‐ゆきな‐に気が付く筈である。

 魔法というものが絡んでいる。そして何かきな臭い事に祐希奈は巻き込まれている。祐希奈の言った、造られた、という言葉。もし、それが本当だとすれば、その言葉通りの意味だとするなら、彼女が居たのはけっして小さな組織ではないだろう。カフトワンダーと祐希奈が呼んだ剣の技術力を見てもそう思う。

 祐希奈が警察を拒んだのは、そういう背景もあるのだろうか。例えば、その組織が警察にコネクションがあるとか。

 だとすれば、尚更関わるべきでは無いと私は思った。厄介事にしか発展しないだろう。けれど。


「祐希奈ちゃん、買い物に行こう」


 私は祐希奈を連れて駅近くのデパートにやってきた。目当ては子供用の靴である。祐希奈がこの部屋にレインコートに長靴靴といった出で立ちで現れたので彼女には長靴しかなかったし、子供用の靴までは流石に姉も持っていなかった。だからそれを買いに来たのだった。

 休日の客でごった返すデパートの喧噪に私はどこか安堵する。私の勝手な推測は全て考えすぎだとでも言われているような気がしてくる。それ程までに世界はいつも通りでしかなかった。

 エスカレーターに乗ると祐希奈が私の側に身体を寄せて声を低くして私に問いかける。


「気になってたの。この前の。風花‐ふうか‐ちゃんは魔法使いなの」

「どうして?」

「カフトワンダーは人工的に魔力を生みだして操る装置だけど、あの時はそれ以外の魔力が発生しているように感じたの。それに魔力不足で初期起動が出来なかったカフトワンダーが起動した理由も分からないの。だから風花ちゃんは魔法使いだと思う」


 祐希奈の目は真剣だった。

 あの時、カフトワンダーは起動しなかった。起動不良を起こしたそれを動かすには、火種とでも言うべき魔力が必要であった。カフトワンダーが起動したのは奇跡か、それとも魔法でもない限り有り得ないのだと。

 少し悩んでから私が祐希奈の問いに答えようとすると、後ろから私の名前を呼ぶ声がした。


「月夜‐つや‐ちゃん」


 振り返ると衛都楼水希‐えとろう みずき‐が居た。カーキ系のロングニットカーディガンを着ており、白いブラウスと赤いフレアスカート、ブラウンのロングブーツといった出で立ちであった。私服姿の彼女を見て私は一瞬自分の服装を確認する。黒のトレンチコートにジーンズとスニーカーという自分の姿と彼女を見比べて、少し彼女を羨ましくも思った。

 衛都楼水希が私の顔を見て笑みを造る。私はそんな彼女の表情を見て彼女から借りた傘のことを思い出した。


「ごめん、傘は明日学校で返す」

「そんな気を使わなくて良いよー。その子は月夜ちゃんの妹ちゃん? 名前なんて言うの。めっちゃ可愛いね。良いなぁ、あたしも妹が欲しかったよ」

「いや、親戚の子。名前は祐希奈」


 私はそう答えながら、衛都楼水希の横にいる人物に気が付いた。年齢は多分私と変わらない位。長い黒髪を編み込んでお下げにしている。前髪は少し短めに切りそろえられており、彼女がかけている眼鏡の青いフレームの上くらいにあった。暗い茶系色のチェスターコートに紺のスキニーパンツ。低めのヒールを履いている。顔の印象から受ける彼女の内面のイメージからはあまり連想できないファッションだと思った。

 ふっくらとした頬の輪郭線から少し幼い様な印象も受ける。眉を太いまま残しているせいかもしれない。

 衛都楼水希の友人だろうかと私は彼女を観察して思った。見たことがないので違うクラスだろうとも思った。衛都楼水希が祐希奈の前に視線を合わせる為にしゃがみ込んだ。


「こんにちはー。あたし月夜ちゃんと同じクラスの衛都楼水希って言うんだ。宜しくね祐希奈ちゃん。

 あ、そうだ。こっちはね、静玖-しずく-って言ってあたしの友達。高校は違うから月夜ちゃんも知らないと思うんだけど、でもあたし達と同い年だよ。

 月夜ちゃん達はこれからどっか行くの? あたし達は駅前に出来た新しい喫茶店に言ってみようと思ってさー。なんかね、めっちゃ美味しいらしいのモンブランが。それ聞いて絶対行かなきゃと思ってさ、あたしモンブランが一番好きなんだ。月夜ちゃん達も行く? どうかな、祐希奈ちゃんはモンブラン好き?」


 祐希奈がモンブランという単語に目を輝かせた。私はそんな祐希奈の手を引いた。相変わらず良く喋る、と半ば感心しながら私は謝る。


「ごめん、そろそろ行かないと」


 衛都楼水希は残念そうな声を出してはにかんだ。私がその場を離れようとすると衛都楼水希の横にいた静玖の目つきが一瞬キツくなったように感じた。私が静玖に視線をやると彼女は慌てて目線を明後日の方向へ向ける。私が足早にその場を離れると、祐希奈が私に不思議そうに問いかけてきた。


「お友達なの?」

「そうでもない」


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