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異世界にて捨てられました  作者: 乃愛
捨てられた二人
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初のクエストは!?

「レオン様は錬金術師を得ていますね。ならこちらはどうでしょうか?」


 ダンジョン攻略も46Fまで進み、お金も装備を買えるとは言えないまでも宿を心配することは無くなってきた今日このごろ。レナの発案によりクエストを受けることになった俺達は現在ギルド連合にてメルさんと相談している。


「はあ…でも俺なんかでいいんですかね?まだ薬ぐらいしか作ってませんよ」


「どんなのを作っているんですか?」


 俺は今まで作ったのを思い出す。アイテム名はできた時一応確認しているので頭に残っていた。


「ハイポーションと…あとは毒消しとかですね」


 …おなじみの顔になったメルさん。いつ見ても面白い。


「そこまで行けば商人として活動出来ますよ?あ、有名になるのは避けたいんでしたっけ」


 絶対ってわけではないが極力避けたいものである。有名になっていい生活を送れるのは本やゲームだけであり現実であるここでは用心にこしたことはない。


「ちなみにこれは麻痺耐性薬を作ってくれとの依頼です。材料は預かってるので今すぐでもできますが…」


 なぜメルさんが強く押さないかというと、俺の隣のレナが原因である。

 さきほどからパッとしないといってはオススメのクエストをはねのけているのだ。


「…だめ!」


 こんな我儘だっただろうか…?こいつの成長が怖い。


「もうモンスター討伐とか出してくれませんか?俺帰りたいんで」


 俺の願いにメルさんも思うところがあったのか「分かりました」と言って依頼を探し始める。

 隣にある掲示板にもところ狭しと並んでいるのだが、こちらは街中で活動するものしか載っていない。2F、3Fに上がればもっと上の依頼もはられているのだが俺達はランクが足りないため行くことができない。

 そのため実力があると認められている者が使うシステム「直接依頼」なるものを利用している。メルさんには俺達の活動報告をしているのですぐ利用許可をもらえた。

 メルさん曰く「B級以上の実力がある!」とのこと。

 だが現在俺達のランクは最底辺のF。一回もクエストを受けてないのだから当然といえば当然である。

 各ギルドにランクをつけ管理するギルド連合は、クエストの合計報酬額でランクを決めているそうだ。時間をかければ安いものを積み重ねてランクを上げることもできるし、一発大山をはってすぐランクを上げる手もある。

 ギルド名で依頼を受けるのでメンバーが多ければそれだけ早くランクを上げれる。


「ありました。ランクはC級ですが…内容は難しめですね。ダンジョン攻略の依頼です」


 ダンジョンなんてそのうち攻略されそうなものだが…


「どういった内容ですか?」


 ようやくレナの関心を得られたようだ。敵すら出ればうれしいようである。


「ベルメト近くで発見された新ダンジョンの攻略ですね。先着制でダンジョン報酬プラスで依頼報酬ももらえるので成功すればお得な依頼です」


 目を輝かせるレナ。これで決まりか…


「受けます!」


 簡単な説明しか聞かず受注するなんて…

 ほんとにどんな成長をしてしまったんだ?もと優等生が泣くぞ。


「一応説明させて頂きますね。新ダンジョンはベルメトの東で発見され現在このクエストを9ギルドが受注しています。最有力候補は『狼の牙』というところで王都ダンジョンでも160Fほどまで攻略しているギルドです。ダンジョンは20Fから30Fほどで小さめですがモンスターは結構強いモンスターが出るようです」


「なぜダンジョン攻略の依頼がでるんですか?」


 俺の質問に先に反応したのはレナだ。凍て付いた目線で俺を攻撃する。


「攻略すればモンスター情報が流れますので色々な冒険者が訪れるようになるんです。現在は怖くて行けなくても情報があれば別って方も多いですから。その冒険者たちを呼び込むため村で依頼を出すんです」


 その後も詳しい情報を教えてくれるメルさん…本当にあの顔さえしなければいい人だ。

 宿に戻った俺達は、いや…レナは俺を引っ張って市場へと直行した。

 貯めていた宿金を全て使い荷車を買い旅用の食料を載せていく。

 十分な量(ベルメトまでは歩いて2週間)を買い込み宿へと帰宅。

 引っ張るのが俺だけという地味ないじめも結構辛かった…

 翌日まだ人の活動する時間には早い時間帯に起きだし準備を進める。

 前日のうちに荷車に軽量化や積載量増加(底を空間魔法で深くしてみた)をかけていたため準備もすぐ終りまだ真っ暗な中宿を出発した。

 律儀にも優しいロレシアさんは簡単ながらも美味しいサンドイッチを持たせてくれ移動しながら胃の中へ収めた。

 1時間ほど歩いて街が遠くなったのを確認した俺は、さらに魔法で車輪を自動で回るようにし延々と続く真っ直ぐな道を時速20キロメートルという荷車では恐ろしいスピードで走った。

 乗っている俺やレナは激しい振動に尻を痛め…ることなく距離を稼ぐ。

 軽く浮かしているので振動なんてないのだ。これぞ魔法だ!

 時々遭遇したモンスターたちはアイスプリズンで全員形を保存したまま荷車に乗せ街に着く少し前に溶かし、きれいな状態(少しだめになったのもいるが)で売りさばくことができた。

 2週間の旅程を魔法にものをいわせた進撃でたった8日で走破した。

 さすがに俺は魔法を使いすぎてベルメトについた頃にはぐったりとしていた。

 魔力切れでなく寝不足というのが誇らしいようなそうでないような…

 ベルメトの宿屋で一日休み現在どこまで攻略されているかの情報を集めた。

 泊まっていた宿の主人プームさんが20Fのボスで「狼の牙」が苦戦していることを聞き急いでよかったと安心する。

 初めての王都以外のダンジョンだ。

 どんな敵が出てくるのだろうか?

 現在装備しているのは一般の人々が着るいたって普通の服だ。一応俺の全魔法付加をかけているがやはり注意は必要だろう。


「レナ、お前薬持ってるか?」


 入り口の前で最終点検をする。

 浮かれているレナがとても心配だ…


「もちろん!ポケットの中に入ってるしいざとなったらレオンがいるし大丈夫」


「…そっか」


 もう何もいうことはない。どうせ聞いてもくれないし。


「ん、出発ね」


 俺はその言葉とともに扉を開ける。

 いざ、未知のダンジョンへ行きましょうかね。


誤字脱字ありましたらご報告ください。


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