表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界にて捨てられました  作者: 乃愛
捨てられた二人
4/18

初ダンジョンと才能

 ダンジョンはすぐに見つかった。というか王都の真ん中に大きな塔が建っているのだ。

 そこが王都ダンジョンだとロレシアさんに聞いた俺達は「ああ、あれか」とすぐさま分かったのである。

 ダンジョンの周りは広場になっていて、薬や武器などを売っている露天がところ狭しと並んでいる。

 だが金のない俺達には意味のないことだ。

 幸いどちらも魔法が使えたので(宿で火や水を出して怒られた)、攻撃手段は確保されている。

 問題は効くかどうかということと防御だ。

 何度か試して俺なら人や装備対して魔法をかけれることが判明している。いわゆる支援魔法だ。

 属性によって効果に違いがあるらしく、火なら力が上がり風と光は動きが早くなった。他の属性も掛けたのだが、効果がよくわからなかった。

 光の付加は面白く、夜でも昼間のように見えるという暗視効果もあった。


「さて、歴史に残る初ダンジョンへ出発だよ!」


 レナが興奮している。まあ俺も似たようなものだ。

 1Fなら逃げればなんとかなると聞くし、危険よりも新しい事ということのほうが重要なのだ。

 ダンジョンの入り口は扉となっていて、開けると吸い込まれるようにダンジョンの中へと移動する。開けた人のPTだけを連れて行くなんてめちゃくちゃ高性能だ。

 5分ほど待ち、俺達に順番がまわってきた。

 ギルドマスター兼PTリーダーの俺が扉を開くといつの間にか知らない場所に立っていた。

 ダンジョンは各フロアに一体ボスが居てそれを倒すことで次のフロアにいけるらしい。

 現在王都ダンジョンは230Fまで攻略されていて、500Fとされているうちの半分にも達していないという。すでに発見から数百年たっているらしい。


「まずはゆっくりだぞ」


「わかってるよ。見つけたら魔法で攻撃か…早く見つからないかな」


 本当にわかってるのか?

 ダンジョンはPTによって同じ構造の別の場所に飛ばされるそうで(詳しい事はまだ不明)、他のPTとダンジョン内で会うことはない。つまり死んだら誰にも気づかれない…

 できるかぎり慎重に進み、5分ほどで初モンスターと出会った。

 真っ白なかわいいウサギのようなモンスターでステータスを見ると名前は《レメス》と表示される。


「えっと…ファイヤーボール」


 わざわざ魔法名なんて言わなくてもいいのに…まあ俺も言っちゃうけど。

 宿での検証の結果、魔法は考えるだけで発動することがわかっている。形や効果なども想像しだいなのでオリジナリティーあふれる魔法が作れそうだ。

 もちろん、あまりにも欲張り過ぎて色々な要素を詰め込んだ魔法はその分、発動するときの魔力も大きい。

 レナの発動した火の玉は直径1メートルほどなのに、発射される速度もなかなか速い。

 可愛いレメスは自分の数倍ある火の玉を避けることができず直撃する。

 

「どうかな?」


 レメスは黒焦げとなりピクリとも動かない。

 そして突然光の粒となって消えた。残ったのはアイテム名《レメスの肉》だけである。

 街の外にいるモンスターは狩った後も残り続けるが、ダンジョンはアイテムとなって消えるとロレシアさんに聞いてはいたが、実際に見ると想像していたのと少し違っていた。

 一撃で倒せたことに調子に乗った俺達は、それから二人とも忘れていた支援魔法をかけ、会うモンスターを片っ端から狩りまくった。

 学校の制服で駆けまわるのはさすがに少し動きずらかったが、8時間ほど夢中になって300体ほどモンスターを狩った。

 腕時計で17時を回ったのでダンジョンの入口に戻って王都へと帰還を果たした。

 腕時計は地球からの持ち込み品だ。貴重なので魔法をかけて壊れないようにしている。

 

「無双だったね。アイテム売って宿にもどらなきゃ」


「できたらボスに挑戦するか?制服に支援魔法かけたらある程度なら効果ありそうだし」


 鎧でもない制服に魔法をかけるというのもおかしな話だが、装備を買うお金がないので仕方ない。

 ギルド連合で拾ったアイテム8種253個を13ユールで売り宿へと戻る。

 ちなみにこんなに持てたのは俺が空間魔法で学生鞄を四次元◯ケット風にしたからだ。

 1Fではやはり稼ぎにならないのでギルド連合で情報を集め、1Fのボスは一番多くころしたレメスの亜種であることが判明した。強さはレメスの数倍だと言っていたが、あの程度の数倍なんてたかが知れている。

 俺達は明日の予定を決め宿へと戻った。


「もうボスに挑戦するのかい?無謀だと思うけど?」


 ロレシアさんが驚いている。そんなにおかしいのだろうか?


「そこまで強くなかったけど、あんなのに苦戦ってするんですか?」


「あんなのって…普通の新人なら1Fで普通に狩れるようになるまで数週間はかかるよ。それも6人PTでね。どっちも魔法師…それに一人は魔法剣士って聞いたときは驚いたけど、まさかこれほど強いとはね」


「はあ…そうだったんですか」


 あんなのに数週間?この世界の住人は見た目だけだろうか?

 街を歩くと人間のみならず獣人やエルフのような外見を持つものも普通にいる。

 この世界では種族による差別がないので、半獣人やハーフエルフなども普通に住んでいる。

 そのおかげか、色々な種族の血をもつこの世界の住人はほとんどが美人の部類に入る。

 もちろん、この世界の中ではそれが普通になるのだが。

 その後もロレシアさんと雑談を続け9時になってベッドに入る。地球では考えられない就寝時間だが、これでもここでは遅い方なのだ。

 翌日、さっそくダンジョンへと入った俺達は集めた情報を頼りにボス部屋への入口を探す。

 豪華な扉になっていると聞いたので、見ればすぐわかるだろう。

 14体ほどのモンスターをエンカウントしすぐさま倒していった。

 30分ほどでボス部屋の入り口らしきものを見つけ、緊張に震える手で扉を開いた。

 扉の奥は大部屋のような感じで縦横高さともに十分な大きさをもっている。

 二人で注意しながらあるいていると真ん中より10メートルほど手前で床の中心に青い魔法陣が浮かび上がった。

 俺達が凝視するなか、魔法陣から徐々に光が出てきている。数秒で光は大きな形をとり、形が整ったのか光が爆発するように散っていく。

 残ったのは聞いたとおりレメスが大きくなった容姿を持つ《レメスリーダー》だった。

 残念だがここまで大きいと「気持ち悪い」としか言えない。

 

「行くか!」


 俺の声に頷いたレナが早速魔法を発動する。

 だが俺も見てるだけではない。声をかけてる間、すでに魔法自体は発動させていたのだ。

 発動したのはレナが使っていたファイヤーボール。それに風魔法を追加し酸素を送っている。

 完全燃焼した火の玉は、赤から青へと色を変え、レメスリーダーへと発射される。

 続けざまにレナの火の玉(こちらは赤のままだが)も発射され直径1メートルの青と赤の火の玉がレメスリーダーを襲う。

 レメスリーダーはバックステップで攻撃を避けるが俺の方が上手だったようだ。

 俺の火の玉は新たに発動した風魔法によって軌道を変え後ろに下がったレメスリーダーを再度襲う。

 逃げられても面倒なので、さらに土魔法で相手の足元を床に固定する。

 逃げ切れないレメスリーダーは火の玉の直撃を受け、耐えることができず光の粒となって四散した。


「あっけねー」


「私何も攻撃あてれなかった…」


 あっけないほど簡単に終ったボス攻略だったが、先に進まないと時間がもったいないのでドロップ品を拾って先へと急いだ。

 次のフロアへ移動するにはボスが出現した場所と同じ所に浮かび上がった魔法陣に乗るだけだった。

 その後そのまま4Fまで攻略し、今日の狩りを終了した。

 売却したアイテムが143ユールだったので結構良い稼ぎだった。昨日の10倍以上だ。

 ある程度いったらボス部屋を回るのもいいななどど思いつつ宿屋へと戻る。

 今日の狩りの話を聞いたロレシアさんが「あんたらは有名な冒険者になるよ!」なんて言ってご飯を多く盛りつけてくれたのは結構うれしかった…

 


 

誤字脱字などありましたらお手数ですがご報告ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ